実験動物たちに朗報です!
すでに人に使われている医薬品の中から新たな効能を見つけて別の疾患の薬として売り出すときに、動物実験等の再試験は必ずしも必要ではありませんが、厚生労働省がそのことを明確化する通知を出すことが決まりました。
いわゆる「リポジショニング医薬品」(厚生労働省の現在の仮称では「新用途開発医薬品」)が対象です。
ドラッグ・リポジショニングとは?
動物実験を減らす方法のひとつとして挙げられることもあるのが、このドラッグ・リポジショニング(DR)という開発手法です。すでに人に使われている医薬品のなかから別の効能を探すのであれば、動物を使った毒性試験や薬物動態試験は行われた後ですから、新たに行う必要はありません。
医薬品開発では、動物実験を含む前臨床試験にも大きなコストや時間がかかるので、そうした試験を省くことができるのは大きなメリットです。またすでに、いわゆる「ピカ新」と言われるような新薬が出づらくなっている状況も、こうしたリポジショニング医薬品に関する研究をふやす追い風になっていると思われます。
急激に全世界に広まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では新薬を開発する時間はなく、既存薬の中から効く薬を探すことがなされましたが、これなどはまさにドラッグ・リポジショニングの利点を世間に知らしめた好例でしょう。
新型コロナウイルスが拡大し始めた2020年の日本動物実験代替法学会の大会(第33回)で開かれたシンポジウム『抗ウイルス薬・ワクチン開発の最前線 -動物実験代替法はCOVID-19にどのように立ち向かうのか?-』でも、既存薬からin vitro やin sillicoの手法(つまり動物実験ではない方法)を使ってCOVID-19に効く薬を探索する研究について国立感染症研究所の研究者から発表がありました。動物実験は行っていないと言っていたのが印象的でした。
厚生労働省が通知を出します!
リポジショニング医薬品の承認申請を行う場合に、一部の非臨床試験成績の提出を省略できることを明確にすることについては、厚生労働省が7月23日に開催した「令和8年度第1回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」で審議されました。
対象となるのは、下記の赤枠の試験です(矢印はPEACEが追加)。

現行の制度では試験実施の必要性の検討が求められており、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に相談して試験を行うかどうかを決めているそうですが、アメリカには簡略承認申請の仕組みがあり、日本もそれを参考に、試験を省略できる場合を明確にすることになりました。
今後、厚生労働省が通知を出す予定です。それにより、既に承認された医薬品の審査報告書や公表文献等を利用することで、毒性試験や薬物動態試験などのデータを省略することができるようになります。
厚生労働省の医薬品審査管理課によると、通知を出す時期はまだ未定ですが、何年も先とかではないそうです。
動物実験を減らすためという目的が掲げられているわけではないすが、動物実験が減ることに繋がる動きとして歓迎したいと思います。
▼原則不要とすることが案として示された(赤線はPEACEによる)

画像出典
令和8年度第1回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会「【資料3】その他」 のなかの「医薬品の承認審査等に関連する制度の運用見直し(案)」の「② 再審査期間が終了した有効成分を用いた医薬品の承認申請資料の取扱いについて」が該当部分です。
参考
- 日刊薬業:非臨床試験の一部省略可能を明確化 制度部会、リポジショニング申請で
2026年7月23日
動物たちにも朗報! すでに人に使われている医薬品の中から新たな効能を見つけて別の疾患の薬として売り出すときに、動物実験等の再試験は必ずしも必要ではありませんが、そのことを明確化する通知を出すことが決まりました。
【日刊薬業】非臨床試験の一部省略可能を明確化 https://t.co/WwYq0xzpJE
— PEACE 命の搾取ではなく尊厳を (@animalsPEACEnet) July 24, 2026



