北海道旭川市が運営する旭山動物園で、市職員でもある飼育員が妻を殺害し、その遺体を動物園の焼却炉で焼くという前代未聞の事件が起きました。
しかも被疑者は殺害前に妻に対し「燃やし尽くしてやる」と脅していたことが報道されており、単に焼却炉という設備が使われただけではなく、その設備があったからこそ殺人の証拠隠滅をはかることができると考えた被疑者が犯行を決意した可能性があるのではないかと感じさせる事件となっています。
5月20日に旭川市議会で行われた質疑の関係部分をこちらに抜粋しましたが、やはり「動物園の施設管理、特に焼却炉の管理がずさんだったために、遺体損壊の現場になる隙、余地を与えていたということになれば、重大な問題だ」とストレートに指摘する質問もありました。
報道されている範囲のもろもろの事柄からも、園による施設や従業員の管理のずさんさが背景にあることは明白で、まだ捜査や報道も始まったばかりであったにもかかわらず、市がゴールデンウィークに開園したいという欲求のほうを優先させたことも大変疑問でした。
どう考えても開園すべきタイミングではなく、事実、開園後にも園内からローブや妻のスマホなどの証拠物件が押収された等の報道が続いていました。
被疑者の飼育員は4月30日に逮捕され、旭川地検は5月21日に死体損壊の罪で起訴しています。また殺人の罪でも5月22日に再逮捕され、6月12日に殺人で追起訴されました。
旭川市は、これを受け、6月15日付けで当該職員を懲戒免職としました。公表文書には、「警察の捜査及び報道により、市民及び市政に大きな社会的及び経済的影響を与え、 本市職員全体に対する信頼を損ない、市政全般の信用を失墜させた」とあります。
2026年4月に発覚した旭山動物園の飼育員による妻の殺害事件について、市議会でも質疑が行われた。発言記録から該当部分を抜粋する。(太字・オレンジ字はPEACEによる)この期に及んで旭山動物園を称えるような内容も多く、市の施設がこのよ[…]
報道された主な事柄
- 自宅で妻の首をロープで絞めて殺したと供述
- 退勤後に動物園に戻り妻の遺体を搬入、焼却炉で数時間ほどかけて遺体を焼いたと供述
- 事件前に「燃やし尽くしてやる」と妻を脅迫していた
- 妻のスマホは「ぺんぎん館」にある従業員用の部屋から押収された
- 遺体を包んだブルーシート、運搬に使った車両なども押収された
- 焼却炉は動物病院に併設、関係者専用の出入り口となっている動物園東側の「旧東門」の近く
- 焼却炉は死んだ動物を解剖したのち、死骸を焼却するために設置されているもの
ちなみに、旭山動物園の焼却炉は一般廃棄物の焼却に用いられるもので、産廃法上の基準さえ守っていれば許可などは不要で設置できるものだと市に確認しました。 産業廃棄物を焼却する事業者には帳簿記入の義務がありますが、動物の死体は一般廃棄物にあたり焼却した履歴を記録する帳簿も不要となっています。市議会の質疑でも、帳簿での管理はされていなかったことを市は認めています。
被告人は、マウスを生きたままヘビに食べさせる見世物を行っていた
当会としてさらに問題視したいのは、この飼育員が、マウスを生きたままヘビに与えることを観客に見せる見世物を行っていた事実です。旭山動物園にも電話で確認しましたが、この元飼育員が、生餌を与えるところを来場者に見せていたのは事実で間違いありませんでした。また、飼っているヘビは、生餌以外を食べると言っていました。
人間がヘビを施設に幽閉しなければやらなくて済むことを、もっともらしく教育であるかのように来場者に見せることが教育なのでしょうか。飼育員が一方の命は大事に飼育することをアピールするが、一方の命は殺害してよいと考えていることを見せる。動物園という場にとって大きな矛盾であるはずです。
日本で動物園の飼育員向けに講習を行っている福祉団体の講演でも、欧州は特にだが、そもそも動物園で生餌を与えること自体、餌にされる動物の福祉に反することだと考えられているという説明がありました。
しかも、人が与える状況での捕食は、本来の狩り・捕食の再現にはなっていません。なぜそのように不自然な摂食行動を見せたいのか、嗜虐的な一面を感じざるをえません。
被告人である元飼育員が解説をしている動画をいくつか見ることができますが、どれも説明はぞんざいな感じです。特にヘビを手に持ちながら気だるそうに振り回すような動作を繰り返し、そのたびにヘビが体勢をとろうとする動画は、動物にストレスをかけて一体何がしたいのか、疑問に思いました。
述べている屁理屈も、聞きようによっては弁が立つようにも聞こえるのか、感動した、よかったなどといったコメントがあふれていることも驚きます。「動物園の飼育員とはすごい職業だ」と思いたい人たちのバイアスがいかに強くかかっているかということを感じます。
旭山動物園によれば、飼育員による来園者への解説等の内容については、あくまで飼育員の自主性に任せており、園が内容に踏み込むことはしないのだそうです。間違った内容でも正すことはしないととれる返事だったので、疑問に思いました。管理側がそのような態度では、間違ったことが行われていても、各飼育員は自分の考えが正しいと増長するだけではないでしょうか。
最後に、まだ明らかになっていないのが、被告人の家で飼われていたはずの犬がどうなったのかです。
栃木県上三川町で起きた強盗殺人事件では、被害者宅の飼い犬を殺したとして強盗殺人容疑などで既に逮捕されている6人が動物愛護法違反容疑で追送検されました。
旭山動物園元飼育員の事件でも犬が殺害されているのであれば、同じように立件してほしいものです。
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