日本獣医師会が「World Veterinary Day」の一環として開催している「動物感謝デー」では、例年、生きた動物を用いる「ふれあいコーナー」が設けられています。
これに関して「World Veterinary Day」を定める世界獣医学協会(World Veterinary Association: WVA)に問い合わせを行ったところ、日本の過去のふれあいコーナーには問題があり、2014年以降は短いガイドラインを設けるつもりであるという回答をいただきました。
そのため、イベントに先立って中止の要望を行いたいと考え、Choices for Tomorrow (CFT:あしたへの選択)とPEACEの2団体連名で、公益社団法人日本獣医師会に対し、以下の要望書を送付いたしました。(WVAへの働きかけにつきましては、CFTが全面的にお力になってくださいました。大変ありがとうございます)
WVAからの回答によると、WVAは動物福祉を理念として掲げており、それの意味するところは、とにかく「5つの自由」であるとのことです。
WVAのガイドラインの内容は現時点では不明ですが、現在日本の「動物感謝デー」で行われているふれあいは、子どもにウサギなどの小動物を抱かせており、そもそも「行動の自由」を奪っている時点で「5つの自由」の理念にそぐわないものです。もちろん、怖れやストレスを与える点でも、問題があります。
また、過去には狭い檻を用いた野生動物の展示(移動動物園)や、お父さん犬・カイくんの記念撮影など、商業色の強い展示も行われてきました。全国の獣医師を束ねる団体として、またWVAに参加する団体として、これらはあまりにお粗末だったのではないかと思います。
これらの展示は動物取扱業者に外注をしており、現在は、都立園芸高校(業登録あり)が授業の一環としてふれあいを行うため、指導側は高校生となります。園芸高校が業の登録を行っているのは、若者たちが将来そういった職業に就くことを想定してのこととのことで、日本獣医師会もそのことを支持して依頼を行っているそうですが、良識ある大人たちが、十分な給与も出ないような業界に若者を送り込むことを「ふれあい」の名のもとに美化してよいのか大変疑問に思います。
(動物専門学校の問題に関わった際、卒業して就職しても驚くほど給料が安く、生活できないために若い人が辞めていく実態に大変驚きました。ふれあい施設などは、その中でも特に若者に示すべき道とは思えません。)
要望書にはそういった点は書かず、あくまで動物福祉の問題としていますが、本文は以下のページをご覧ください。
※本年のふれあいコーナー中止を求めて来ましたが、要望書提出前に台風による中止が決まったため、来年以降の中止の要請に変更いたしました。
また、日本獣医師会の判断は、全国で行われる地方獣医師会の関連イベント等にも影響を与えうるものと思いますので、ぜひ一言、中止のご意見を送っていただければ幸いです。
日本獣医師会への意見送付フォーム:
https://seo.lin.gr.jp/nichiju/opinion/opinion_form.php
※過去に最も問題があったと思われるふれあいコーナー