コツメカワウソ密輸裁判判決/通報したカワウソカフェには都のセンターの立入り

テレビでもしばしば紹介されていた、密輸カワウソをカワウソカフェに売りつけようとして摘発された去年6月の事件と、その実行犯が関わる10月の別の密輸事件の裁判で、判決が出ました。

経緯がややこしいのですが、カワウソカフェに販売を持ち掛け、店長に通報されて摘発された6月の事件ではMとYという男が逮捕されており、去年12月21日の初公判でYについては即日判決が出ていました。(こちら

その後、第2回公判を待つ間にMが10月の別の密輸未遂事件(羽田空港でカワウソ5匹発見、2匹が死んでおり、さらに2匹がすぐ死んだと報道されている事件)でも逮捕され、今度は、このとき運び屋に使われたHと一緒に、3月14日に第2回公判(Hにとっては初公判、2つの事件を併合して審理)が開かれました。

3月22日には判決があり、主犯のMは懲役2年・執行猶予4年(外為法違反、関税法違反)、Hは懲役1年6カ月・執行猶予3年(関税法違反)の有罪判決でした。

2つの事件で有罪となったMは、最初の6月の事件では運び屋をやり、手口を覚えて10月の事件を起こしたということでしたが、この2つの事件の間にももう1回密輸しようとして9月にタイ側で見つかった話が出ており、未遂事件が別に1つ存在しています。供述が本当であれば、どれだけ安易に犯罪に関与しているのかと呆れますが、カワウソが幾らになるかは知らなかった、だいたいこれくらいだろうと思っていた等述べていました。

しかし、判決でも犯行は組織的・計画的と述べられているような状況にも関わらず、犯行に関与した複数の人間が摘発されておらず、釈然としません。

特にHがタイに渡航することになった経緯は、警察の取り調べで動揺して「会社の社長からカワウソを運べと言われた」と認めてしまったが、本当はただ「ルー」という人物から連絡がくるから連絡を待ってタイに来いと言われただけだったと、裁判では社長Aの関与について事実関係を否認。この真偽について、検察も裁判官も突っ込んで聞いていました。

逮捕でかなり動揺したのは本当だろうとは感じましたが、Hは芸能事務所で働いており、社長Aはタイに女性を見繕いに(とは言わなかったかもですが、そのような趣旨で)渡航していたそうで、おや、ここでもまた「芸能事務所」か?と思いました。(注:社長の名前Aは、ちぃたんの事務所とは違いますので別の会社です)

Mがすべてを話していないこともあり、また傍聴者は調書などの証拠を読めるわけではないので事実関係がわかりにくいところもあったのですが、よく言われる「末端だけが逮捕される」パターンであり、今後の摘発をさらに願うところです。

それにしても、2名とも弁護人は反省していると主張していましたが、そもそもなぜコツメカワウソを密輸してはいけないのか、条約と法律の趣旨を理解して反省しているのかは疑問に思いました。逮捕・起訴され裁判となれば人生に与える影響も大きいですから、ただ単に法律を破ってしまったことを悔やんでいるだけのように感じました。

そういう意味では判決文も、日本政府は条約を正確に履行する義務があると言っていただけのように思います。親を殺して密猟されたであろう子カワウソたちをバッグに詰め、日本まで運び、死なせたり弱らせたりし、不適正な飼育下に置くこと、つまり苦しめるに至ったことについては訴追されていませんから仕方ありませんが、そこについては何も思わないのだろうか?と思いました。

一方、事件を支えているのは、かわいいから、流行りだから、ほかの人が飼っていない動物だからと安易にコツメカワウソを買う人々だということも感じます。事件の動機はお金ですから。

またカワウソブームを煽るメディアや水族館にも責任の一端はあるでしょう。動画を見て「カワイイ!」と騒ぐ前に、そのカワウソどこから来たの?幸せなの?をもっと考える社会にしたいものです。

追記

その後、「ルー」と思しき男の裁判もありました。こちらに概要をアップしました。

コツメカワウソ密輸事件で懲役2年の求刑! 判決は8月6日です

通報したカワウソカフェについて

ちなみに、密輸個体の持ち込みについて警察に通報し摘発の場ともなった池袋のコツメイト、まるで正義のヒーローですが、先日、東京都動物愛護相談センターの立入りがありました。

そもそも同店が現在の場所に移転した際の、第一種動物取扱業の登録時の立入りでは、水の置いてある部屋にコツメカワウソを入れ、開いた穴から手を出させて触れ合わせる形態で営業すると都のセンターは認識していたそうです。

しかし、NHKの番組等で映されていた店舗内部の様子は違いました。水の置いてある部屋からコツメカワウソは出されており、小さなケージに閉じ込められテーブルの上に置かれている様子や、そこから出されて部屋の中を歩かせていたり、人間の膝の上に抱かれ、1匹のコツメカワウソに何人もが寄ってたかって触っている様子などが放映されました。(水が置いてある区画はむしろ映らず)

「カワウソも触らせてるんですか?」と聞くセンター職員に「直接抱かせたり、触らせたりしていますよ」と言ったら、驚いていました。登録時はそのような話ではなかったとのことで、立入りに至りました。センターは、移転前の超ミニ店舗にもカワウソはいたこと(但しすぐ死んだ)も知らず、前の店舗にはカワウソはいなかったと思っていたそうです。

しかし、立入の結果はやはり、直接野生動物を触らせることが法律的に禁じられているわけではないので、水の置いてあるエリア、ふれあいスペース、バックヤードの3カ所でコツメカワウソをローテーションさせていると店舗側に主張されて終わってしまっています。厚生労働省の感染症予防関連のガイドラインにはエキゾチックアニマルを直接触れられないようにすべきであると書いてありますが、やはり弱い。

このようなふれあいカフェは、動物のストレスの問題だけでなく、カワウソをペットのように扱ってよいと人々に思わせ、本来の生態を誤認させ、「かわいい」消費を煽っている点で、密輸を誘発する一因になっているはずですが、まるでよいことをしているかのような話になっているのは疑問です。

多数のコツメカワウソを輸入している店にとっては、密輸ルートを潰したほうが利益になる(=警察への通報で得をする)ということも忘れてはいけません。

▼池袋が本当にカオス

▼コツメカワウソまとめページ

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