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イルカショーなどを禁止したメキシコは、去年、憲法に動物福祉を組み入れた

今年6月、メキシコで、ショーやふれあい等でのイルカなどの海洋哺乳類の利用を禁止する法律が成立しました。そのことについて、やっと世界の動向のページに追記しました。くわしくは、リンク先のページをご覧ください。

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去年、メキシコは動物福祉を国の憲法に組み入れた

メキシコでイルカショーが禁止になった直接の背景には、有名なホテルチェーン「バルセロ」のホテル併設のイルカ施設で、ショー中にイルカがプールの縁に衝突して死亡したことがあります。これにより、このイルカ施設は、封鎖に追い込まれました。

しかし、そこから迅速に法改正にまで至る背景には、やはりメキシコで高まっている動物保護の機運があると思います。特に大きな出来事として、メキシコでは去年、憲法に動物福祉が盛り込まれていることが挙げられると思います。世界でも、まだ9カ国しか実現できていないことです。

翻訳をなかなかアップできずにいる間にイルカショー禁止が決まったので、とても驚きましたが、Voxの記事を短くまとめたものをご紹介します。


メキシコは動物福祉を国の憲法に組み入れた
Vox ”Mexico just put animal welfare into its national constitution”より抄訳全文訳ではありません)

Vox

These reforms are a big win for advocates, but what happens …

2024年12月7日

今週、メキシコ全土の動物にとって大きな勝利がもたらされた。

12月2日、メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は、包括的な連邦動物福祉法の制定への道を開く一連の憲法改正案に署名した。この改正により、人間以外の動物が初めてメキシコ憲法において言及されることとなり、メキシコの動物権利運動にとって重要な節目となる成果が示された。この運動は、メキシコで拡大する食肉産業における広範な動物虐待や酷い監禁の問題に長年焦点を当ててきた。

この憲法改正は、イグアルダ・アニマル・メキシコ、ヒューメイン・ソサエティ・インターナショナル/メキシコ(HSI/メキシコ)、モビミエント・コンシエンシアなどの動物保護団体による2年間のキャンペーン活動の結果として実現したものである。

これらの改革は国際的に見ても特異である。国レベルの動物保護法は珍しくないものの、多くの国の憲法には動物に関する言及が存在しない。

メキシコ以外にも、9つの国が憲法に動物に関する言及を含めているが、それらは一般的に簡潔で解釈の余地があるものとなっている。「メキシコは異なる」と、ハーバード法科大学院の動物法と政策プログラムのディレクターであるクリステン・スティルト氏はVoxに語った。「メキシコの憲法は、より長く、より具体的である。複数の条項にわたって記載されており、単なる一般的な声明にとどまらない。」

多くの国では動物虐待を禁じる法律が存在しており、アメリカでも全50州に反虐待法がある。しかし、それらの法律が動物への暴力を効果的に阻止しているとは言い難い。問題の一因は、これらの法律がしばしば牛、豚、鶏などの家畜動物を対象外としており、その結果、人間に苦しめられる動物の圧倒的多数が保護から除外されている点にある。ここでメキシコの改革が際立つのは、家畜動物やその他の搾取される種を含め、すべての動物を保護することを目的としている点である。

スペイン語圏最大の国であるメキシコにおけるこれらの改革は、世界的な動物の地位向上における重要な進展を示すものである。

しかしメキシコは世界有数の牛肉、鶏肉、豚肉、乳製品、卵の生産国であり、アメリカと同様に集約的な畜産業を抱えていると、HSI/メキシコの事務局長であるアントン・アギラル氏は指摘する。

この改革は何をもたらすのか?

この改革は、メキシコ憲法の3つの条項にわたる変更を含んでいる。最も基本的な変更は、議会が立法できる権限を定めた憲法第73条の改正である。この条項により、連邦政府は動物福祉および保護に関する法律を制定する権限を正式に付与されることとなった。

これまで動物福祉は主に地方自治体と州当局に委ねられており、その結果、国内での法律と執行に不均衡が生じていたのである。

メキシコの全州が動物保護法を制定しているものの、畜産動物も対象としているのはわずか3州である。イダルゴ州、コリマ州、そして動物擁護団体からの圧力を受けて先月からオアハカ州が加わった。また、メキシコには畜産動物に焦点を当てた連邦動物衛生法が存在し、動物福祉についても広く言及しているが、この法律は動物保護ではなく人間の健康保護を目的として制定されたものである。メキシコの連邦野生動物法についても同様であり、個々の動物を虐待から保護するのではなく、持続可能性と保全に重点をおいてつくられたものである。

おそらく今回の改革の中で最も重要な部分は、メキシコ憲法第4条の改正である。この改正では、動物への虐待を禁止し、メキシコ政府に対して動物の保護、適切な扱い、保全およびケアを保証するよう指示している。

第4条と第73条の改正により、動物福祉に関する連邦法の制定への道が開かれたのである。アギラル氏によると、これらの改革の下、メキシコ議会は初となる「動物福祉・ケア・保護に関する一般法」の制定を指示されている。この包括的な法案は、畜産動物、野生動物、実験動物、伴侶動物など、あらゆる種類の動物への虐待を防止するための規制を定め、整備するものとなる。

先週発表された改革令によると、この動物福祉一般法は、動物の「本性、特徴、および人間との関係性」を考慮する必要があるとされている。

最後に、メキシコ憲法第3条も改正され、初等教育および高等教育の学校教育課程に動物福祉を組み込むことが求められるようになった。この改正についてアギラル氏は、「将来世代の態度が持続的かつ長期的に変化する助けとなる可能性がある」と述べた。ただし、新しい憲法の文言は具体性に欠けており、実際の内容次第でその効果が決まることになる。

メキシコにおける動物福祉の次なる課題

メキシコの動物福祉推進派は今後2つの点に注力する予定である。1点目は、総合的な動物福祉法案を強力な法律へと発展させること。2点目は、動物福祉に関する実質的な教育を全国のカリキュラムに組み込むために教育省と協力することである。

新たな動物福祉法案に取り組む立法者にとって、業界の影響力に取り込まれないようにすることも重要である。学術専門家や獣医などの動物関連の職業団体、そして畜産業の生産者といった強力な企業利益を含む、さまざまな関係者が法案に含まれる規制について意見を述べたがるだろう。

しかし、動物福祉運動は政界全体との関係を持っており、この法律の内容を提案する際には、それが有利に働くと考えられる。

しかし、内部的な課題も存在する。さまざまな種や動物福祉の異なる側面を扱う動物福祉団体が、一丸となって協力する必要があるのだ。一部の団体は家畜動物の保護を主に扱い、他の団体は闘牛や闘鶏の禁止に焦点を当て、また別の団体は伴侶動物に関心を寄せている。このように多様な団体が協力し、全員にとって納得のいく提案をまとめるのは容易ではないかもしれない。

「最悪のシナリオは、憲法に理想的な条文があるだけで、何の進展もないことだと思います」とモンテス・フランチェスキーニ氏は語った。

動物福祉の未来は、食肉消費とアメリカ型の工場式畜産が急速に拡大している発展途上国で決定されることになるであろう。メキシコの動物福祉活動家たちは、より野心的で、より大きな影響力を持つ可能性のある新たな領域に踏み込んでおり、これは運動の力強さと政治的手腕の証である。他の国々もこの動きを注視している。

原文 Vox “Future Perfect Mexico just put animal welfare into its national constitution” Sam Delgado, Dec 7, 2024  https://www.vox.com/future-perfect/390144/mexico-constitution-reform-animal-rights

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