動物感謝デーにおける「ふれあい」企画の中止を求める要望書
「World Veterinary Day」の一環として開催されている「動物感謝デー」において、例年ふれあいコーナーを設けている日本獣医師会に対し、Choices for Tomorrow (CFT:あしたへの選択)とPEACEの2団体連名で、以下の要望書を送付いたしました。
背景等、詳細についてはブログの記事をご覧ください。
※2013年のイベントが台風で中止となったため、要望書の段階では来年以降の中止の要請となりました。
日本獣医師会会長
藏内勇夫様
明日開催される本年の「動物感謝デー2013」において、例年と同じように生きた動物を利用した「ふれあい」コーナーが実施されるとのことで、私たちは動物福祉の観点から非常に疑問を感じ、World Veterinary Dayを定める世界獣医学協会(World Veterinary Association: WVA)に対し、過去の映像や写真を送り、問い合わせを行いました。私たちは、「ふれあい」によって小動物にストレスを与えることは、「動物の健康と福祉を通じて人類に貢献する」という世界獣医学協会の理念に反するばかりではなく、獣医師の役割を伝えるWorld Veterinary Dayの趣旨からも大きく逸脱すると考えます。
その結果、世界獣医学協会からは、過去の「ふれあい」コーナーに問題があること、また、短いものではあるがガイドラインを定めるつもりがあるとの回答をいただきました。来年以降のガイドラインについては私たちも未入手ですが、日本のイベントの様子を知ったことがきっかけとなっており、その問題点が内容の参考にされるものと受け止めております。
昨今、ウサギ・モルモットなどの小動物を不特定多数の子どもに触らせることが「ふれあい」としてもてはやされていますが、たとえ実際に触れる人数や時間を限ったとしても、その状況にストレスがあることは間違いがありません。それらの動物が本来どのような動物かということを考えれば、見知らぬ不特定多数の人間に触らせるのは不適切であり、実際に、「ふれあい」に用いられる動物たちは、あきらめを学び、ストレスに倒れています。その状況を日本獣医師会が是とすることは、獣医師の役割として正しいことでしょうか。小動物を扱う開業獣医師の皆様が「動物が新しい環境に移ったときは、動物が慣れるまでそっとしておきましょう」と言っていることと大きく矛盾があります。ペットショップですら、購入直後はむやみに触ったりせず、しばらくそっとしておくようにと指導しています。
また、「ふれあい」は子どもたちに、「動物はおもちゃのように扱ってよい」という誤った関係性を教えており、これもまた獣医師が加担すべき行為とは思えません。
さらに「動物感謝デー」について言えば、数多くの人が来場し、子どもや犬も多く騒がしい中、舞台のマイク音なども聞こえており、動物福祉が担保できているとは到底思えない状況があります。動物たちにとっては、普段とは違う異常な状況ではないでしょうか。さらに当日の動物取扱業者は都立園芸高校とのことですが、高校生をふれあいの指導側の立場に立たせることについても疑問です。
「ふれあい」自体は全国で行われていますが、日本獣医師会が自らのイベントで「ふれあい」を是認するということは、全国の「ふれあい」の問題点を追認してしまうことにもつながり、特に問題があると考えています。本年については台風にてイベント中止となっているようですが、来年度以降、生体による「ふれあいコーナー」の中止を検討していただきたく、ここに要望いたします。
何卒、よろしくお願い申し上げます。