〔アメリカ〕NIHが7つの国立霊長類研究センターをすべて閉鎖すべき7つの理由

日本では文部科学省の予算によってニホンザルの実験用繁殖・供給プロジェクトが行われていますが、このプロジェクトの関係者が参考にしてきたのは海外の霊長類研究センターです。

アメリカには現在も7か所の国立の霊長類研究センター(NPRC)が存在し、実験者にサル類を提供したり、人間の病気に相当すると彼らが信じる霊長類「モデル」を開発したり、哀れなサルたちで実験を行ったりしています

現在、PETAがそのすべての封鎖を求めてキャンペーンを行っているのですが、日本のアクションの参考になる部分もあるかと思いますので、内容をご紹介します。

ただし、日本には動物実験施設に対する動物福祉のための査察制度は存在しないので、その点についてはご注意ください。

NIH(国立衛生研究所)が7つの国立霊長類研究センターをすべて閉鎖すべき7つの理由

PETA Headlines

Cora and Turnip were torn away from their mothers and kept i…

1・あなたの税金がサルを苦しめることに使われている

サルを対象としたおぞましい実験に、あなたがお金を出していることをご存知ですか? NPRCは毎年、NIHを通じて数千万ドルの税金を受け取っています。 つまりNIHは、動物を使わない効果的な研究に資金を提供する代わりに、NPRCに資金を提供し、赤ちゃんザルを母親から引き離したり、サルの陰茎に電気ショックを与えたり、ジカ熱に感染したサルを繁殖させたり、もっと悪いことができるようにしたりしているのです。

2. NPRCでは母親とその赤ちゃんが拷問を受けている

各センターでは、何千匹ものサル、主にマカクザルを飼育し、実験を行っています。おそらく何か月も、場合によっては何年にもわたる実験のために、小さく可哀想なステンレス製の檻に閉じ込められているサルの画像を見たことがあるでしょう。

NPRCの幽閉されたサルたちは交友関係を奪われていますが、誰が友達で誰に助けを求められるかを知ることは、サルにとって、自分で決断を下す機会と同様にもっとも重要なものです。 彼らは自分の人生をコントロールすることができず、強制的に産ませられた赤ちゃんを育てることもできません。

いくつかの NPRC には「繁殖用サル」を飼育する屋外スペースがありますが、赤ちゃんたち・子どもたちは最初の1年以内に母親から引き離され、耐え難い苦しみを味わいます。これらの研究室の繁殖用の囲いにサルを入れたり出したりすることで、しばしば恐ろしいケガが起きたり、場合によっては幼児の死亡につながることもあります。 一度そこから取り出された若いサルは、侵襲的で痛みや苦痛を伴う、多くの場合死に至る実験に使用されます。

3. 何百万ドルもの税金、無数の死、治療ゼロ

何十年もの間、これらのサルの生命を破壊し続けている実験者たちは、彼らが引き起こした苦痛だけではなく、そのずさんな研究結果についても認識していました。これらの非常に社会的な生き物を孤独な生活に追い込むこと、つまり尾の付いた試験管であるかのように使用することは、サルに「生涯にわたる強力な健康影響」を引き起こし、感染症や行動実験の結果を大きく歪める可能性があるのです。

過去60年間に、NPRCでは何十万頭ものサルが死亡しました。

あるNPRCでは、霊長類がケージ内に閉じ込められたまま高温の機械式ケージ洗浄機(ワッシャー)にかけられ、死亡しました。 別の乳児は、母親が十分な量の乳を出していないことにスタッフが気づかなかったために餓死したとみられています。

しかし、HIV、マラリア、結核に効くと約束されたワクチンはまだ実現していません。マカクザルが生物学的にヒトとは大きく異なっており(進化における私たちと彼らとの共通の祖先は2500万年前になります)、マカクザルを飼育下に置くと免疫システムが損なわれることを考えると、このような約束が果たされなかったとしても驚くべきことではありません。もちろん、これらの実験の結果は人間に当てはまるわけではありません。

4・殺しを無罪にする秘訣とは? ラボで行うこと

実験における動物の扱いを監督する法律は非常に弱いため、NPRCやその他の研究所内では、次のようなことはすべて完全に合法です。
• サルを体よりわずかに大きい程度の檻に閉じ込める
• 飢餓と脱水症状を利用してサルにタスクを完了させようとする
• 頭蓋骨や目に複数のデバイスを埋め込む
• 血液や組織サンプルを採取するために長時間拘束したままにする
• 乳児を母親から引き離し、保育器の中に1日 23 時間放置する

5・NIHは自らが資金供与している虐待を十分に認識している

連邦査察官は、すべてのNPRCにおいて、高度な認知能力があり、非常に社会性があり、とても感受性の高いサルたちに対するひどい扱いを文書化しています。 NPRCの残虐行為、過失、無能さにより、サルが負傷したり、死亡したりしています。

獣医師の治療を受けられずに苦しんでいるサルもいれば、術後の適切な鎮痛がされていないサルもいます。何日も行方不明のサルもいるし、さらには焼かれたり、絞められたり、火傷で死亡したりするサルもいます。これらはすべて、実験され、最終的に殺されることに加えて起きていることです。

6・これらのサルは種差別のために拷問され、殺されています

7つのNPRCで動物実験を行っている人々は種差別主義者です。彼らは単に霊長類が人間ではないという理由だけで、霊長類を劣った地位にあると考えています。 種差別は、他の動物を研究ツール(または食べ物、服地、おもちゃ)にすぎないとみなします。しかし、これらの霊長類は私たちの所有物ではなく、人間や他のすべての動物と同じように、独自の利益を持つ存在なのです。このサルたちは… 〔写真入る〕

…あなたの犬のフィドやいとこのジミーと同じように、実験に使うのはよくありません。 フィドやジミーと同じように、これらのサルは、配慮や尊敬、言い換えるならば、そっとしておくことに値します。

7. 今ある7つのNPRCはニューイングランドにあったNPRCより優れているわけではありません

2002年には8つのNPRCがありました。

しかし、2015年、ニューイングランドNPRCは、サルの慢性的・全身的なネグレクトと虐待の記録をめぐる論争に巻き込まれました。脱水症状により12 匹のサルが死亡し、7つのセンターを残して封鎖されました。

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PETA Headlines

Cora and Turnip were torn away from their mothers and kept i…

霊長類研究者、PETAの上級科学顧問となる

このキャンペーンには、元霊長類研究者のリサ・ジョーンズ=エンゲル(Lisa Jones-Engel)が関わっていますが、彼女についての長い記事がガーディアンに掲載されています。

the Guardian

Lisa Jones-Engel quit her work as a lab researcher when she …

彼女はニューヨーク大学の霊長類実験医学・外科研究所で働き、その後、8つの国立霊長類センターのうちの1つであるワシントン大学の霊長類研究センターにも勤めました。名誉ある助成金を受けてアジア各地でマカクザルやその他の霊長類を捕獲してサンプリングするフィールド研究をしながら何十年も過ごし、トップ ジャーナルで論文も発表しました。サルの病気に関する本も共著で出しており、専門知識と信頼を築いてきた人物です。

彼女は、彼女が世話している動物、生物医学研究に使用されているサルたちの状況を改善するために、長い間懸命に努力してきました。大学の動物実験委員会 (IACUC) の委員も務めました。しかし、彼女が実験計画に疑問を抱いたり、情報を要求したりするたびに、たとえ単純な質問であっても、彼女は妨害され、軽蔑され、懸念を抱く研究者として扱われず、トラブルメーカーとみなされました。

そこで、2019 年末、彼女は思い切った一歩を踏み出し、PETAの上級科学顧問に就任しました。彼女がキャリアを始めた頃には予想もしていなかった行動です。

彼女は、アメリカに残る7つの霊長類センターを今後10年以内に閉鎖すると自らに誓っています。

記事はとても長いものですが、こうした経歴を持つ元研究者が霊長類センターのシャットダウンキャンペーンをけん引していることはとても心強いものです。

カリフォルニア大学霊長類研究センターの内部の取材記事

デイリー紙の記者とカメラマンがワシントン国立霊長類研究センター(WaNPRC)の内部を取材しています。PETAの霊長類センター完全封鎖キャンペーンを受けての取材を認めているところは驚きました。(日本の施設なら取材拒否では?)

自然光が一切入らない施設で、サルの多くは落ち着かず、檻の中で必死に動き回っていた等、レポートされています。

The Daily of the University of Washington

Editor's note: This is the first piece in a series about UW’…


日本の実験用霊長類繁殖・供給プロジェクト廃止の署名にも協力してください▼

ナショナルバイオリソースプロジェクト「ニホンザル」による 動物実験のためのサルの繁殖・供給の廃止を求めます

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