ニホンザル親子

動物実験用ニホンザル繁殖・供給プロジェクトの廃止を求める署名にご協力ください!

文部科学省の予算によって20年以上続けられている、動物実験用ニホンザルを繁殖・供給するナショナルバイオリソースプロジェクト「ニホンザル」。このプロジェクトの終了を求める署名活動を、NPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)と合同で立ち上げました。

署名のお願いのページをご覧の上、オンラインもしくは自筆署名(署名用紙に記入して郵送)にてご協力ください。

署名のお願い

動物実験のためにニホンザルを多数飼育して繁殖し、大学などの研究機関に供給しているナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)「ニホンザル」の終了を求める署名をNPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)と共同で立ち上げました。[…]

ナショナルバイオリソースプロジェクト「ニホンザル」による 動物実験のためのサルの繁殖・供給の廃止を求めます
2024年1月22日、2万名を達成しました!☛こちら
引き続き、署名&拡散をよろしくお願いいたします!

署名のお願いページ https://animals-peace.net/stop-nbrpmonkey
Change.orgオンライン署名
https://www.change.org/stop-NBRPmonkey

ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)「ニホンザル」について

以下に、このプロジェクトに関するこれまでの経緯についてまとめました。

ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)とは

2002年に文科省が着手した、動物、植物、微生物などのバイオリソース(生物遺伝資源)、いわゆる研究材料を、整備、安定供給させるための一大プロジェクトです。動物では、ニホンザルのほか、マウス、ラット、鳥類、魚類、両生類、虫など様々扱われています(2023年1月現在)。

その中の「ニホンザル」プロジェクトは、「母群1,500~2,400頭を集め毎年300頭を実験用に供給する」という繁殖・供給数が目標として掲げられ、その母群とするために、過剰繁殖した動物園や野猿公苑から多くのニホンザルが集められました。

今回の合同で署名を立ち上げたJAVAは、このとき、サルの提供を差し止めるべく、札幌市立円山動物園に対し住民監査請求や裁判などの手段で闘っています。残念ながら、2回にわたり計45頭が円山動物園からNBRP「ニホンザル」に提供されましたが、これらのサルは動物実験には直接使わず、繁殖のための母群としてのみ使うとの説明が市民に対してなされました。

NBRP「ニホンザル」では、こうして集めたサルたちから産まれた子ザルを実験用に提供し、提供が開始された2006年度から2022年度までに、35の大学や研究機関に対して、計1048頭が提供されています。

NBRPプロジェクトは5年ごとに一期の形で進められており、現在は第五期にあたります。この「ニホンザル」プロジェクトも現在第五期目となっており、代表機関である京都大学 ヒト行動進化研究センター(2022年の組織改編前は京都大学 霊長類研究所)と分担機関である自然科学研究機構 生理学研究所によって運営されています。

2017年、繁殖・供給を終了した民間委託先の廃止問題が浮上。サルたちはどうなる?

NBRP「ニホンザル」では、繁殖・供給施設は、当初2か所ありました。京都大学霊長類研究所(当時)は愛知県犬山市で放飼場形式の繁殖施設を拡大し、繁殖・供給を開始。一方、生理学研究所は奄美大島の民間企業に繁殖・供給を委託しました。

しかし、このプロジェクトが進むにつれ、当初思い描いたほどの実験用サルの需要がないことがわかってきたのです。

プロジェクトが始まった2002年といえば、まだ動物愛護法に動物実験の3Rの原則が盛り込まれる前です。数の削減を含む「3R」という言葉自体が研究者に知られておらず、実験計画書の審査も、今以上に実体がない時代でした。例えば、生理学研究所の実験計画書では、自らの動物実験計画に自分の印鑑を押して承認としていた研究者がいたことを覚えています。NBRP「ニホンザル」は、そうした時代に、研究者にサルの使用希望数のアンケートをとり、供給計画を立てましたが、現実には需要はその規模にはならなかったのです。

当初予想した規模ほどサルの需要がなかったことの背景には、研究者の意識が変わり、使用するサルの数を抑えるようになってきたことがあるとNBRPニホンザルの関係者自らが述べていました。

NBRPは、一時期、所管が文部科学省からAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)に移っており、文科省の予算をAMEDが配分する形になっていましたが、そのころ公表された報告書によれば、2016年(平成28年)に奄美大島の民間企業での繁殖が終了しています。供給も、それ以前に京都大学に一元化されていました。

そして浮上したのが、繁殖に使わなくなったサルたちのいる民間施設への委託終了の問題でした。繁殖・供給が京都大学に一元化され、奄美大島にある委託先民間施設のサルたちをどうするのかが問題になっていることを、PEACEは2017年に把握し、問い合わせや国会議員へ働きかけを行うなどのアクションをとりました。

このとき、ずっと情報公開等でも秘匿とされてきた委託先民間企業が、株式会社奄美野生動物研究所であることを、やっと国会で文部科学省が認めています。

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ナショナルバイオリソースプロジェクト「ニホンザル」廃止署名

2020年からは、JAVAと協働で文科省などに働きかけ

その後、2020年10月に出版された書籍、増補改訂版「犬が殺される―動物実験の闇を探る」(森映子著/同時代社)の中で、このNBRP「ニホンザル」について、関係者への取材で明らかになった事業縮小や余剰サルの実状が記され、このプロジェクトの問題が改めて注目されることとなりました。

そこでPEACEでは、動物愛護法改正や化粧品の動物実験の活動などで連携しているJAVAと共に、文科省、京都大学霊長類研究所(当時)、生理学研究所に対して公開質問状の送付や陳情を行い、ニホンザルの繁殖・供給の中止やNBRP「ニホンザル」を終了させることなどを共同で働きかけてきました。

2021年9月29日、文科省と面会し要望書を提出

NBRPプロジェクトについて文部科学省に要望書提出
(右から)文科省の辻山生命科学専門官(当時)、PEACE代表の東さちこ、JAVAの和崎事務局長

しかしながら、母群のサルの導入元、繁殖したサルの提供先などは「公表していない」とほとんど情報を明かさず、プロジェクト廃止についてはご意見として承りますという状況でした。

奄美野生動物研究所で飼育されるニホンザルの今後

さらに疑問だったのは、余剰サルの今後について「検討中」との回答を繰り返すだけで何ら情報が得られないことです。

このサルたちの処遇についても、JAVAと連名で代表機関(京都大学)と分担機関(生理学研究所)に計3回の公開質問状で質問してきましたが、いつも「検討中」でした。方針が決まり次第、速やかにその具体的内容を公表することも両機関に対し要望していますが、2021年9月に文科省と面会した際には、「サルを殺処分することは検討の遡上にもあがっていない」という説明以上の情報は明かされませんでした。

生理学研究所からNBRP事業の再委託を受けている奄美野生動物研究所では、2022年3月31日時点で163頭のニホンザルを飼育しています。(その後、NBRPニホンザルのウェブサイトでは飼育数の公表も止めてしまったようで、本日現在、飼育数掲載ページはなくなった状態です)

繁殖に使われたサルたちはどうなるのでしょうか。自然の環境に近く、福祉に配慮された環境に移し、余生を過ごさせるのが、サルを実験利用する研究者や、その実験結果から利益を得る事業者の責任ではないでしょうか。

また、随意契約により毎年巨額の予算が支払われている民間機関がどこであるか、毎年委託費がいくら支払われたかについて、頑なに公表してこなかったNBRP「ニホンザル」と文科省に対し、私たちは強い不信感を抱いています。

そもそも実験用にニホンザルの繁殖を始めたのは、鳥獣保護法に抵触するグレーな野生ニホンザルの実験利用の横行がメディアに暴かれたことによります。NBRPプロジェクトによって透明性を持たせると当初言っていたことは、どこへ行ってしまったのでしょうか。

要望を無視し、第五期をスタート

私たちは、NBRPそのものに反対しているわけではありません。私たちは動物実験ではない研究手法の開発に国は十分な予算をかけ全力で取り組んでほしい、そのためにNBRPで扱うリソースもヒト細胞やヒト組織など代替法に不可欠なものにしてほしいと訴えています。

しかし、文科省は、私たちの要望に応えることなく、NBRP「ニホンザル」を第五期(2022年4月~2027年3月)も継続することを決定しました。しかも、代表、分担両機関に交付する補助金額は同規模で、プロジェクトを縮小させる考えもないこともわかりました。

批判の声が高い霊長類をはじめ、動物の実験使用からの脱却を

科学において動物の使用を避ける方向は近年ますます強まっています。世界の趨勢では、例えばEUは、2010年に加盟国に遵守義務のある「実験動物保護指令」において「動物実験の完全代替という最終目的のための重要な一歩」と明記しました。

さらに2021年9月15日には、欧州議会が、実験での動物の使用を積極的・段階的に廃止するための行動計画を確立するよう欧州委員会に求める決議を採択しています。すでに、オランダのように、2025年までに実験動物に頼らないイノベーションの世界的リーダーになることを宣言している国もあります。日本も、霊長類をはじめ動物の実験使用の廃止を目指すべきです。

認知能力も高く、社会性も強い霊長類を動物実験に用いることに対しては国際的にも特に批判の声が高く、規制強化の方向性にあるリソースである霊長類、そして、このNBRP「ニホンザル」に将来性はありません。

ちなみに、新型コロナウイルス以降、医薬品開発やワクチン開発でサルが供給不足であるといった報道がなされていますが、ニホンザルはこうした用途には使われていません。もともとニホンザルは海外ではほぼ使われておらず、日本の研究者だけが使う特異な実験動物です。

文部科学大臣あての署名活動をスタート

ご賛同をお願いします!

3月、PEACEは、JAVAとともに、NBRP「ニホンザル」をこの第五期でもって終了させることを目指し、文科大臣に次のことを求める署名活動を開始しました。皆さまどうか、ご協力ください。

  1. NBRP「ニホンザル」プロジェクトは、第五期(2022年4月~ 2027年3月)をもって終了させてください。
  2. 第六期の公募において、ニホンザル以外の動物種に関しても、できる限り採択を減らし、動物実験ではない研究手法の発展につながるプロジェクトをサポートしてください。
署名にご協力ください

動物実験のためにニホンザルを多数飼育して繁殖し、大学などの研究機関に供給しているナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)「ニホンザル」の終了を求める署名をNPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)と共同で立ち上げました。[…]

ナショナルバイオリソースプロジェクト「ニホンザル」による 動物実験のためのサルの繁殖・供給の廃止を求めます

署名のお願いページ https://animals-peace.net/stop-nbrpmonkey
Change.orgオンライン署名
https://www.change.org/stop-NBRPmonkey

ナショナルバイオリソースプロジェクトのもう一つの側面

NBRP予算は、なぜか、直接のリソースの維持とは関係のない、もう一つ別のプロジェクトにも使われています。それは動物実験の外部検証推進のための人材の育成と活用を掲げたプロジェクトで、令和3~8年度(2021~26年度)の5年間、公益社団法人日本実験動物学会に資金提供されています。

NBRPが動物実験を生きながらえさせるための事業であることは、こうしたことからも明らかであり、私たちは、文部科学省に方向転換を求める第一歩として今回の署名を位置付けています。

これは、動物実験の適正化という、一見耳障りのよい目的のために使われている予算ですが、動物実験の外部検証は、2005年の動物愛護法改正時に動物実験関係者側が「自主規制として外部検証を実施するから実験施設の登録制等の法改正は勘弁してほしい」と主張してできた仕組みです。

10数年も経って今ごろまだ、このような取り組みができていないと、お金をもらっていることには、呆れるほかありません。欧米では当然あるような法令がないまま行われているのが日本の動物実験です。

署名にご協力ください

動物実験のためにニホンザルを多数飼育して繁殖し、大学などの研究機関に供給しているナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)「ニホンザル」の終了を求める署名をNPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)と共同で立ち上げました。[…]

ナショナルバイオリソースプロジェクト「ニホンザル」による 動物実験のためのサルの繁殖・供給の廃止を求めます

参考記事

アメリカでも国立の霊長類研究センターの廃止を求めるアクションがとられています。参考ください。

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