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動物と人のキメラ(4) 内閣府での最終見解が出る

8月2日、動物性集合胚を動物の胎内へ移植することについて、内閣府の生命倫理専門調査会での最終見解案が示され、細かい修正の議論を経た後、その場で了承されました。報道されている通り、条件付きの解禁を妥当とする見解です。

最終案は、事前に委員とメールベースでやりとりをして意見を反映させてあるとのことで、この日の議論は細かい文言の修正が中心でした。まだ若干の修正が入りますが、以下が当日配布された最終案です。日付は8月2日付になるとのことです。

内閣府の見解としては解禁は条件付きになりますが、具体的にどんな実験はしてはならず、どんな実験なら許されるのか、あるいは、そういった条件をつけるのかつけないのかといったすべてのことが、これから文科省で行われる指針改正の議論の中で決められていきます。内閣府の見解の通りになるとは限りません。

例えば、最終案には、「(~することが)必要である」という表現と「(~すること)適当である」という2つの表現が用いられているのですが、やはりこの二つの表現には度合いの強さに違いがあるとのことで、「適当である」としたところについては、文科省でできることに幅をもたせるため、あえて弱い表現で使い分けたと内閣府の事務局が明言していました。

例えば、個別の研究計画ごとに判断できる体制をつくることについても、かなり肝になる部分だと思いますが、「適当」との表現しか使われていません。つまり、文科省へ配慮する力関係の中でつくられた見解案ということであり、独立性に疑問を感じました。

また、してよい実験を定めるポジティブリスト方式なのか、してはいけない実験を定めるネガティブリスト方式なのか、あるいはその両方を組み合わせるべきなのか、見解案も「こうすべき」とは指定しておらず、この日も議論がありました。(最終案のこの部分については、修正が入ります)

文科省ではおそらく来月あたりから検討が始まるとのことでしたが、どれくらいの期間をかけるのかは明言されておらず、どの程度深い議論をするのか全くわかりません。内閣府の見解には、「動物愛護」についても「必要な配慮を行うことが適当」との文章が入っていますが、一番最後にたった2行です。

生命倫理専門調査会では、「イギリスなどは動物性集合胚を動物実験規制の中で扱っているが、日本には動物実験に関する同様の規制がそもそもない」という議論があったことが最終見解案には反映されていませんし、操作された動物の苦痛に関する言及もありません。これでは、今後の議論でも、具体的なことは最初からスルーされているような状況ではないかと感じます。

実験の目的についても、今は臓器の作成に関する基礎研究に限定されているものを、対象拡大へ向けて見直しを検討することが適当とされているので、動物モデルの作成などが目的に入ってくる可能性があります。国民が声を挙げなければ、正にやりたい放題の状況になるでしょう。

人の尊厳を守ることも危うい状況の中で動物の尊厳を求めることは困難をともないますが、声を挙げていきましょう。

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