堀井動物園 野洲第二飼育場 残骸 未撤去

「滋賀県動物愛護管理推進計画(第3次)」のパブリックコメントに意見を送りました

3月25日、「滋賀県動物愛護管理推進計画(第3次)」が公表されました。今後10年間(令和6年(2024)度から令和15年(2033)度まで)の滋賀県の動物愛護行政の方向性を定める重要な計画です。

PEACEでは、昨年10月6日に滋賀県議会厚生・産業常任委員会で審議された際に公表されていた素案に対し意見書をまず送り、さらに去年11月30日まで実施されていたパブリックコメントにも意見を送りました。(パブコメ意見全文はページ下部に掲載)

パブリックコメント案では、特に「<施策7> 実験動物および産業動物の適正飼養の推進」のところで、実験動物に関し、どうしても疑問があり修正してほしかった部分があったのですが、公表版を確認したところ、無事修正がされていました。対応してくださり、感謝しかありません。具体的には、下記の部分です。「滋賀県動物愛護管理推進計画(素案)に対して提出された意見情報とそれらに対する滋賀県の考え方について」より。太字は当会による)

PEACE意見基本指針の遵守は義務ではないため、「所管する研究機関等で適正な対応を行っています。」を「適正な対応が求められています」と修正してほしい。
滋賀県回答御意見を踏まえ、「所管する研究機関等での適正な対応を求めています。」に修正します。

また、滋賀県の計画に特に関心を寄せていたのは、旧・堀井動物園(現在はめっちゃおもろい動物園)の問題があるからです。県内にはほかにも、第一種動物取扱業の登録時に申請していた取扱数を大幅に超える数の爬虫類を全国の展示即売会に連れまわしていた業者もいます。

ですので、「動物関連事業者パートナーシップ制度」について、手を挙げた事業者に行政がお墨付きを与えるようなものになるのではないかと、特に懸念を持っていたのですが、回答では以下のような内容が示されました。事業者に取り組みを促すものとなるようで、とりあえず安堵しました。普及啓発が進むことを願っています。

PEACE意見○飼育環境や事業内容が不適切な事業者に県がお墨付きを与えないよう、また、多頭飼育崩壊を誘発しないよ
う、事業者と県との連携は慎重に考えるべき。
○「動物関連事業者パートナーシップ制度」との記載は時期尚早であり、より具体的に内容を検討し、市民へ説明するまでは導入を決定するべきではない。削除するべき。
滋賀県回答パートナーシップ制度については、認定、認証、承認などのスキームではなく、事業者側が自ら取り組む事業として検討しているため、御意見を踏まえ、パートナーシップ事業に修正いたします。
県民一人ひとりの動物愛護への理解を深め、本計画の目標としている犬猫の実質的な致死処分ゼロを達成するには、行政に限らず、様々な主体・機会を通じた働きかけが必要と考えています。そのためには、ペットショップ、ブリーダー、ペットトリミング、ペットホテル、ペットフード販売店など飼い主に関わる動物関連事業者の協力を得ながら、飼い始める前から継続的に終生飼養をはじめとする普及啓発を実施することが必要と考えており、パートナーシップ事業による普及啓発に取り組んでまいります。

そのほか、計画の内容は動物愛護行政全般にわたります。最終版は下記でご確認ください。

修正された最終公表版

PEACEで提出した意見

【該当箇所】
・素案「第4章 施策展開の方向」の「計画の重点取組」のうち、7ページ185行目からの「【重点取組3】動物取扱業者の一層の適正化および飼養管理基準の着実な運用」
・25ページ588行目からの【具体的事業】
【意見】
「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令」(飼養管理基準)を遵守し、動物の習性に応じた適正飼養を行うよう指導する旨が書かれていますが、現行の施設へ指導を行うだけではなく、第一種動物取扱業の新規登録に際しても、飼養管理基準が守られていることを厳格に審査する旨を追記する必要があります。
登録時の審査の厳格化を追加してください。
【理由】
滋賀県では、狭隘なケージ等での不適切・不衛生飼養や、必要な設備等が欠けた状態での管理、キャパシティを超えた状態での雑な飼養管理、長距離・頻回の輸送、監視のない状態での触れ合い等、多種多様な動物種を動物を苦しめる営業形態となっていた業者の第一種動物取扱業の登録を過去に行ってしまっていました。登録取り消し処分を受けて営業できない状態ですが、当該事業者の身内による類似の形態の事業を登録してしまっています。
飼養管理基準に書かれていることを厳格に審査すれば登録はできなかったはずであり、当該計画においても登録時の審査の重要性を認識していただきたいです。


【該当箇所】
・20ページ 466行目
・25ページ 605行目
・30ページ 730行目3 動物関連事業者との連携
【意見】
「動物関連事業者パートナーシップ制度」との記載があるが、削除するべき。
【理由】
どのような制度なのか、詳細の説明がなく、不安です。きちんと市民へ向けた説明がないままに導入を決定するべきではないと考えます。より具体的に内容を示してから市民に是非を問うべきです。

まず、どういった事業者が選定されるのか、非常に懸念を持ちます。
先述のとおり、滋賀県内には十分な飼養環境を与えることができていない事業者がいます。また、安易なエキゾチックアニマルの飼育を促してしまっているような事業者もいます。
事業自体が不適切と言えるのに、県がお墨付きを与えるようなことが起きれば最悪です。

さらに、昨日、ホームセンター内のペットショップでの虐待で事業者が逮捕されました。このことは一見平均的なショップに見えても、虐待が起こりうることを示しています。
事業者と県との連携は慎重になっていただきたいです。

特に「緊急時の預け先の説明」とありますが、意味がわかりません。ここに預けろと事業者が教える制度なのでしょうか?
事業者自らが預け先となることは厳に避けるべきです。
滋賀県から行政処分を受けた動物展示業者は、飼えなくなった学校や飼育者、野生動物を捕獲した者等から多くの動物を集め、不適切飼育のみならず違法飼育でも繰り返し指導を受けていました。また、非営利事業者ではありますが、滋賀県
では過去に飼育できなくなった者や学校等から多くの小動物を集め、最後は多頭飼育崩壊に陥った者もいます。
適正に飼育できない事業者とパートナーシップを結んだり、多頭飼育崩壊を誘発したりすることのないよう、新しい施策に関しては慎重に検討するべきです。計画への記載は時期尚早です。


【該当箇所】
15ページ 379行目  (2)特定動物による危害発生防止
【意見】
特定動物の許可に際し、厳格に審査することを盛り込む。
【理由】
全国各地で不適切な設備や飼養管理によって特定動物が逸走し、周辺住民に大きな不安を与えています。滋賀県内では、多数の特定動物を飼育する事業者がいましたが(現在は愛玩飼育)、動物園等で採用されているような堅牢な施設とはなっておらず、移動式の簡易な設備で許可が下りてしまっています。いったん災害等が起きれば、逸走しうる状況です。
2019年の動物愛護法改正により特定動物は愛玩飼養が禁止となり、また今後、動物取扱業者には飼養管理基準の強化が予定されています。
今後は、これまでのような小さな設備での許可は許されなくなってくるはずであり、本計画のなかでも特定動物の許可の厳格化を盛り込んでいただきたいです。
動物福祉が担保されるような十分な広さがあり、かつ地面に作り付けとなっている堅牢な施設についてのみ許可を下すべきであり、地震や強風で倒れたり、水で流されたりする可能性のある設備での許可はしないことを明確にしてください。


【該当箇所】
30ページ 749行目  「所管する研究機関等で適正な対応を行っています。」
【意見】
「適正な対応が求められています」と修正する。
【理由】
文部科学省、厚生労働省、農林水産省から基本指針が挙げられていますが、これらの指針の遵守は義務ではありません。罰則もなく、実態として意味のある実験計画書の審査が行われているかなどは、外部からではわからないのが現状です。
滋賀県では、適正な対応が行われているかどうかは、どのように確認されたのでしょうか。
立入検査等を行っていないはずであり、適正となっているかどうかの確認は行われていないはずです。
例えば先日刊行された書籍『あなたの知らない研究グレーの世界』(中外医学社榎木英介、田中智之)でも、動物実験計画書の審査がずさんである例が示され、「残念ながらわが国においては欧米に比べて実験動物の福祉が遅れている状況にある」とはっきりと書かれていました。
「適正な対応を行っています」と断言はできないはずですので、「適正な対応が求められています」への修正をお願いいたします。


【該当箇所】30ページ 762行目  【具体的事業】
【意見】実験動物・畜産動物についても不適切事例への指導・監視を行うことを含めてください
【理由】
例えば今年7月、海外の団体が茨城県の畜産試験場である「畜産センター」における牛の虐待及び不適切飼養の実態を暴露しました。当該施設の動物は、畜産動物であり、また実験動物でもあります。
本件については当会をはじめとした複数の団体で刑事告発を準備中ですが、不適切飼養に関しては、似たような状況が全国の畜産施設で多発・状態化しているものと思われます。
しかしながら、現在の動物愛護法では、実験動物と畜産動物の適用除外が「第3節 周辺の生活環境の保全に係る措置」(第25条)にも及んでいるため、不適切飼養や虐待の恐れがある場合であっても勧告・命令を出すことができません。これにより、実験動物と畜産動物の不適切な取り扱いをどの部局が正すべきなのかも明確ではなく、法の空白状態が、長年、日本では続いています。
しかし、環境省によれば、自治体条例によって立入検査等の規定があれば動物実験施設及び畜産施設にも立入・指導等を行うことができるとのことです。
「滋賀県動物の保護および管理に関する条例」においては第14条に立入検査規定があり、これを活用し、実験動物・畜産動物についても指導・監視を行うことができるのではないでしょうか。
本動物愛護管理推進計画において、指導・監視を行うことを明確にしていただきたいです。

ーー
【該当箇所】30ページ 767行目 【具体的事業】
【意見】動物実験施設の実態把握の方法について、アンケート調査、立入調査など、明確化してください。
【理由】
「自主管理の実態把握に努めます」としてくださり、大変ありがとうございます。法律・条例がない中、動物実験施設の所在を全て把握することは困難かと思われますが、どのように告知・把握を行っていくのか、より方法が明確にしていただけるとうれしいです。

ーー
【該当箇所】15ページ 370行目からの「2 危害発生防止の推進」
【意見】事故の報告義務をすべての動物(哺乳類・鳥類・爬虫類)に拡大してください。
【理由】
条例の改正が必要になる事項かとは思いますが、現在特定動物と犬のみになっている事故の報告義務について、すべての動物(哺乳類・鳥類・爬虫類)に拡大する旨を盛り込んでください。
滋賀県では、例えば室内型動物園で、令和3年、ハシビロコウによる咬傷事故で、児童が顔を5針縫うけがを負っていますが、治療にあたった医療機関からの情報提供となっており、事業者の被害者への対応についても不満が残るものであったことが記録されています。
この事業者が関連していた移動動物園では過去に数回、動物による事故が発覚しています。
事故を未然に防ぐことが最も重要ですが、そのためには事業者に事故を起こさせないような意識の向上を促す必要があります。
治療を要する事故に至ったケースついては全て報告義務を課すことで、事業者の意識向上を図り、適切な対応がとられるよう指導を行ってください。
なお、条例にて事故の報告をすべての動物としている自治体には、東京都、茨城県、岡山県、福岡県があります。

ーー
【該当箇所】15ページ 370行目からの「2 危害発生防止の推進」
【意見】エキゾチックアニマル等との直接のふれあいを行う事業について自粛を求めるものとしてください。
【理由】
そもそも、厚生労働省の定める「ふれあい動物施設等における衛生管理に関するガイドライン」では、「感染の機会をできるだけ減らすため、エキゾチック動物(アライグマ、サル類、プレーリードッグなど)や気性の荒い動物種は直接触れられないようにすべきである」「幼弱な反芻獣や家禽、爬虫類並びに病気の動物は腸管系の疾患を伝播する可能性が高いので注意が必要である」等の定めがありますが、守られていません。
動物福祉の観点からも、動物にむやみに触らせる形態の事業は適切ではなく、この規定を事業者に周知・徹底していただきたいです。
本動物愛護管理推進計画において、その旨を宣言していただきたく、何卒よろしくお願いいたします。

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