茨城県畜産センター 胃液採取に苦しむ牛 3歳で死亡した「ハーモニカ」

苦しい胃液採取は、どのように行われたか

私たちが牛への虐待で刑事告発した茨城県畜産センターは、動物実験施設でもあります

実際に実験手技が行われている光景も動画で見ていただければと思い、乳牛が胃液採取されている様子をYouTubeで公開しました。

ハーモニカという名のこの牛は、胃液採取に使われていました。何度もチューブを鼻から出し入れされ、血を流し、管が入らないときはパイプを喉に差し込まれました。胃液採取は毎回、このハーモニカという牛で行われていました。

ハーモニカはこのような苦痛を何度も味わわされ、2023年1月、3歳で死亡しました。本来20年ともいわれる牛の寿命から考えると、とても若くして死んでいます。

廃用となる通常の乳牛たちのように、肉とするため屠畜場に送られたわけではなく、畜産センターでの死亡です。(病死等なのか実験殺なのかは、わかりません)

苦痛に満ちた短い生涯に、どうか思いを馳せてください。元従業員の方のレポートも下記に掲載していますので、併せてお読みください。

元職員による報告 処置の後には大量の唾液が残された…

茨城県畜産センターでは1か月に1~2度、乳牛の第一胃(ルーメン)液の採取を行った 。胃液採取は毎回同じ、ハーモニカという乳牛で行われた。
私は4回、ハーモニカの胃液採取に携わったが、いつも胃液は簡単にはとれなかった。

ハーモニカを連動スタンチョンに縛り付け、はじめは鼻から長いチューブを入れた。だが「この感じは肺にはいってるんじゃないか」と言って、なかなか胃液を吸い上げることができず、何度もチューブを鼻から出し入れする作業が繰り返された。ハーモニカは鼻孔から血を流し、口からはよだれをだらだらと垂らした。ポンプが吸い上げるのは胃液ではなく血が混じった唾液だけだった。

何のためにこんなことをされているのかわからないハーモニカは、この作業中スタンチョンをガタガタさせて何度も暴れた。右の鼻の穴からやってうまくいかず、次に左の穴からやってもうまくいかず、最終的にはプラスチックのパイプが用いられた。

茨城県畜産センター 動物実験

2022年6月7日 ハーモニカの胃液取り プラスチックのパイプが口に突っ込まれている

一人の職員が抵抗して固く閉じているハーモニカの口を両手でこじ開け、もう一人がハーモニカの長い舌を引っ張り出してつかみ、プラスチックパイプを喉にねじ込んだ。今度はそのパイプを通して口からチューブを入れて胃液を採取しようというのだが、それもまたすぐには成功しなかった。また何度もチューブが出し入れされ、胃液を採取できるまで、ハーモニカを拘束してから20-30分くらい かかったと思う。しかも私が携わった4回ともプラスチックパイプが用いられた。

胃液採取が終わった後は、ハーモニカが垂らした大量のよだれが床に残っていた。

なお、当時、何のための胃液採取なのか聞いても、人によって回答が異なっており、よくわからなかったそうです。

PEACEでは動物実験計画書と報告書の写しを開示請求で得ていますが、該当する年度に乳牛に関する動物実験を承認した計画書は存在しませんでした。黒毛和種では胃液採取も報告されており、実験手技に含まれることは間違いないはずです。このことも甚だ疑問です。

茨城県への質問書でも胃液採取についていくつかの質問をしましたが、県は具体的な回答をしません。そのことへも抗議もしましたが、あくまで回答はしない構えです。

農林水産省に意見を! 苦しい実験を止めさせて!

茨城県畜産センターは県が設置する畜産試験場であり、環境省の定義に照らし合わせても、そこで飼育されている動物は実験動物です。

しかし、農林水産省は、動物実験基本指針の対象から、こうした畜産関連施設を除外しています。農林水産省の動物実験基本指針は、対象がものすごく限られているのです。あくまで、基本指針の「その他」の項で、「この基本指針が適用されない研究機関等においても(中略)この基本指針に準ずることが望ましい」としているにすぎません。

そして、茨城県畜産センターは、動物実験委員会を設置し、研究者に動物実験計画書を事前に提出されているにもかかわらず、その書式には、どのような実験を行うのか、手順・内容を書かせる欄がありませんでした。これでは委員会での審査はできず、動物実験施設としては、あり得ないことです。

なぜか茨城県畜産センターは実験終了後の報告書に実験手順を書かせていますが、それでは遅すぎます。事後報告では、動物実験の3Rの原則(代替、数の削減、苦痛の軽減)をどうやって担保できるのでしょうか。実験内容を計画書に書かせずに、動物実験の審査ができるはずがありません。

また、明らかに同センターの職員は手技が未熟で、熟練していません。苦痛を軽減するためには、必要なものをそろえたり、従事する者を訓練したりする必要がありますが、畜産センターはそれを怠っていると思わざるを得ません。

どうか農林水産省に、このような苦しい動物実験を止めさせるよう、意見を送ってください。農林水産省の動物実験基本指針は意味をなしていないと伝えてください。

メールフォーム:農林水産省総合窓口

関連情報

関連するページを見るには、まとめページからたどってください。

関連記事

2023年7月、PETAアジアが茨城県畜産センターの牛の暴力的扱いや劣悪な飼育環境について、内部告発に基づく暴露を行いました。動物実験施設でもあるこの施設の問題について、PEACEでも投稿をしてきましたので、このページから関連情報をたどれる[…]

最新情報をチェックしよう!
NO IMAGE

動物の搾取のない世界を目指して

PEACEの活動は、皆さまからのご寄付・年会費に支えられています。
安定した活動を継続するために、活動の趣旨にご賛同くださる皆さまからのご支援をお待ちしております。

CTR IMG