東京・八王子市の動物病院が、無登録で犬にトリミングを行っていたとして書類送検されたとの報道がありました。動物病院を運営する法人と社長の男性(院長)が送検されており、第一種動物取扱業(保管)での登録が必要だったのに行っていなかったと警視庁は判断したそうです。
発端は、おととしの10月に起きた痛ましい事故で、この動物病院は無登録営業であるにもかかわらずトイプードル1匹を預かり、あろうことかトリミング中に高さおよそ80センチの台からの落下で死亡させてしまったとのこと。なんという…。
去年7月、トイプードルの飼い主が無許可営業を刑事告発したと報道にありました。
この動物病院は17年間も無登録状態だったそうですが、これは獣医業界が動物愛護法を軽視してきたことのあらわれと思わざるを得ません。
かなり前の話ではありますが、第一種動物取扱業の登録をしないでトリミングやペットホテルをやっている動物病院がたくさんあると憤っている獣医師の先生がいらっしゃいました。これは現在どの程度改善されているのでしょうか。こうして事件として浮上してきたことを考えると、ほかにもまだ同様の動物病院はあるのではないかと疑ってしまいます。
今回書類送検された動物病院は現在無登録なので、有罪になると5年間、第一種動物取扱業の登録はできません。つまり、5年間トリミングやペットホテルの営業はできません。(既に登録がされている事業者の場合、登録を取り消すかどうかは自治体の判断になるので、また話が違ってきますが、登録がない事業者は新たに登録しようと思ってもできません。)
確かに動物取扱業の規制に実効性がないということはしばしば取りざたされていますが、実はそれなりに強いペナルティがあることを獣医師も理解するべきではないでしょうか。
獣医倫理の教科書で動物取扱業のことがほとんど無視されていることが、本当に疑問です。きちんと獣医大で教えるべきです。
日本の大学の獣医学教育は、現在、個々の大学の特色を残しつつも、共通の到達目標として「獣医学教育モデル・コア・カリキュラム」が採用されています。このコア・カリキュラム(コアカリと略されることも)に準拠した教科書が教科ごとに編纂されてお[…]
関連報道
- TBS News Dig「東京・八王子市の動物病院 無登録で犬を保管しトリミング業を営んだか 警視庁が法人と社長を動物愛護法違反の疑いで書類送検 犬はトリミング台から落下し死ぬ」2023年4月3日
- 産経新聞「無登録で犬預かりトリミング業…容疑の動物病院書類送検 犬は台から落ちて死ぬ」2023年4月3日
- 共同通信「無登録預かりか、トイプー落下死 動物病院の院長書類送検、警視庁」2023年4月3日