ビーグル犬 実験 グッドニュース

アメリカで徐々に広がる「ビーグル自由法」~実験動物から伴侶動物へ

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実験に用いられた動物たちを一般家庭や譲渡団体へ譲渡すことを可能にする動きについて、これまで、アメリカでは食品医薬品局(FDA)が認める方針を打ち出したことアメリカ実験動物医学協会が支持の立場を表明したことなどをお知らせしてきましたが、もう一つ、実はアメリカでは州法で一般譲渡を義務化する動きが広まってきています。

いわゆる「ビーグル自由法(Beagle freedom law)」がそれで、州によっては「研究用犬猫養子縁組法(Research Dogs and Cats Adoption Act、イリノイ州)」や「英雄的動物のための家庭法(Homes for Animal Heroes Act、ニュージャージー州)」など別の名称を設けていることもありますが、動物実験に使われた犬と猫について、一般譲渡可能な場合には譲渡を義務とする州法が、すでに14州で採用されています。

先日、朝日新聞が、実験犬販売会社であるマーシャル・バイオリソーシス・ジャパンの実験犬譲渡の取り組みについて紹介しましたが、マーシャルもアメリカの会社です。この記事ではこう書かれていました。

役割を終えた実験動物は基本的に安楽死させる。でも体に影響を残さない非侵襲(しんしゅう)的な実験用の動物や、もともと予備として飼育されていた動物などは、命を奪うことなく、ペットとして譲渡できる。動物福祉や情報開示の観点から、欧米を中心に、実験動物をペットとして送り出す譲渡活動は一般的になりつつあるが、日本ではこれまで、組織だっての事例は見られなかった。動物実験業界の閉鎖性が背景にある。そこに風穴を開けたかった。

(「実験動物をペットとして譲渡 突き動かす『業界に風穴を』という思い」より
朝日新聞 太田匡彦 2022年12月7日)

朝日新聞デジタル

 動物実験業界に長く身を置く、安倍宏明さん(50)。いまは世界最大の実験犬販売会社の日本法人で代表を務めています。数年前…

こうした動きは「動物実験では最後に動物は殺される」という現実に対する悪いイメージを払しょくするために行われている側面もありますが、命が救われること、温かい家庭生活が待っている動物であれば取扱いが慎重になる可能性があることなどから、やはり日本でも広まってほしいと思います。

もちろん、動物実験自体をなくすことが重要ではありますが、実験動物が余りにも身近でないことが、特に日本では障壁となっていることも感じます。

ビーグル自由法を導入した州はどこ?

実験犬猫の解放を義務付けている州の地図

ミシガン州立大学のアニマル・リーガル・アンド・ヒストリカル・センターがウェブサイトで「ビーグル自由法」を取り入れている州のマップを公開しており、地図をクリックすると各州の州法の条文を見ることもできます。

ここには、2023年4月現在、下記のように記されています。

この地図には、2023年1月現在、一般に「ビーグル自由法」と呼ばれる14の州法が記載されています。これらの法律は、引退した研究犬が研究目的で不要になった場合、一般家庭に迎えられるよう解放することを義務づけています。通常、この法律は、研究施設と非営利の動物保護団体やその他の動物養子縁組団体との関係を促進し、これらの団体が引退した犬を一般の人々に譲渡することを可能にします。アイオワ州は、このような法律を制定した最も新しい州となりました。

2023年1月時点でビーグル自由法が成立している州

  • マサチューセッツ州 犬、猫
  • ロードアイランド州 犬、猫
  • コネチカット州 犬、猫
  • ニューヨーク州 犬、猫
  • ニュージャージー州  犬、猫
  • メリーランド州 犬、猫
  • デラウェア州 犬、猫
  • イリノイ州 犬、猫
  • アイオワ州 犬、猫
  • ミネソタ州 犬、猫
  • ワシントン州 犬、猫
  • オレゴン州 犬、猫
  • ネバダ州 犬、猫
  • カリフォルニア州 犬、猫

追記:連邦法も法案提出されている

まだ成立していませんが、アメリカでは連邦議会でも、伴侶動物の動物実験からの解放を進める法案が提出されてきています。

2023年も、Companion Animal Release from Experiments ActCARE法H.R. 2878の法案が提出されました。この法案は、犬、猫、またはウサギを研究目的で使用し、国立衛生研究所(NIH)から研究費をもらっている研究施設に対し、実験の終了後にその動物を家庭への一般譲渡に出すことを義務付ける内容です。

追記(2023.8.27)

また、犬、猫、霊長類、ウサギ、その他の動物が連邦政府の研究所で不要になった場合、動物保護団体やサンクチュアリ、個人などのもとに引退させ、再飼育するよう連邦動物福祉法を改正させる法案、通称バイオレット法も再度法案提出されました(H.R.1465)。動物実験に使われたのち、一般家庭に引き取られた元実験犬、バイオレットの名前にちなんだものです。

法案提出を行った議員によるプレスリリースでは、すでに国立衛生研究所(NIH)、食品医薬品局(FDA)、退役軍人省、国防総省が実験動物の引退方針を制定したそうですが、農務省、疾病予防管理センター(CDC)、その他の動物実験を行う機関ではそのような方針は導入されていないとのことです。

Representative Nancy Mace

 Bill to allow animals to be retired & re-homed when they ar…

関連情報

実験動物の一般家庭への譲渡に関する記事をまとめたページを作成しました。まだ少ないですが、このページからほかのPEACEの記事へ飛ぶことができます。

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