農地法違反による第一種動物取扱業の登録取消について、環境省の見解

堀井動物園第二飼育場(写真↑)の農地法違反について、これまであまり詳細をアップして来ませんでしたが、やはりきちんと第一種動物取扱業の登録取消に関する環境省の見解を載せておきます。

経緯

この第二飼育場については、そもそもは悪臭等が発生していることが問題なのですが、苦情対応についての記録を情報公開請求するなどしていたところ、農地法違反でも指導を受けていることがわかりました。

堀井動物園側は、当初、違反しているのは地主であって園ではないと主張していましたが、弁護士さんによれば、そもそも農地法違反では賃貸借契約は無効なのだそうです。

●農地法違反と賃貸借契約の関係
農地又は採草放牧地の賃貸借には農地法が適用されており、農業委員会の許可が必要になる。この許可を得ていることが賃貸借契約の効力発効要件とされているので、農業委員会の許可がない土地の賃貸借契約は、法律上、無効である。
ただし、民間同士の契約としては生きるので、地主と借主のあいだでは問題は生じないが、第三者から見たときには、土地の利用者は占有権限がないにも関わらず土地を占有していることになる。

それなら農地から転用すればよいではないかと思う向きもあるかもしれませんが、この第二飼育場の土地は、農振法(農業振興地域の整備に関する法律)で農地以外への転用ができない場所になっています。将来にわたり農業をやってほしいと考えられている土地になるわけです。

つまり堀井動物園に第一種動物取扱業を営むための土地の権原がないことは明らか。第一種動物取扱業の登録の取消の対象になるのでは?と思い、環境省に確認したところ、昨年、見解をいただきました。

環境省見解は…

土地について権原がないのに権原「有」として申請し、これにより登録を受けた場合は、動物愛護法第19条に基づく、知事の登録の取消または業務停止を命令できる場合に該当すると考えるとのことでした。「有」が事実と異なるためです。

ただし、権原がないかどうかの判断は、該当する土地について農地法に関する権限を持つ当局の判断によるべきとのことなので、この場合は、野洲市の農業委員会が権限の有無を判断することになります。

野洲市の農業委員会は、農地法違反で立ち退きを指導しており、第二飼育場について、堀井園長に土地の権原がないことは確認しています。

12月28日に堀井動物園園長の動物愛護法違反の判決が出ますが、第二飼育場については、有罪であってもなくても、本当ならいつでも業の登録の取消ができる状態です。

実はこの環境省見解をもって、滋賀県に対し、登録取消と、それへ向けた段階的な対応について要望をしていますが、堀井動物園園長が刑事裁判になってしまったため様子見となっていて、この件については回答をまだいただいていません。

動物がいるから配慮してもらえていることに甘えて、新しく移動動物園のためにキリンを購入したのですから、いかに手に負えない事業者かということがわかります。

<参考>第一種動物取扱業の登録と、土地・建物の権原との関係について

  • 第一種動物取扱業の登録を受けようとする者は、動物愛護法第10条2項により申請書及び添付書類を都道府県知事等に提出することになっている。
  • 都道府県知事等は、省令(施行規則3条)に定める登録基準に適合しない場合は、法12条1項により、登録を拒否しなければならない。拒否する場合を除き、登録はしなければならない。
  • 省令(施行規則3条1項一号)では、事業所・飼養施設の建物と土地について事業の実施に必要な権原を有していること、とされている。
  • 権原を有しているか否かについては、申請書に記載欄があり(有・無チェック欄)、この記載に基づいて、都道府県は権原の有無を確認している。
  • 権原の有無を確認する書類は、添付書類として定められていない。つまり、申請書で権限「有」に印がつけられていることをもって、自治体は事業者に権原ありという判断している。
  • 施行規則2条3項により、都道府県知事等は、同条2項以外の必要と認める添付書類の提出を求めることはできるが、権限について書類を確認している自治体は3分の2程度。(2015年アンケートより) 
  • 滋賀県も書類確認しない自治体の一つ。

動物愛護法改正に関連して

農地法違反での取消・営業停止については、現在は運用的な見解があるだけです。ほかにも違反事例はあるものの、取消・営業停止の実例はないと思われます。

この環境省見解が出るまで、滋賀県はずっと法律に要件として書かれていないのだから取消はできないと言い張っていましたし、ぜひこの動物愛護法改正では、農地法違反も登録の拒否・取消要件として明確に書き込んでほしかったのですが、殺処分ゼロ議連の骨子案からは漏れてしまいました。

ペット業界が農地でも犬の繁殖を行えるように要望しているという聞き捨てならない話もあり、実は農地法は堀井動物園だけの話ではないのです。

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