先月18日、市ヶ谷にあるセルバンテス文化センターが開催した「動物の権利 その起源と現在の課題」と題する講演会を聞いてきました。
講師は、動物法を専門とされているMarita Gimenez-Candela(マリータ・カンデラ)博士。スペイン語の講演を通訳を介して聞きました。
スペインでアニマルライツなら闘牛の話?などと若干余談と偏見を持って挑んでしまいましたが、動物の法的地位を非「物」化するということについて、EUでの流れに関する大局的な話となっていました。
というと、またEUは進んでいる!という話か…と思われるかもしれませんが、私たちが「進んでいる、進んでいる」と考えがちなEUも、まだまだ道半ばであり、長い歴史を振り返れば、変わり始めたのはつい最近であるということも感じました。
大きな流れは、ここ3~40年の間に起きており、特に画期的判決とされるいくつかの裁判所の判断は、2013~2015年の間になされたものです。
また、動物の法的地位に関してターニングポイントとなったのは、2009年に発効したEUの基本条約であるリスボン条約の第13条に動物福祉について盛り込まれ、動物は“sentient beings”であるとされたことだ、とのこと。
“Sentient beings”は、日本ではよく感受性ある存在と訳されますが、痛み、苦しみ、ストレス、喜びなどを感じる存在であるという意味とのことですから、日本でも間違った理解はされていないように思います。
動物の扱い方について細かい取り決めをつくるEUの動きは、日本から見ると羨ましい限りではありますが、上記のような出来事は、それでもここ10年以内の出来事です。
法律の専門家が、妙な忖度はせずにストレートに動物権を語るところは日本ではまだまだありえないかもしれませんが、日本でも社会の流れを変えていくことはできるのではないか…と感じることのできる講演会でした。
そのためには、見て見ぬふりをしないこと、そして訴え続けることだとおっしゃっていたのは印象的です。