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STAP細胞論文の動物実験計画書についての質問書

2014年5月9日UP
2014年6月11日補足情報へのリンク追記
2014年6月14日理研回答へのリンク追記

理化学研究所発生・再生科学総合研究センターのSTAP細胞に関する論文で不正があったとの調査結果が出ましたが、当会で情報公開請求を行った結果、そもそも実験計画書の提出が行われないまま動物実験が行われていた疑いも浮上してきました。本日、理研の情報公開窓口に質問書を送付いたしましたので、全文を公開いたします。

追記:
背景となる指針・規程などについては、以下のページを参照ください。

回答について:

理研からの回答が来ました。納得いきかねる部分があり、再質問書を提出しました。以下のページをご覧ください。

参考:
関係する実験計画書は以下の通りです。
PDF STAP動物実験計画書1
PDF STAP動物実験計画書2

▼理研(つくば)のマウス
rikenmouse_top


2014年5月9日

独立行政法人理化学研究所
総務部総務課 情報公開担当窓口 御中

STAP細胞論文に関する発生・再生科学総合研究センターの
動物実験計画書についての質問書

私たちは、現代社会において大量消費される動物たちの現状に心を痛め、活動をしている動物保護のグループです。

現在、イギリスの科学誌「ネイチャー」に掲載されたSTAP細胞に関する論文の不正について社会的にも大きな関心が寄せられているところですが、私たちは、発生・再生科学総合研究センターの小保方晴子ユニットリーダーが万が一意図的にねつ造を行っていた場合、存在しない科学的根拠に基づいて動物を犠牲にした可能性があり、動物倫理の面からも問題があるのではないかと考えました。そのため、論文不正の疑惑が浮上した段階で、理化学研究所の動物実験計画書の審査がどのような段階を踏んで行われたものか確認するため、情報開示請求を行いました。

その後、理研の調査結果公表や、それに対する不服申し立てがあり、論文の不正については昨日結論が出されたところかとは思いますが、先日やっと情報公開されました動物実験計画書を拝見したところ、これまで公表されてきた事柄と食い違う点が見受けられましたので、実験動物福祉の観点から事実確認をしたいと考えております。

以下の通り質問事項を送付させていただきますので、適切な部署へご照会の上、ご回答いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

<質問事項>

Ⅰ.承認された動物実験計画書が存在しない期間にSTAP細胞実験が行われていることについて

小保方研究員が実験責任者もしくは従事者として関わった動物実験計画書として開示されたものは計4件あり、STAP細胞関連の動物実験計画書が2件、その他の動物実験計画書が2件でした。

STAP細胞関連のもののうち1件は、実験実施予定期間が平成23年(2011年)10月1日から平成25年(2013年)3月31日までの承認番号「承AH23-02」であり、もう1件は、平成25年12月9日から平成27年(2015年)3月31日までで承認番号不明のものです。

そのうち、承認番号「承AH23-02」の承認日は平成23年10月4日ですので、STAP細胞の作成及びそれに関連する動物実験は、この日以降にしか実行できなかったはずですが、小保方ユニットリーダーが記者会見直後に公表した「4月9日に開かれた記者会見に関する補充説明」と題する文書には以下の記載がありました。

「STAP細胞の研究が開始されたのは5年ほど前のことですが、2011年4月には、論文に中心となる方法として記載した酸を用いてSTAP細胞ができることを確認していました。その後、2011年6月から9月頃には、リンパ球のみならず皮膚や筋肉や肺や脳や脂肪などいろいろな細胞について、酸性溶液を含む 様々なストレス条件を用いてSTAP細胞の作成を試みました。この間だけで100回以上は作成していました。」

また、平成26年5月4日に小保方ユニットリーダーの代理人が提出したという「不服申し立てについての理由補充書(2) 要約版」にも以下の記述があります。

「3  OCT4+細胞の作製実験の変遷

申立人は、2011年3月までは、物理的ストレスによって、Oct4+細胞を作製する実験を行っていた。

2011年4月、酸刺激によってOct4+細胞が出現することを発見したので、同4月から5月にかけては、様々な細胞(BM、Brain、Lung、Muscle.Fat、Fibroblast等)を用いて、様々な溶液でストレスを与える実験を行い(資料10)、6月ころからは酸性溶液の濃度や時間を変えて実験を進めていた。

そして、6月下旬には、CD45+細胞を酸刺激することにより、多能性マーカー(Oct4、Nanog)陽性細胞が出現することを確認した。CD45+細胞は、幹細胞でないことが明らかになっているので、これ以降は、CD45+細胞を用いることとした。

このような経過を経て、プロトコールが固まり、2011年10月以降、CD45+細胞を酸刺激してOct4+細胞を作製する実験を繰り返していた。Oct4+細胞を用いて、分化実験やキメラ形成実験等を行うためである。」

これらの文章と実験計画書の承認日とを考え合わせると、小保方研究員は実験手順が固まるまで、動物実験計画書を提出せずに、マウスを犠牲にするSTAP細胞作成を何か月も行っていたことになるのではないでしょうか。

ちなみに、STAP細胞とは関係のない動物実験2件にも小保方研究員が実験従事者として登録されていたとのことで開示がなされていますが、これら2件の動物実験計画書にはSTAP細胞作成にあたるような実験手順の記述はありません。(報告書によれば、うち1件は実施されていません)

また、仮に同じような手順が書かれた計画書があったとしても、動物実験計画書の審査は、その実験によって得られるであろう知見と、動物の受ける苦痛との間のコストベネフィット比較を動物実験委員会が事前に行うものです。仮にマウスを安楽死するだけであったとしても、他の目的を掲げた動物実験計画書で振り替えられる性質のものではありません。また、承認を得ないで動物を利用することはできないはずです。

これらのことに関連して、以下の点について教えてください。

1) 小保方研究員がSTAP細胞作成実験を行うことのできる動物実験計画書は、開示された2件だけで間違いないでしょうか。理研の調査委員会が記者会見の際、記者からの質問に答え、「動物実験計画書はたくさんある」とおっしゃっていたので、念のため確認いたします。

2) 小保方ユニットリーダーが補充説明等でSTAP細胞作成を行ったと述べている期間を含む動物実験計画書が存在しないことについて、これは、動物実験計画書の承認を経ずしてSTAP細胞作成のためにマウスの利用が行われていたということで間違いないでしょうか。この点について、理研の調査委員会もしくは動物実験委員会は事実確認を行っていますか。

3) 「ネイチャー」のSTAP細胞に関する論文に記載されている動物の利用が、承認番号「承AH23-02」の実験計画書の承認日である平成23年10月4日より前に行われたものを含む場合、日本において一般的に必要とされている手続きを経ておらず、「ネイチャー」のポリシーを満たさないものと思われますが、いかがお考えでしょうか。

また、論文には理研の動物実験委員会の承認を得ていることが記載されていますが、実態が違っていたことが確認された場合、理研としてどのような対応をなさいますか。

4) STAP細胞関連の2件の動物実験計画書の間には約8か月のブランクがあり、この期間には、STAP細胞以外の実験計画書もありません。この期間は、細胞リプログラミング研究ユニットは名前だけで実際には立ち上がっておらず、小保方ユニットリーダーが笹井芳樹副センター長のもとで「ネイチャー」論文の再投稿へ向けて書き直しを行っていた時期にあたるのではないかとは思いますが、小保方ユニットリーダー側が5月4日に理研の調査委に対して提出した不服申立書を補充する文書には、「2013年3月以降は、申立人は、笹井研にて実験を行っていた」との記述があり、実験も継続されていたことが示唆されています。

一方、動物実験計画書のほうは、平成25年(2013年)3月31日で一たん切れており、12月9日が開始日になっている承認番号不明の計画書が承認されるまで小保方氏は動物の利用をすることができなかったはずですが、この事実には間違いがないでしょうか。承認された実験計画が存在しない2013年4月1日以降、小保方ユニットリーダーが笹井研で動物の利用を行っていたかどうか教えてください。

5) 平成25年12月9日開始のSTAP細胞の動物実験計画書には承認番号等の記載欄がありませんが、どうしてでしょうか。この計画書は、承認済みですか。もし未承認であれば、STAP細胞の論文に不正の疑いが浮上した後に小保方ユニットリーダーが追試を行ったとされていることと矛盾が生じますので、承認が確認できる書類をお示しください。未承認であれば、この追試も規程違反です。

また、論文で不正が行われたとする調査結果が確定した現在、この実験計画の科学的妥当性も揺らいでいると思います。STAP細胞が存在するのかどうかを理研自身が疑っており、その段階で逆流性食道炎モデルの段階まで承認するのは、妥当性・必要性に跳躍があるのではないでしょうか。小保方ユニットリーダーが諭旨退職または懲戒免職となった場合は自動的に終了する計画書かとは思いますが、承認の取り消しを希望します。

6) 小保方ユニットリーダーの実験ノートの簡素さに大変驚いているところです。役に立たないデータのために犠牲となったマウスたちが多数いることについて、理研として、どのようにお考えですか。また、動物倫理の観点から、このような事態の再発を防ぐ取り組みをされていますか。

研究不正再発防止へ向けた議論の中で動物倫理についても検討を行って下さいますよう、よろしくお願いいたします。

Ⅱ.理研の動物実験の機関管理について

Iで述べたことに関連し、「理研にはマウスを自由に使うことができる環境があったのではないか」という意見を耳にします。動物実験をどのように管理されているのかについても教えてください。

1) 理研では、動物実験計画書の承認を経ずにマウス等の実験動物を利用することが許される場合がありますか。

2) 実験計画の承認を経ないで行われている動物の利用の実態を把握されていますか。不適切な事態が発覚した場合の処分は、どのようになるかも教えてください。

3) 理研では、実験計画書の承認を得ていない場合でも実験動物の購入を行うことができますか。

4) 動物実験計画書が提出されていない場合には報告書も提出されず、使用数の把握等もできないのではないかと思います。毎年の実験動物の使用数はどのように把握されていますか。

5) 不開示部分があるので断定はできませんが、腫瘍形成が想定されているであろう幹細胞移植や、2日間の絶食を伴う逆流性食道炎モデル作成の苦痛度をCとすることに疑問を感じます。苦痛度の目安とされている「動物実験処置の苦痛分類」動物実験協議会確認事項 (平成18年12月8日)についても広く一般に公開していただけないでしょうか。

以上、お忙しいところ大変恐縮ですが、日本において動物実験の自主管理が適正に行われているかどうかに関わる重大な問題と考えておりますので、ご回答をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

また、動物実験計画書の承認のないまま、数か月間動物の利用を続けていたことが事実であった場合、小保方晴子ユニットリーダーの処分をこれから検討する際、その点についても処分理由に含めることを要望いたします。何卒よろしくお願い申し上げます。

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