昨日、農水省生産局畜産部飼料課と一般社団法人日本草地畜産種子協会の主催による「全国肉用牛放牧シンポジウム~放牧を活用した繁殖基盤強化」が開催されました。すべてを聞くことはできなかったのですが、放牧の推進が明確に打ち出されており、本当に時代が変わってきたことを感じます。
事前告知文でも以下のように謳われていました。
放牧は、飼料費や牛の飼養管理時間が削減されるなど、生産コストの低減効果が大きく、飼料基盤に立脚した循環型畜産を実現する手段として注目されています。家畜への負担を軽減させ、農地の保全にも貢献できるため、「人に優しく、家畜にやさしく、環境にやさしい」管理手法です。
今回のシンポジウムは、繁殖経営への放牧導入の話が主体でしたが、資料によると、繁殖牛の飼養戸数は2000年から2010年の10年間で約4割減少、繁殖牛の頭数・子牛の生産頭数も減少傾向とのこと。
肉用牛繁殖経営は、
・飼料・敷料費と労働費で生産費の7割を占める
・労働時間の多くは飼料の調理・給与と厩肥の搬出・処理作業
とのことで、放牧は、飼料費の節減や給餌・排泄物管理作業の軽減といった課題解決のための方法として示されていました。
しかも、夏のみ等ではなく、周年で親子で放牧といったところがめざされており(ただし気象条件として日本海側は厳しいとのこと)、経営に関する試算などが示されました。(ちなみに、畜産技術協会の飼養実態アンケート調査によると、全体の約4割の農家がパドックにすら全く牛を出さず、育成牛・繁殖牛の場合、約半数の農家は繋ぎ飼いか単飼です)
その他、牛の放牧への馴致の話、感染症対策(まずとにかく検査。淘汰もあり)、電気柵についてなど、興味深い話を聞くことができました。
▼当日配布された農水省の資料より。