飲む体温計の動物実験のプレスリリースで犬に血

2019年、東北大学から出された飲む体温計の動物実験についてのプレスリリースの写真を見て驚きました。実験処置を受けているビーグル犬に血がついていて、傷に見えるのです。下記のツイートをするとともに、東北大学に問い合わせたところ、回答が来ました。

写真は、平成 31 年 3 月 13 日付けの東北大学プレスリリース「錠剤サイズの『飲む体温計』動物適用実験に成功~胃酸発電で動作。病気の早期発見や健康増進に期待~」より

傷に見えた部分は傷ではなく、針を留置する際に漏れた血液が固まったものだという回答でした。回答には書かれていませんが、専門家にもこの回答について聞いてみたところ、それが本当なら、要するに実験実施者の手技がうまくなかったために、血が漏れたということでした。

動物実験関係者が、自らこうした写真を出すことはとても珍しいです。ちなみに、現在は写真が削除されたバージョンに置き換えられています。

東北大学 -TOHOKU UNIVERSITY-

【発表のポイント】 胃酸発電でエネルギーを獲得する錠剤サイズの「飲む体温計」を開発し,動物適用実験にてコンセプトの実証に…

質問

●ビーグル犬の写真に映っている手は、どなたの手でしょうか。
●映っている方を含め、犬の実験に関わられた方々は、東北大学で動物実験を実施する際の教育訓練は受けていらっしゃる方々でしょうか。

回答

1.「犬の傷」につきまして
質問項目(1)~(7)に関する回答: 本実験は、本学からAAALAC(国際実験動物ケア評価認証協会)が認証している試験施設に委託して実施されました。現場に立ち会っていた本学の研究者が当該試験施設の試験責任者に確認いたしましたが、ご指摘いただいた箇所は傷ではなく、麻酔用のルートを確保する際に漏れた血液(※)が、テープに沿って帯状に凝固したものです。実験終了後、同部位や抜針部に異常がないことを確認しております。
質問項目(8)に関する回答: 委託した試験施設側の業務上の機密に関する内容ですので、回答できません。

2.「飲む体温計の実験」につきまして
質問項目(1)~(4)及び(8)、(9)に関する回答: 委託した試験施設側の業務上の機密に関する内容ですので、回答できません。
質問項目(5)~(7)に関する回答: 本実験は東北大学キャンパス内では行っておりません。「国立大学法人東北大学における動物実験等に関する規程」に則して動物実験等の実施を委託した、AAALAC認証試験施設で行われました。当該試験施設側の管理の下、法令等を遵守し、機関内規程に則した適正な飼養・保管と動物実験が実施されました。当該試験施設の動物実験委員会による実験計画の審査・承認のプロセスを経て、承認されたプロトコールに従い動物愛護に十分に配慮して適正に本実験は実施されました。実験中は動物が体調不良等の兆候を示すことなく、センサの自然排せつによる回収が確認された後も動物に体調変化がなく、実験は無事終了いたしました。実験中は本学の研究者が直接現場で立会い、当該試験施設において基本指針等に基づき動物実験が適正に実施されていることを確認いたしました。

3.追加のご質問につきまして
本実験の試験責任者及び従事者は本学の教育訓練を受けておりませんが、委託した当該試験施設において教育訓練を受けております。写真に写っている手は、実験に立ち会った本学の研究者のものです。動物実験の記録(撮影)並びに、動物に触れることなく特殊機材(受信機等)の設置や動作確認を担当する場合には、東北大学及び試験施設のいずれの機関においても教育訓練の受講を必須としておりません。なお、本学の研究者は、試験施設における「見学者」としての教育を受けた上で、実験に立ち会っております。

東北大学では、各種ガイドラインや法令を遵守し、生命倫理・安全対策を重視した研究開発を実施しております。引き続きご理解のほど、よろしくお願いいたします。

(※)留置針をカテーテルに接続する際に、接続部に空気が残らないように接続しますので、通常、接続時に少量の血液が留置針から漏れますが、その血液を指します。

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