学校うさぎ実例集:病変があっても治療されない小学校のうさぎ
2025年6月1日公開
病変があっても治療されない小学校のうさぎ
学校で飼育されているうさぎやモルモットの飼育改善の啓発や里親探しを行っている有志のチーム「スモールアニマルレスキュー」から情報をいただきました。ブログ掲載のレポートと併せてご覧いただきたい実例集です。

※このウサギはレポート本文には出てきません
歯の異常で腫れていても治療されないうさぎ【A小学校】
今年(2025年)の寒い冬の日、学校のうさぎの飼育状況を視察し、教頭先生と電話で話しました。
近親交配により先天的障害のあるうさぎで、歯が異常に伸びてしまうためか奥歯が頬に突き刺さり、腫れていました。このまま放っておけば膿がでて肺に移行し、肺炎で苦しんで死亡する可能性があります。頻繁な通院と投薬が必要であることをうさぎ飼育の知識や経験のある方に聞き、その旨を教頭先生に話しました。
そして先生方が忙しくて治療を受けさせることができないなら、飼育を考え直して欲しいことや、飼育改善の協力を申し出ました。
しかし教頭先生からの回答は
「子どもが可愛がっているから、亡くなるまでみるのも教育です。あのうさぎはもう長くないと思っています。」
でした。すぐに学校宛てに適正飼育の資料とうさぎを診察できる病院の詳細を送付しました。
同月26日に再度視察に行くと前回と同じく主食の牧草もない状態で、症状はさらに悪化したようにみえました。
明け方は最低気温2度という寒さです。うさぎはじっとしたまま動かず、口の中の病気の不快と痛みのためか、ぐちゃぐちゃと音を立て口だけを動かしていました。ただ死を待っているだけのような、痛ましい様子でした。
その様子を教頭先生と電話で話しましたが、
「すすめられた専門病院には行っていません。今週末にいつもの獣医に見せようと思っていました。ウサギが痛々しく見苦しいから治療しなければいけないのというのは違うでしょう。医者に全く見せてないのであれば虐待だが、そうではないので。」
とのことでした。
学校が休みの土日も世話がされているかは、はっきりしません。
「多分世話をしたと思います。牧草がなかったのはその時だけでしょう。口を動かしているのはずっと前からだし、あの子はもう余命が決まっています。」
しかし余命があとどれくらいかなど、診察もしていないのにわかるはずがありません。生きている限りは治療を施し、最善を尽くすべきです。
教頭先生にうさぎの治療をお願いしたところ、逆にこちらの医療の知識を追求されました。しかしこれは倫理の問題です。すすめた病院にかわりに連れていくことや、里親に出すことを検討するよう提案しました。
「里親に出すことは子どもから取り上げることになる」と悩んでおられましたが、児童と話し合うこともお願いしました。
この件は市議会委員や教育委員会に報告し、SNSにも投稿を行いました。うさぎを救ってほしいとの要望が届いたのだと思います。他にもうさぎを救うために動いている方がいたのでその方へたくし、うさぎは無事に里親に出されました。
歯に異常のあるうさぎは引き出すことができましたが、このうさぎの母親がまだ1匹学校にいます。
皮膚に腫瘍のあるうさぎ 休み中の預け先で死亡【B小学校】
昨年(2024年)の秋のことです。腫瘍で皮膚が剥き出しになっているうさぎが1匹、屋外に飼育されていました。休日で新鮮な餌がなかったので、教育委員会に通報しました。
しかし2か月後もそのままの状態で改善がみられなかったので職員室を訪問し、副校長先生2名が対応してくださいました。
「うさぎが寒さでつらそうです。病気があるようですので、室内に入れてくださいませんか。」とお願いをしました。
副校長先生は、
「いままで10年あそこで暮らしてきたので、場所を変えたほうがストレスになります。生徒が増えて教室が空いていないし、アレルギーの問題もあるので、簡単には室内に入れられません。獣医は巡回に来てみてもらっているし、そのままでいいと言われたので言われたとおりにしています。」
とのことでした。
さらに「どこが病気だというんですか?あなたになぜわかるんですか?」と、問い詰められました。
明らかに病変があることや、朝晩は氷点下になっているのでせめて小屋の周りをビニールで覆うなどの工夫をお願いしました。すると、「冬休みは室内に入れようかと思っている」とのことでした。(もう一人の副校長からは早く帰ってほしいような圧を感じました)
その 1か月に再度視察に行くとうさぎはいなくなっていました。
グランドにいた生徒10名くらいにうさぎはどうしたか聞きましたが、「知らない」「死んだんじゃない?」「多分死んだらしい」など、とくに気に留めていない様子でした。
学校に問い合わせたところ、冬休みに職員の知り合いの家に預けて10日ほどして亡くなったとのことでした。副校長先生は、「預け先の方は動物をたくさん飼っていて動物に慣れているから安心していたが、逆だった」と思ったそうでした。
冬休みが明けて新学期が始まってから10日以上経過しているのに生徒には知らせていませんでした。学校は、今後児童に周知する予定とのことでした。
これからはうさぎをと飼わないようお伝えすると、学校側も了解されました。

重病のうさぎに高額な医療費を出そうとしない【C市D小学校、E小学校】
これまでにも何校かうさぎの飼育状況を視察して校長や先生方と話し、学校ではうさぎの適正飼育が難しいので里親に出してほしいことなどを伝えました。
実際にあった学校側の反応です。
「あんな太ったうさぎ、誰がもらってくれますかね(笑いながら)。」
「今は動物にスイッチがあると思っている子がいます。だから、動物には心臓があることを教えるために必要です。みんなうさぎが好きですよ。」
うさぎ小屋に入った校長先生の第一声、「うわぁ、きったないなあ…」。
そして、病気のうさぎを放置していたD小学校からこう言われました。
「(治療費は)税金ですから有限なんですよ。」
結局、私(レポート筆者)が病院に連れて行きましたが、医療費はC市に出してもらいました。市の負担にもかかわらず、重病なうさぎに対して医療費の出し渋りが見られたため、校長と教育委員会に、高額だから見殺しにするのはおかしいと追求しました。
E小学校のうさぎの血尿のときも、手術費用の見積もりに対し高額だとして教育委員会が出し渋りました。それなら私が15万円全額払うか、もしくはSNSで呼びかけて寄付を募るか、どちらかの対策を考えていると伝えると、市が医療費を出すことになりました。その後、C市は学校飼育動物の医療費予算を増加しました。
うさぎやモルモットの学校飼育廃止を、そして里親へ
うさぎだけでなくモルモットも小学校で飼育されていますが、どちらも温度変化に弱く、暑さや湿度が苦手なデリケートな動物です。臆病で警戒心も強く、学校での適正飼育は不可能です。うさぎもモルモットも自然界では捕食される動物なので、弱っていることを隠し、気がついたときは手遅れの場合もあります。ですが、うさぎに明らかに病変があるにもかかわらず、多忙や治療費を言い訳に病院へ連れて行ってもらえないケースが多々あります。うさぎの年齢を把握していない小学校は多く、オスかメスかもわかっていない小学校もありました。
その一方で、学校での飼育は限界があるとして、飼育廃止の決断をする事例もあります。
体調をくずしたモルモットを病院に連れていったけども入院中に亡くなってしまった、という小学校がありました。今後はもう飼わない、これから命について生徒と話をする、と副校長先生がおっしゃっていました。
また、校長先生みずからうさぎを里親に出す決断をし、生徒たちにうさぎの幸せについて話をしてくれた小学校もあります。

里親に迎えられ、安定した環境で安心して暮らすうさぎたちは、学校にいるころとはまるで表情が違い、生き生きとしています。小屋のすみでうずくまっていたうさぎは、トンネルやおもちゃをもらってのびのびと遊び、やわらかいブランケットに寝そべってくつろいでいます。毎日たっぷりの牧草と新鮮な野菜をもらい、飢えや寒さ暑さに耐えることもありません。
小学校の先生方は、里親に出すことは生徒からうさぎを取り上げることになると、恐れているのかもしれません。しかし、うさぎは終生の家族と幸せを得ることができるのです。子どもたちにもうさぎの幸せを一緒に喜んでもらえたらと思います。動物に快適な環境を提供し、福祉を最優先することが命の大切さであり、経験と学びなのです。
腹部に大きな腫瘍がありましたが、里親のもとで治療されて毛のつやもよくなりました
学校にて

保護後

ケージに閉じ込められていましたが、今は里親の家でのびのびと暮らしています
学校にて

保護後

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ブログにも「スモールアニマルレスキュー」からのレポートを載せています。学校飼育動物をどう考えるべきかの参考にしてください。
うさぎやモルモットの適正飼育の啓発と、学校うさぎの廃止をもとめ活動する「スモール アニマル レスキュー」にPEACEのメンバーも参加しています。学校飼育の現場で実際に起きていることをもとに、レポートを寄稿してもらいました。ぜひ皆さまの地[…]

