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STAP細胞の検証実験実施への抗議書を送付

追加で求めていた情報開示請求に対し、一部が開示されました。それによって判明したこともあり、かなり遅いタイミングになってしまいましたが、理研に対しSTAP検証実験に対する抗議書を送付しました。

小保方氏に不正が認定されていることや、STAP論文がそもそも科学的根拠を失っていることについては、既に言いつくされており、私たちはあくまで動物倫理上の問題点から中止の要望をしました。

直接手渡しは、面会を拒否されましたので、理事長あて内容証明便で送付しました。


2014年7月15日

理化学研究所
理事長 野依 良治 殿

STAP細胞の検証実験実施への抗議
ならびに不正調査に関する要望書

 私たちは、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(以下、理研CDB)で行われたSTAP細胞研究において、文部科学省の「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」(以下、指針)および理研の「動物実験実施規程」(以下、規程)に違反する行為があったことについて、これまで貴研究所に対し2回質問書を送付しました。

それに対しご回答をいただいたことにより、小保方晴子氏が指針・規程違反の状態のまま動物実験を行っていた期間が存在したことが確かめられ、貴研究所の動物実験審査の姿勢にも問題が認められましたので、現在理研CDBで行われているSTAP細胞の検証実験に対し強く異議を申し立てたく、本文書を送付いたします。

また、STAP細胞に関しては、科学的不正の全貌が調査・公表されていないにもかかわらず検証実験が優先されており、そのことが貴研究所への大きな不信感を生んでいます。私たちも動物保護団体として、また国民として疑念を持つ点があり、徹底的な調査を要望します。

つきましては、以下の点に即刻ご対応くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

1) 小保方晴子氏の検証実験への参加に強く抗議します。

また、処分等が決定するまで、笹井芳樹氏の動物実験の停止を求めます。

理研CDBの副センター長である笹井芳樹氏は、2013年4月以降、小保方晴子氏を動物実験従事者として登録することを失念しており、過去にさかのぼって修正届を提出済みではあるが、その審査結果はまだ出ていないというご回答をいただきました。

動物実験従事者届の提出を失念していた責任は、実験計画の責任者である笹井氏にあることとは思いますが、それによって小保方氏は指針・規程違反のまま動物実験を行っていたことになり、現時点でそのことに対する処分等も何ら決まっていません。

笹井氏は、過去にさかのぼって届を出せばそれで済むと考えているようですが、そのような対応で済ませることができるのであれば、国の動物実験指針や機関内規程の存在意義自体が失われます。

そもそも、理研CDBが加盟する国立大学法人動物実験施設協議会等の動物実験関連団体は、「動物実験の機関管理は適正に行われている」と主張しており、不適正な事例があった場合は所属機関が処分を行うのだから法規制は不要であるとの見解をこれまで繰り返し述べています。本件に対して処分等の対応が行われず、笹井氏の言うままが認められるのであれば、これらの主張が虚偽であったことになります。

さらに、そのような違反状態で動物実験を行っていた本人である小保方晴子氏を、処分も決まらぬまま検証実験に参加させること自体が、貴研究所の倫理感の欠如にほかなりません。小保方晴子氏の検証実験参加に強く抗議いたします。

また、指針違反・規程違反については、笹井氏に対しても処分を検討し、それが執行されるまでの間、同氏の動物実験の停止を求めます。

2)STAP細胞の検証実験そのものの中止を求めます。

2011年春、小保方氏がSTAP細胞研究を理研CDBで始めた当初、「ストレスを与えることによって体細胞を初期化する」という研究目的では動物実験計画書が提出されておらず、この目的での動物実験の承認が行われたのは、同年の10月になってからでした。

この点に関する質問への回答によると、貴研究所は、当時チームリーダーであった若山照彦氏が他の研究目的の動物実験計画書に小保方氏を登録していたので問題がないとされているようですが、動物実験計画の審査とは、「研究の目的」と「動物の苦痛」が見合うかどうかを比較検討するために行うものです。つまり、「動物に苦痛を与え、命の犠牲をはらってでも行うべき研究であるかどうか」の審査が行われ、承認されて初めて動物実験が行える仕組みが構築されているはずなのにもかかわらず、STAP細胞研究では、それが行われていなかったということです。

Nature論文には、理研CDBの倫理審査を通ったことが書かれていますが、時期を考慮に入れれば、これは虚偽と言えます。

現在、科学的な解析によりSTAP論文が根拠を失ったことで、多くの科学者や、科学ジャーナリズムに関わる方々が検証実験に疑問を呈していますが、私たちは、その点だけではなく、そもそもSTAP細胞研究が指針・規程違反のもとに開始された不適切な研究であり、それを許容している理研CDBの動物実験倫理委員会の体質に対し強く懸念を感じるため、検証実験の実施に強く抗議したいと考えます。行う根拠を失った再現実験が承認されているのですから、適正に審査が行われたかどうかが疑問です。

また、現時点で研究不正の全貌が明らかになっていないということは、不正関与した者が誰かということも確定していないということです。STAP細胞が、ES細胞、もしくはES細胞とTS細胞の混合であったとすれば、その由来については、当然多くの憶測が飛びかいます。そのような状況で、理研CDBが幾ら公正な実験だと言い張っても、信じることはできません。

科学的にも意味がなく、倫理上の手続きにも疑問のある検証実験のために動物が犠牲になることは許されず、小保方氏の参加だけではなく、実験の実施自体の中止も求めます。

3) 研究不正の全貌を徹底的に調査してください。

理研の調査委員会が行った調査は、論文の疑義のうち6点に限定した調査で終わっており、非常に不十分なものでした。現在、調査を再度行うかどうかの予備調査が行われているとのことですが、どこまでが調査範囲かが明らかではなく、いつまでに本調査開始のめどが立つのかもわからず、不信感が高まっています。もし、また論文の中の数か所の調査に限定されるのであれば、国民の不満は限界に達します。不正がなぜ起きたのか、背景の調査を含めた、広範な調査を求めます。

また、私たちは、動物の扱い等の観点から、関係する以下の点についても調査を求めます。

① 若山照彦氏等から小保方氏へ渡されたマウスの行方

現在、科学的な解析結果等から、STAP細胞はES細胞である疑いが強まっています。特に、第三者機関に依頼した解析結果を受けて、若山氏が「(STAP幹細胞は)自分の渡したマウス由来ではない」と言っていることについては、社会的にも重大な関心が寄せられていますが、その細胞の由来の調査だけではなく、若山氏が小保方氏へ渡していたマウスはどうなったのかについても調査を行ってください。

ES細胞をSTAP細胞と偽って渡して済ませていたのであれば、それらのマウスはSTAP作製に使われていない可能性があり、どのように処分されたかについて実験動物倫理の観点から強い懸念を持ちます。小保方氏がマウスをどう処分していたのかについても調査を行うことを求めます。

② Nature論文に記載のある動物実験が本当に行われたのかどうか

実際のところ、小保方氏がどこまで本当に動物実験を行っていたかがはっきりしません。画像の不正が認定されたテラトーマ実験は、私たちが情報開示請求で得た資料においても、論文に書かれている免疫不全マウスの購入記録がなく、行われなかった可能性が高いと考えられます。

また、逆流性食道炎モデル実験に関しても、通常、マウスでは行わないモデル作成であることなどから、本当に行われたのかどうか疑問を感じます。(行われたのであれば、マウスでは不適切だとする先行研究があることからも、倫理上の問題を感じます。)

実験ノートだけではなく、マウスの購入や動物飼育室の利用の記録等と照らし合わせて、本当に実験が行われた痕跡があるかどうかの総合的な調査を求めます。

③ 研究費不正の有無について

笹井氏の研究予算から繰り返し出張費が出されているなど、不自然な点に関する報道がなされています。当会が情報開示請求で入手した細胞リプログラミング研究ユニット(小保方研)の購入履歴においても不自然に高額な支出が散見されました。

特に、論文不正の疑義が浮上し、調査が開始された後も物品の発注を行っている点が疑問です。論文の不正が認定されれば懲戒処分になる可能性が高く、通常であれば研究を続けられるとは考えられない状況にもかかわらず物品を購入しているのは不自然であり、年度末で予算を消化する目的での物品が発注されたのではないかと疑います。

通常の論文不正の調査であれば、研究室はロックアウトされるはずですから、理研がきちんとした研究不正調査の体制を立ち上げていれば防ぐことのできた出費ではないでしょうか。余った予算のプール等の目的でないかどうかも含め、厳しく調査を行うことを求めます。

以上、既に科学的に根拠のないSTAP細胞を再現しようと世界中で多くの動物が犠牲になった後ではありますが、これ以上の過ちを繰り返さないために、即時のご対応を願います。

以上

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