追記:2015年5月、JAZAは追い込み猟からのイルカの入手を止めると決定しました! 働きかけ当時の記事をそのまま残しています。
追い込み猟で捕獲したイルカを水族館が購入し続けていることについて、日本動物園水族館協会(日動水/JAZA)に対し、エルザ自然保護の会、ヘルプアニマルズと連名で、以下の要望書を提出しました。
また現在、環境省で「動植物園等の公的機能推進方策のあり方検討会」が立ち上がっており、動物園・水族館などにおける種の保全や環境教育、動物愛護などのあり方について議論がなされています。
イルカショーなどの動物虐待を伴う娯楽に公的機能があるかのようなお墨付きが与えられることのないよう、環境省の関係部署に上記文書の写しを提出し、要請を行いました。
この検討会の議論については、環境省は「規制法はやらない」と明言しており、来年度以降中央環境審議会の親会へ話が上がった場合、動物園や水族館を推進する法制度の検討がなされる懸念があります。
過去に動物園法の制定を求めていた市民団体が次回ヒアリングに呼ばれていることからも、似たような名前で内容の違う推進法を制定することが国の意図である可能性を強く感じます。
この検討会の議論の内容に対しては、別途PEACEとして単独で要望書も提出しました。(追って第2回検討会の傍聴報告もアップしたいと思います)
ちなみに、最近の業界側の主張を聞いていると、まるで野生からの捕獲・導入がほとんどできず繁殖でまかなっているかのような印象を受けますが、水族館の「花形」であるイルカショーのイルカは現在でも野生からの導入に頼っていますし、魚類などの海棲の生き物も海からの捕獲です。
さらに日動水(JAZA)は、2012年5月の環境省への要望書の中で、以下のように書いています。
「水族館においても、イルカ類の飼育や、海洋生態系の保全と資源活用に関する欧米と日本の考え方の相違があります。背景には捕鯨問題に見られるように、欧米豪中心の生態系保全、動物倫理や動物福祉の思想や動物観があり、それが動物園界にも反映されてきています。数年後には大きな問題に発展することが予想されます」
しかし、これは2つの点で誤りです。
一つは、もともと水族館やイルカ飼育自体が日本の文化ではなく、あくまで欧米を真似して取入れた娯楽であり、日本が守っていかなければならない伝統ではないにもかかわらず、本末転倒な主張がなされていることです。
また、生態系保全、動物倫理や動物福祉の問題は、工業化社会の拡大や、それにともなう環境破壊の進展、動物に関する科学的知見の充実などによって重要かつ普遍的な問題になりつつあるのであり、特に鯨類の保護については、今現在すでに大きな問題となっています。「数年後」というのはあまりに現状認識が甘すぎます。
ぜひ、日動水(JAZA)へ皆様からも意見をお送りください。
※2015年5月、JAZAは追い込み猟からのイルカの入手中止を決定しました。ご意見を送ってくださった皆様、ありがとうございました!
意見例)
追い込み猟で捕獲した野生イルカを購入しないよう、加盟水族館に通知し、指導を行ってください。※実現しました- イルカのショーや展示を廃止してください。