動物愛護管理基本指針改正に対する意見

3回目の動物愛護法改正についてまとめページ
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2013.7.6掲載
締切は7月12日(金)18時15分必着です。

以下は、動物愛護管理法に係る告示の改正案のうち、「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」の改正案に対し、環境省に送った意見です。
あくまで参考として掲載したものですので、以下の改正素案をごらんの上、皆さまのご意見をお送りください。

パブコメ案では10年後の犬猫引取り数について「平成16年度比75% 減となる概ね10万頭を目指す」とされており、ここは意見も分かれるところだと思います。以下のPEACE意見では数字については特に触れていませんが、ぜひ皆さまご自身で改正案に目を通して意見を送っていただければと思います。


<告示の名称>
「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」

以下すべて、上記基本指針の改正素案に対する意見です。
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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
2ページ
第1 動物の愛護及び管理の基本的考え方
(動物の愛護)
「動物の愛護の基本は、人においてその命が大切なように、動物の命についてもその尊厳を守るということにある。……」

<意見内容>
該当箇所を以下のように改める。
「動物の愛護の基本は、人においてその命や基本的人権の尊重が大切であるように、動物の命についてもその尊厳を守り、生きていくための基本的な基盤を保証することにある。……」

<理由>
人も、「ただ命があれば奴隷状態でもよい」というわけではない。命あることのみを動物愛護と強調することによって、最低限の福祉を担保する行動が阻害されることを懸念する。人を例に出すのであれば、人において最低限の生活を保障する「福祉」の概念があるように、人に飼育される動物についても基本的な生活の質の保障、すなわち「福祉」が必要だということを明確に示すべき。
また、目的を定めた法第一条に動物の健康・安全の保持の文言が盛り込まれており、そのことを反映させるべき。

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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
1ページ
第1 動物の愛護及び管理の基本的考え方
(動物の愛護)
「……動物の命に対して感謝及び畏敬の念を……」

<意見内容>
該当箇所を「……動物の命に対して申し訳なく思う気持ち、感謝及び畏敬の念等を……」とする。

<理由>
この部分で「感謝及び畏敬の念」のみを取り上げることは、「合意形成」の部分で「国民が動物に対して抱く意識及び感情は、千差万別である」と述べていることと矛盾する。指針が人の感情に対して踏込んで押し付けを行っているともいえ、より幅広い表現に修正するべき。
特に、動物の犠牲に対しては、感謝ではなく申し訳なく思う気持ちが先に立つという意見を持つ人も相当数いるのであり、動物の犠牲を減らすための行動は、そのような感情に裏打ちされている場合が多い。感謝は、むしろ人の行動を正当化することに用いられているのであり、行動の改善には至らない現実がある。

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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
2ページ
第1 動物の愛護及び管理の基本的考え方
(動物の愛護)
「人は、他の生物を利用し、その命を犠牲にしなければ生きていけない存在である。このため、動物の利用又は殺処分を疎んずるのではなく、自然の摂理や社会の条理として直視し、厳粛に受け止めることが現実には必要である。しかし、人を動物に対する……」

<意見内容>
該当箇所を、「人は動物を犠牲にして生きてはいるが、人を動物に対する……」とする。

<理由>
ここでいきなり、「他の生物」と動植物全般に話が広がっているのは不自然であり、動物の犠牲に話を限定するべき。また、この部分には、多分に個人の哲学の範疇に入る記述がみられ、現状の描写にとどめる書き方に改めるべき。過剰な動物の利用や殺処分をなくすべきと考える者にとっては、それらを「受け止めることが現実には必要」との押し付けには賛同ができない。
「合意形成」の部分で「国民が動物に対して抱く意識及び感情は、千差万別である」と述べていることとも矛盾する。

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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
2ページ
(動物の管理)
冒頭の段落の「……動物の命を尊重する考え方……」

<意見内容>
該当部分を「……動物の命や生活の質を尊重する考え方……」とする。

<理由>
ここも、命の尊重だけではなく、生活の質を担保することを重要とする考え方が含まれることを反映させるべき。冒頭で「動物の命を尊重する考え方」と言ってしまっているがために、「動物の管理」の部分すべてが、実験動物・畜産動物など、命を犠牲にしている動物を除外してしまっている印象を与えている。

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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
3ページ
第1 動物の愛護及び管理の基本的考え方
(動物の管理)
「ペットが伴侶動物(コンパニオンアニマル)として生活に欠かせない存在となる一方」

<意見内容>
該当箇所を「伴侶動物(コンパニオンアニマル)が生活に欠かせない存在となる一方」とする。

<理由>
愛玩物扱い・所有物扱いを連想させる「ペット」の表現を不快に感じる人がいる以上、行政文書ではなるべく使わないことが望ましい。また、コレクター的に所有を目的として飼育されている動物もおり、全ての「ペット」が伴侶動物であるとは感じない人もいる。ここは単に「伴侶動物が生活に欠かせない」とするのが適切と思われる。

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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
2ページ
(動物の管理)
「……動物の係留、屋内での飼養、みだりな繁殖の防止等の措置を講じる等……」

<意見内容>
該当箇所を「……動物の逸走の防止や、みだりな繁殖の防止等の措置を講じる等……」

<理由>
「動物の係留」は、主に犬のつなぎ飼いのことを指しているものと思われるが、本来は「犬のつなぎ飼いは虐待」との意識を広めていくべきであり、つなぎ飼いを肯定する表現は避けるべき。
ここでは、飼育している動物に対して逸走防止の措置をとらざるを得ないために動物の行動等に一定程度の制約を課していることを言っており、そのまま逸走防止の表現に変えればよいと考える。

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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
3ページ
(合意形成)
最初の段落中の「畜産等における動物の資源利用」

<意見内容>
該当箇所を「畜産等における動物の利用」とする。(「資源」を削除する)

<理由>
単に「動物の利用」と改めるべき。畜産動物も「命あるもの」であり、苦痛を感じる存在である。動物愛護管理法においては、畜産動物を「資源」とする、モノ扱いの表現はふさわしくなく、指針のここまでの文章で「命あること」が強調されてきたことと矛盾を感じる。削除すべき。

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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
3ページ
(合意形成)
最初の段落中の「狩猟等の動物の捕獲行為」「外来生物の駆除」「動物の個体数の調整」

<意見内容>
該当箇所を削除する。

<理由>
そもそもこれらの行為の対象となる動物は、動物愛護管理法の対象外であり、ここに例示することで誤解を招く可能性があり、言及する必要もないのではないか。別の法律によって管理されている人と動物の在り方については言及せず、削除するべき。

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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
5ページ
(4) 施策の実行を支える基盤の整備
「動物愛護管理施設等の拡充」

<意見内容>
該当部分を「動物愛護管理施設等の拡充及び管理水準の向上」とする。

<理由>
施設の拡充だけが重要なのではなく、いかに管理運営されているかも動物福祉にとっては重要である。立派な施設があっても、管理面が充実していないために生かせていない現状もある。ハード面はもちろん重要であるが、細かいケアによってカバーできる側面もあり、また適切な管理こそ重要であるため、管理についてもセットで言及するべき。

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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
6ページ
2 施策別の取組
(1) 普及啓発
① 現状と課題
中ほどの「……特に子どもが心豊かに育つ上で、動物との触れ合いや家庭動物等の適正な飼養の経験が重要であることが指摘されており、適正な方法による機会の確保が求められている。」

<意見内容>
該当部分を「……特に子どもが心豊かに育つ上で、家庭動物等の適正な飼養の経験が重要であることが指摘されている。」とする。

<理由>
「動物との触れ合い」という表現は幅が広いが、家庭での動物の飼育に関する調査研究と比較して、論拠をもって重要性が指摘されているような触れ合いは、あまりないと言っていいのではないか。

また、「家庭動物の適正な飼養」には「適正な」の語がかかっているが、「動物との触れ合い」は「動物との適正な触れ合い」と限定する表現となっておらず、文末の「適正な方法による機会の確保が求められている」の部分は、主に「動物との触れ合い」の適正化を指しているものと思われる。もし「触れ合い」に言及するのであれば、「方法の適正化が求められている」と明言するべきであるし、「家庭動物の適正な飼養」の適正化をさらに行うのは日本語の文章として重複になっているため、この文章は何らかの修正を行うべき。

また、触れ合いの機会の確保自体は、動物の福祉を配慮する立場からは決して望まれていない。「機会の確保」の表現は、触れ合いを行うべきとの印象を与えるため、削除を要望する。

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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
第2 今後の施策展開の方向
2 施策別の取組
(1)普及啓発
②講ずべき施策
イ「動物との触れ合い事業の推進に当たっては……」

<意見内容>
該当箇所を「動物との触れ合い事業を行うに当たっては……」とする。
(「推進」の文言を削除する。)

<理由>
動物との触れ合い事業が、環境省によって推進の対象とされたことは、これまでないのではないか。国民的議論を経ないうちに国の態度を「推進」とすることは問題であり、この部分は必ず改めるべき。
ガイドライン化では、むしろ使用する動物種を限定するなど、推進とは逆の方向性が必要である。

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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
7ページ
(1)普及啓発
②講ずべき施策
イの最後の文章 「……情操の涵養等を目的とした学校飼育動物の飼養に……」

<意見内容>
該当箇所を単に「……学校飼育動物の飼養に……」とする。

<理由>
生態の観察を行うことを目的として飼育される動物は、実験動物の飼養保管基準の対象から除外されている。学校飼育動物の飼養の適正化をはかるのであれば、これら理科目的で飼育される動物に関しても適正化をはかるべきであるが、「情操の涵養等を目的とした学校飼育動物」と限定的な表記がなされることで、生態観察のために飼育されている動物がここで除外されているかのような印象を与えるのではないかと懸念する。
また、情操の涵養を掲げている場合においても、情操の涵養に至りえない飼養状況によって目的が達成できていない実態が批判されているのであり、ここでは目的には言及せず、単に学校で飼育される動物全体を対象とする旨の記述にとどめるべき。

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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
7~8ページ
(2) 適正飼養の推進による動物の健康と安全の確保
②講ずべき施策

<意見内容>
アの続きとして、以下の3点を追加する。
① 譲渡の推進にあたっては、動物愛護団体や動物愛護推進員等と連携を図りつつ、譲渡先の選定を適正に行いながら進めること。
② 自治体の施設に収容されている期間の動物の健康及び安全を図るため、施設・設備及び管理方法に係るガイドラインを策定すること。
③ 『動物の処分方法に関する指針の解説』の見直しを行うとともに、殺処分方法に関しても麻酔薬による方法への転換を図ること。

<理由>
① 殺処分の削減の数字目標を達成せんがために、安易な譲渡がおこなわれるのであれば問題である。動物愛護推進員の活用を図るなど、適正な譲渡先の選定に努める必要がある。また、譲渡の推進には動物愛護団体等との連携が欠かせないものとなっており、そのことについても言及すべき。

② 自治体の動物収容施設の中には、未だ劣悪ともいえる施設がある。譲渡対象の動物は冷暖房のある部屋に入れるなど対応を変えるが、譲渡対象とならなかった動物は劣悪な状態に置く自治体もある。地方自治体は、動物の所有者・占有者を指導する立場であり、目安となるガイドラインを国が策定し、改善・底上げによる均一化を図るべき。

③ また、多くの自治体で採用される炭酸ガスによる殺処分についても、麻酔薬による方法への転換を図るべき。その際、「動物の殺処分方法に関する指針」は内容が具体的ではないため、日本獣医師会が発行する「動物の処分方法に関する指針の解説」に最新の科学的知見・技術的改善等を反映し、改訂を行うこともするべき。

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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
9ページ
ア「住宅密集地等において飼い主のいない猫に不妊去勢手術を施して地域住民の合意の下に管理する地域猫対策について、地域の実情を踏まえた計画づくり等への支援を含め、飼い主のいない猫を生み出さないための取組を推進し、猫の引取り数削減の推進を図ること。」

<意見内容>
① 該当部分冒頭に「猫の所有者等に不妊去勢手術の周知徹底を図るとともに、」と追加する。
② 該当部分文中の「取組」を「取組(助成金制度を含む)」とする。

<理由>
改正法第七条に、「動物の所有者は(中略)繁殖に関する適切な措置を講ずるよう努めなければならない」と盛り込まれたことを反映させるべき。
また、飼い主のいない猫に対する不妊去勢手術の助成を推進するために、助成金制度についても盛り込むべき。

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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
10ページ
(5) 動物取扱業の適正化
②講ずべき施策
ウ 「国は、地方自治体が動物取扱業者に対する監視指導をより強化することができるようその支援策を検討すること。」

<意見内容>
該当箇所後半を、「……監視指導をより強化し、必要があれば行政処分並びに刑事告発を適切に行うことができるよう、数値基準を設ける等、支援策を検討すること。」とする。

<理由>
衆議院の委員会決議及び参議院の附帯決議に以下の通り述べられていることを反映させるべき。
「動物取扱業者による不適正な飼養・保管及び販売が後を絶たない現状に鑑み、動物取扱業者に対する立入検査を積極的に行い、必要があれば勧告、改善命令、措置命令及び取消し等の行政処分並びに刑事告発も適切に行うよう、関係地方自治体を指導すること。」

現行の自治体の指導監視の考え方では、改善して適正に登録させることに主眼が置かれているが、そのために貴重なマンパワーが割かれ、結果として改善にも至らない事例が多くみられる。いわゆる劣悪業者に対しては行政処分・刑事告発を適正に行う方針で指導監視に挑む必要があり、当指針にもその方向性を盛り込むべき。

また、基準に至らない業者は営業できないことを徹底させるため、具体的な数値基準の策定等を検討することについても言及するべき。すでに、環境省から示されている改正動物愛護法施行までのスケジュールには、基準の追加等(繁殖制限、飼養施設、移動販売)について議論を開始することが記載されており、指針においても「講ずべき施策」として記載して問題はないはずである。

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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
11ページ
(6) 実験動物の適正な取扱いの推進
①現状と課題
「……動物を科学上の利用に供することは、生命科学の進展、医療技術等の開発等のために必要不可欠なものであるが……」

<理由>
該当部分を「……生命科学研究、医療技術等の開発等のために動物が用いられているが……」とする。

<意見内容>
環境省は「動物実験の内容には踏み込まない、内容については判断する立場ではない」という見解であり、動物実験を「必要不可欠」と判断するような表現はできないはずである。
そもそも動物実験が必要不可欠か否かは議論のあるところであり、そのこと自体がこの指針の「合意形成」の部分で述べられている。ここで指針が一方の立場を支持するのは矛盾があるのではないか。「必要不可欠」との記述は削除し、現状の説明にとどめるべき。

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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
11ページ
(6) 実験動物の適正な取扱いの推進
①現状と課題

<意見内容>
該当部分に以下の記述を追加する。
「国際獣疫事務局(OIE)においては研究及び教育に供される動物に関して基準が設けられ、国際医学団体協議会(CIOMS)においても動物実験に関するバイオメディカル研究の原則の改訂が行われたところである。このような国際的な動きを踏まえ、我が国においても、実験動物の取扱いに係る法制度の整備へ向けた検討を進めていく必要がある。」

<理由>
産業動物の「?現状と課題」では、国際獣疫事務局(OIE)の基準策定に関して言及されているにもかかわらず、実験動物の部分では一切国際的な状況に触れられていない。
また、旧文部省の学術国際局長通知でも触れられていたCIOMSの原則は、昨年末に改訂が行われたばかりであり、OIEの規約と同様、各国が動物実験を監督する制度を構築すべきことを述べている。
国際的動向はさまざまあるが、この点を説いているOIEの基準とCIOMSの原則の2点については言及し、国内においても実験動物の取扱いに係る法制度の整備へ向けた検討を進めていく必要があることを明記するべきである。
衆議院の委員会決議及び参議院の附帯決議も、「実験動物の取扱いに係る法制度の検討に際しては」と、法制度の検討がなされることが前提の記述となっている。

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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
11ページ
(6) 実験動物の適正な取扱いの推進
②講ずべき施策
「……同基準の解説書の作成……」

<意見内容>
該当箇所を「……同基準の見直し及び解説書の改訂等……」とする。

<理由>
同基準の解説書は過去に作成されており、現在も解説書としての位置づけにあることは変わりないのではないか。内容は古く、改訂には賛成だが、それ以前に飼養保管基準や各省の動物実験指針などの見直しが先行するはずであり、そのことについても盛り込むべき。

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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
11ページ
(6) 実験動物の適正な取扱いの推進
②講ずべき施策
ア「……に行われるようにするとともに、実験動物に関する国際的な規制の動向や科学的知見に関する情報を収集すること。」

<意見内容>
該当箇所を「……に行われるようにすること。また、実験動物に関する国際的な規制の動向や科学的知見に関する情報を収集し、それらの周知を図るとともに、『実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準』並びに実験動物の取扱いに係る法制度の整備へ向けた検討に反映させること。」とする。

<理由>
該当箇所には、衆議院の委員会決議及び参議院の附帯決議の内容が反映されているが、そもそもこれらの決議においては「実験動物の取扱いに係る法制度の検討に際しては、」との前置きが書かれており、知見の収集はそのために行うものである。したがって、今後、法制度の検討を各省と連携の上行っていく必要があるのであり、収集した知見を何に生かすのかをここで明確にする必要がある。
また、国際的なガイドラインの動向や、動物福祉に関する最新の動向については、適宜周知を図ることによって我が国の実験動物の福祉の向上に生かすべき。
「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」についても、今回の小改正にとどまらず、内容を国際レベルに引き上げ、各省の動物実験指針との整合性をはかるために改正の検討を行うべきである。

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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
12ページ
(6) 実験動物の適正な取扱いの推進
②講ずべき施策
イ「国は、実験動物の飼養保管等基準の遵守状況について緊急時に対応するための計画作成状況も含め、定期的な実態把握を行うこと。」

<意見内容>
該当箇所の続きとして下記の一文を追加する。
「そのために、実験動物を飼養する施設の所在及び動物の飼養状況の把握に努めること。」

<理由>
そもそも「定期的な実態把握」のためには、どの施設がどこで、どの種類の実験動物をどれくらい飼養しているのかについての基本的な情報の把握が必要となるはずであり、大前提となるそれらの情報を把握すべきことについても言及すべきである。

法改正においては、業界関係者からの圧力により動物実験施設の届出制は実現せず、実験動物生産施設に関しても動物取扱業の対象から除かれたままであるが、実験動物福祉の現状に疑問を持つ多くの市民が、施設の把握すらできない状況に対し疑問を持っている。

条例によって動物実験施設を届出制にしている自治体や、法律に寄らずに動物実験施設への立入を行っている自治体もあり、すでにほとんどの都道府県の動物愛護管理推進計画において3Rの普及等が掲げている実態からも、施設の把握に努力をうながすことに問題があるとは考えにくい。

また、特に大量の動物を飼養・保管している施設では、災害発生時に適切な対応が必要となるため、自治体による飼養実態の把握は不可欠と考える。

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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
12ページ
(7) 産業動物の適正な取扱いの推進
① 現状と課題
「……関係法令等との整合性、我が国の実情等を踏まえ、……」

<意見内容>
該当箇所から「、我が国の実情」を削除する。

<理由>
実情を優先させるとレベルの向上につながらない。実情を変えるための基準の見直しを行うべき。

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<該当箇所>
資料2「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正素案」の新旧対照表
12ページ
(7) 産業動物の適正な取扱いの推進
②講ずべき施策
ウ「……関係省庁が協力して検討すること。」

<意見内容>
該当箇所を「……関係省庁が協力して体制を整備し、対応にあたること。」とする。

<理由>
検討するだけでは、実質何も行われないのではないかと懸念される。具体的に体制整備を行い、災害時も対応にあたるべきことを明記するべき。

以上

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2012年改正 2013年施行 時系列 まとめ わかりやすくまとめました

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