アジアゾウの今を考える~タイ現地レポート2025《PART 2》

本年2月、PEACEのスタッフがタイを訪問しました。アジアゾウに関連する施設や保護区を巡ってきましたので、PART1~2の2本に分けてレポートをお送りします。
Part 2では、アジアゾウ保護の取り組みについて、ゾウの専門病院、引退アジアゾウの保護区、野生アジアゾウの保護区の3か所をご紹介します。
タイ中から病気や負傷したゾウが集まるゾウの病院
FAE’s Elephant Hospital(Friends of the Asian Elephant Foundation)
タイのランパンにあるFAE(アジアゾウの友の会)エレファントホスピタルは、タイ中から集まった、負傷したゾウや病気のゾウの治療を行っています。「Friends of the Asian Elephant Foundation」が運営する民営の病院で、世界初のゾウ専門病院です。
交通事故、伐採、地雷、そしていまだにある象牙の密猟など、人間社会の巻き添えになったゾウたちです。地雷を踏んで足を失ったゾウには義足を作っています。
この病院には飼い主に所有されたゾウもいますが、街中にいるような人なれしたゾウばかりではないので、一般人はうかつに近づかないよう注意が必要です。
ショーなどを行う国立エレファント・コンサーベーション・センター(レポートPart1を参照)の近くにありますが、同センターのゾウの病院とは別の施設なので、間違えないようにしてください。
引退ゾウの保護区で自然に囲まれて穏やかに暮らすゾウたち
Elephant Pride Sanctuary
Elephant Pride Sanctuary We are elephant sanctuary in Chiang…
チェンマイから車で約1時間30分、エレファント・プライド・サンクチュアリインタノン国立公園にあるゾウの保護区にあります。
このサンクチュアリでは、人間に使役されていた引退ゾウが自然の森の中で暮らしています。もう排気ガスの中で観光客を乗せることも、重労働に使役されることもありません。
サンクチュアリのツアーではゾウという動物のことやゾウの保護などを、ゾウの世話を体験しながら学びます。サンクチュアリを立ち上げたチャンチャイさんがゾウについていろいろと教えてくれました。ツアーの参加者には、ゾウ乗りに疑問を持ったので参加した、という人もいました。このサンクチュアリはゾウ乗りもショーもないことが注目されています。
野生ゾウの保護区 森を守り、ゾウを守る
Kui Buri National Park
クイブリー国立公園
バンコクから約280km、テナセリム山脈地帯に位置するクイブリー国立公園では、野生動物観察エリアから野生のゾウを観察することができます。ゾウ以外にも多様な生物が生息しています。
現地のガイドはゾウに畑を荒らされた被害者でした。かつて畑を作るために森が伐採され、住むところを失った野生のゾウが畑を荒らすようになり、問題になりました。いまでは現地の人々は森を守りながら、ゾウとともに生きる生活手段を得ています。
クイブリー国立公園にいるゾウはインドゾウで、22家族350頭、GPSはつけていないそうです。象牙を狙う密猟者がいるため、レンジャーがいました。国立公園にまで密猟者がでるとは、ゾウが直面している密猟の危険、象牙市場の闇の深さを見る思いです。2025年1月5日にトラが1頭確認され、10年以上ぶりに確認したと公式発表されました。
ガイドさんに「街中の人を乗せているゾウは幸せだと思いますか」と問うと、「NO」と即答しました。ゾウのお墓があったのでスタッフは手を合わせてきました。ゾウは雨季の10月から12月に見ることができる可能性が高くなるとのことです。
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