イオンモール富津「エキゾチックアニマル VS もふもふあにまる展」

2022年、イオンモール本社から今後移動動物園は行わないとの回答を得ていますが、その際に本社に報告した内容になります。
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イオンモール富津「エキゾチックアニマル VS もふもふあにまる展」
開催期間:2022年8月11日~28日(但し27・28日は中止)
主催者:株式会社アニマルプロダクションRicky
入場料:800円(イオンモールアプリのクーポンで100円引き)
訪問日時:2022年8月21日 17時ころ~終了間際
訪問者:PEACEより2名
訪問のきっかけ
- 店舗に行かれた方からメールと電話があり、ハムスターの水が濁った状態だった、隠れられるハウスやトイレも置かれていない、フードもない、ケガしているハムスターが2匹いた、糞尿がついた状態の子もいた、夜行性のハムスターなのにそういった説明もなく、昼間に触り放題にしていた等の相談であった。
- ハムスターは大人になると単独飼育をしないといけないが、1つのケージに10匹以上に入れられていたとのこと。ケガもケンカによるものと考えられる。
全体の様子
- ゴールデンハムスター、ジャンガリアンハムスター、ヒヨコ、パンダマウス、ハリネズミ、ハツカネズミのふれあいを入り口のところでやっており、次にウサギ、モルモット、カメなどのふれあいコーナー、その奥の並べてある机に爬虫類等が置かれ、猛禽、インコ類、げっ歯類などの小動物が部屋の周囲に沿って並べられていた。予想以上に多数の動物種が連れてこられていた。
- 入場した時点では、かなりの人でごったがえしていた。(写真の時点では終了時間に近づいており、減ってきていた状態)
- 開催時期は、新型コロナウイルス第7波のさなかであり、動物と直接触れ合わせる活動を控えるべき時期だった。特にゴールデンハムスターは新型コロナウイルスが感染することがわかっており、香港では輸入されたゴールデンハムスターから人間に感染した事例がある。この香港の事例では、ペットショップが独立したクラスター発生源となった。
- 入場時や退場時に手洗いや消毒など促されなかった。動物へ感染させない配慮も必要だが、飲食店街などもあり、触れ合った後に手洗いせずに飲食する可能性もあり、手洗いは必須である。注意書きを読むように言われただけだが、注意書きにはその点は書かれていなかった。
- 事故・ケガについては責任を負いかねるとなっていた。
- 説明書きの内容はほとんど全て、ペットとして飼う場合の説明か、見た目がどうかという観点でしか書かれていなかった。野生動物をペットにすることや鑑賞対象にすること前提であり、明らかに飼わせるためのイベントとなっていた。




- 中には、普段、売っていることがわかるような表示が残っているケースもあった。
- 入り口で餌やり用のカット野菜を買うと、中でどの動物にもやっていいやり方になっていた。それぞれの動物が食べた量の管理をどうしているのか疑問。
- ちらほらとではあるが、水が置かれていなかったり、水皿はあっても水が入っていなかったりした。


- 爬虫類を見ていると、スタッフが寄ってきて、触ることを勧め、ケースから出そうとする。明らかにストレスと考えられることを積極的にさせようとするのはおかしいのではないか。
動物種
アカブチジェネット:
- 運動できるスペースもないような極小のケージに入れられ展示されていた。他の室内型動物園では、活発さゆえに客に引っかき傷をつくるなどするせいか撤去されたことがあり、明らかにふれあいには適さない種。
- 夜行性なので寝ていたが、そもそも夜行性の動物をふれあいに連れてくること自体がおかしい。
- 説明書きに、科が同じだけの全く異なる動物種のことが書かれていた。ホッキョクグマの説明にツキノワグマの説明を書くようなものであり、不適切。(ちなみに、コピ・ルアクはあくまで野生のマレージャコウネコが食べて排泄したものを利用するコーヒー豆であって、食べさせて生産する手法は本来の正しい採取方法ではない。動物虐待として糾弾されている)


パンダマウス:
- ふれあいに、体の小さいパンダマウスまで使っていて驚いた。触らせるのは、あまり見たことがない。一人ずつトレーの上に手を置いて触らせる方式で、つかみ取り方式でなかったことだけは配慮がされていたが、子どもが握りつぶせるサイズであり、逃げやすい動物でもある。
- 餌皿がいつ洗ったのかわからないような汚さだった。


猛禽類:
- 環境省の展示動物の飼養保管基準の解説書では、あらゆる動物種について拘束展示をしてはいけないことが明示されているにもかかわらず、猛禽類に関しては足を紐でつなぎ止める展示がなし崩し的に行われている。特にこうした移動展示では24時間の拘束となり、虐待である。エキゾチックアニマルを安易に見せる業態がふえていることで、動物虐待が加速されている。
- 紐で足を拘束する展示は、鳥が飛び立とうとした際、紐で引っ張られるため反動で落下し、逆さづりになる場合もある。訪問時も、メンフクロウが飛び立とうとして足を引っ張られ、落ちそうになっていた。そのあとで、一生懸命、嘴で紐をほどこうとしていた。
- 主催者の常設店舗でも猛禽類の下の糞尿や餌から垂れた血液などの掃除がこまめに行われておらず不衛生が指摘されているが、移動動物園でも同様だった。ほかのフクロウカフェや移動展示などでは、ここまで汚いまま放置はされていない。


ヒロハシサギ:
- 猛禽だけではなく、ヒロハシサギまで足を縛られ拘束展示されていた。主催者はサイトでミニハシビロコウという呼び方をしているが、そのような種名はない。そもそも、移動動物園では種名の表示すらされていなかった。 野生の写真を検索すると、こんなに嘴はガサガサではなく、適切な飼育方法がわかっていない種なのではないか。珍しい種なら何でも購入して見せたいと考える営業方針が透けて見える。
- 水が汚かった。




ケヅメリクガメ:
- 甲羅のデコボコや反りが激しく、栄養や管理が適切でないと考えられる。ここまでひどいと、どのように飼育されてきたのか、痛ましい。
ボールパイソン:
- 確かにペットとしてよく売られている種ではあるが、「初心者向けのヘビです」などと購入をあおるような文言を書くのは問題である。日本の野生種より太く大きくなるような種は逃げたものが発見されれば110番通報され、警察沙汰となる。本種は最近、野外で発見され、報道されるケースがふえており、安易な飼育がふえた結果と考えられる。
- アフリカでは野生個体がペット用輸出のために、現在も乱獲されている。ワシントン条約付属書IIであり、繁殖個体であっても国際取引に規制があるが、そのことが知られていない。日本にも密輸で入ってきていることが、海外での日本人業者の摘発によりわかっている。
イエローアナコンダ:
- 気性が荒いことで知られるイエローアナコンダまでケースから出して首にかけさせていたので驚いた。販売業者のところでは、ミトンをはめた手に本種が暴れてかみつくところを実演して見せるような売り方もされている種である。説明書きには気性が荒くない個体もいることがわざわざ書かれていたが、それだけ本種の気性の荒さが知られているということであり、本来なら特定動物に指定するべき種である。客に性質を誤解させるような展示は止めるべき。このサイズになると力も強いので、スタッフも御しきれていないところがあった。


グリーンイグアナ:
- しっぽを曲げないと入らない大きさのケースに入れていた。動物園等では考えられない展示。いくら移動動物園でも、全長が伸ばせない大きさの展示設備で見せることは、止めるべき。


ミーアキャット:
- ずっと人を呼ぶかのように鳴いていてかわいそうだった。本来なら家族で暮らす動物だが、アニマルカフェやふれあいでは単独飼育がおこなわれる。サル類も同様だが、ペット飼育やふれあいでは、仲間を求める彼らの性質が悪用されている。さみしい状態に置けば、人間の存在をありがたがるからだ。特に幼い個体は、世話してくれる対象になつくので、売り時となり、親から早期に引き離されている。
- 地中に穴を掘ってくらす動物のケージ飼育など完全に誤りであり、これを正しい行為であるかのように来場者に見せることは、大きな問題である。
モルモット、ウサギ:
- 4~50センチくらいの高さの枠で囲ってあり、餌やりできるようになっていた。スペースは広めに作ってあったが、モルモットやウサギはなるべく人間から離れた場所に集まろうとするので、子どもたちは餌をやろうと柵から身を乗り出して手を伸ばすことになり、転んで中に倒れてしまった子供がいた。
その他
- ハムスターについては、店舗にも苦情のメールがあったとのことで、けがをしたハムスターなどは下げられていた。
- イオンモール富津の責任者との電話では、足を縛り付けて展示している動物がいるなら止めさせると言われていたが、行くと、まだ継続されていた。
- イエローアナコンダは特定動物ではないと主催者からイオンモール富津に説明があったそうだが、特定動物は人を殺すことができるレベルのものが指定されているのであって、特定動物でなくても、けがをさせる可能性が高い動物種は多く存在する。移動動物園で起きるケガは、特定動物ではない動物で起きている。
- もともと1か月の企画だったものを半分の期間にしたとのことだったが、問題があるとわかっているなら、開催を見送ってほしかった。(そもそもイオン系列では行わない約束)
- 他のショッピングモールで移動動物園を行っている実績があるからといって、適正性の担保にはならない。
以上
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全国の住宅展示場やイベント会場等で、業者が動物を連れてきて、触らせたり見せたりする移動動物園が行われています。子どものためをうたい、動物をオモチャのように扱わせるイベントには多くの問題点があります。PEACEでは、イオン本社およびセ[…]