ふれあい移動動物園の問題点について
全国の住宅展示場やイベント会場等で、業者が動物を連れてきて、触らせたり見せたりする移動動物園が行われています。子どものためをうたい、動物をオモチャのように扱わせるイベントには多くの問題点があります。
PEACEでは、イオン本社およびセブン・アンド・アイ系列から、ショッピングモールでの移動動物園を行わないとの回答を得ています。安易な行事を行う企業等には意見をし、国に規制の強化を求めていきましょう。
1.移動動物園が開催される場所の問題点
移動動物園が開催されるのは、
- ショッピングセンターの駐車場などの特設会場
- 住宅展示場の敷地内
- お寺のお祭りとして、境内
- 企業のイベント会場(屋内、屋外)
- 大学の学園祭の大学敷地内
- 幼稚園のイベント
など、人出が多い場所がほとんどです。特に催事、祭りなどでは、人でごった返して芋洗い状態になる中、動物たちが触られることになります。
ほかにも、音や気温の問題もあります。
- 祭りやイベントでは、音楽やライブ演奏が大音量で近距離、あるいは同室内であり、展示されている動物に配慮が全くありません。
- 会場で音楽を流している場合や、ジェットコースター等や、電気を使用する遊具等と近接していて機械音がうるさいなどの問題がある場合もあります。
- 屋外イベントは、夏季冬季は特に気温管理ができません。使われている動物種に対して、暑すぎる、寒すぎるなどの問題が起きています。
2.移動距離の問題
動物にとって輸送は最もストレスがかかる行為ですが、動物たちはたった1日の移動動物園のために、関西から関東など、数100キロを超える距離を輸送されることもあります。朝会場についたらイベントのための設置をし、夕方にイベントが終わったら、トラックに積んでとんぼ返りで再び数100キロの道のりを戻ります。
出発時間までの間、トラックの上に動物を積んで一晩明かすようなことをしている業者もあります。(早朝の作業は近所迷惑になるため)
ゴールデンウィークや連休等で1日イベントがあちこちで続く場合、本拠地に帰らず、トラックに動物を載せたまま巡業することもあります。
人間が動物をもてあそぶために、動物たちが長距離を運ばれているのが移動動物園です。
3.移動動物園の開催期間・時間
その開催目的によって、1日だけ、土日だけ、1、2週間、1ヶ月間など、様々です。
- ショッピングセンターなどでは、土日祝日等の数日間〜1ヶ月に及び連日開催され続けることもある。
- お寺のお祭り、企業のイベント、学園祭など、その開催期間中の1日〜数日間のものもある。
ほとんどの動物に休憩はありません。一日中休みなく展示され、いじられ続ける動物が大半です。
- 時間は、午前中から夕方まで一日中展示され続ける。
- 動物によっては休憩時間をとらせていることもごく稀にあるが、ほとんどのケースでは休憩時間はとられていない。
- 常設の動物園で行われているふれあいのように、30分〜1時間半等など、時間帯が決まっているのとは全く異なる形態。自由に動物にさわれるようにしてある。
また、複数日行われる移動動物園の場合、営業時間が終わると、木箱の中にモノのように翌日の朝まで「保管」されます。
4.イベントそのものの問題点
移動動物園やふれあいは、動物にとっても、それを体験する子どもにとってもよくありません。教育とは言えず、質の悪い娯楽です。
ふれあい用の小動物が晒されている暴力やストレス
暴力的な扱いや、嫌なことをされても、動物が逃げられない状況に置かれています。
客が動物に対して行っていること:
- 目や口、手足、指先など、体の部分へのいじり。
- 握りしめ、押さえつけ、などによる内臓圧迫。
- 体の一部分を持って持ち上げる、体の一部分を持って抱きかかえられるなどの不適切な扱い。
- 少し大きめの動物に対しては、蹴るなどの暴力。
- 本来触るべきでない野生動物を触ろうとする。
結果、動物に起きていることは…
- 不快感と恐怖から逃れられない。
- 子どもの手による強制拘束。
- 身を隠す場を与えられていないため、不快や恐怖、視線から逃れることができない。
- 逃げられないように拘束される、心理的圧迫を与えられる。
- 追い回される。
- 無理やり餌を食べさせられる(顔に餌を押し当てる、口に餌を突っ込む)。
- 本来一日中餌を求め喰むという行動ができないようにされ、客からの餌を待つようにされている。
- 精神を病む場となっている
- 本来備わっている自然な行動の大幅な制限。
- 身を隠す場所さえ与えられない形態の展示が多く見られる。(掃除や、運びやすさ、簡易さ、動物の体全体が客から見え易いようにすることなどだけしか考えられていない形態がとられている)
- 小さなケージの中でぐるぐる回るなどの常同行動が起きている
以下、動物種別の具体例です。
ヒヨコ
「優しく」などと注意書きがあっても、片手で乱暴に握られ、体をいじくり回されています。監視のスタッフがついていないことが多く、スタッフがいても、注意しないことも多いです。(理由は人員の項を参照)
そのほか、
- ヒヨコをひっくり返して持った状態で、くちばしをつまむ、目を触る。
- 両手に持った二羽のヒヨコを近づけて、クチバシを相手の体に突っ込ませたりする。
- 両手のひらにヒヨコを乗せていたとしても、手のひらでその体を包んだまま、拘束する。
などの行為を、幼児から成人までがしています。まだ生まれたばかりの赤ちゃんに対して。
ヒヨコは鶏のヒナです。ヒヨコのままの大きさで、ずっと飼うことはできません。成長した鶏がたくさん移動動物園にいますか? ヒヨコは、成長する前に殺されます。ほかの動物の餌にされています。(殺処分後に与えるか、もしくは生き餌)
ヒヨコは鶏のヒナなのだからデリケートに扱わなければならないという当たり前のことを、主催者や動物取扱業者が認識していませんが、どのみち殺すということが前提にあるからだと思われます。(これが希少な鳥であれば、生まれて間もないヒナを幼児に触らせたりしないでしょう)
ハムスター
- 本来、夜行性の動物でありながら昼間に展示されているため、客にいじられなければ、ハウスの片隅で数匹で固まり丸くなって寝ているが、身を隠すためのハウスが置かれていないことも多い。
- 不快や恐怖を感じると噛み付くことがある。恐怖や痛みから必死で逃れようとする時は、人の指から血が出るほど噛み付くこともあり、軍手などの用意があるのはそのため。人の手を噛むことを想定しているということは、ハムスターが心地良くない状況、噛まざるを得ない状況、あるいは人馴れしていない状況であることが、あらかじめ想定されていると考えられる。
- 高いところから落としても大丈夫だと思われているのか、往々にして容器に戻すときに落とすように入れる乱暴な扱いが見受けられる。
- 体の小さい動物であり、子どもには持ちやすいが、受ける衝撃やストレスは大きい。
- 成長するとお互いケンカをするため、1匹ずつ離して飼育する動物である。たくさん入れられているのはまだ若いきょうだいと思われるが、大きくなってきていると、ケンカにより体が傷ついていることがある。繁殖に使う大人以外は、餌になっている可能性がある。
- 家庭で飼われているハムスターは、毎日接している人間と、知らない人間の区別ができる。知っている人の手に乗るときは、爪を立てないが、知らない人の手に乗るときは、爪を立てて立つ。ふれあいでは、知らない人ばかりだから当然、爪は立てる。
モルモット
常設の動物園では、時間制限を設けていたり、係員が一人一人にモルモットを手渡す、敷物に包んでそっと渡す、椅子に座って膝の上に乗せてもらう等し、数人の係員が子どもたちにつくような形態でやっている場合もあるが、移動動物園ではスタッフがいないので触りたい放題になっている。
また、モルモットは臆病な性格。恐怖と不快感で逃げ惑うモルモットを追い回し、掴み取りする行為が、移動動物園のふれあいになっている。
ほんとうは自己主張する動物だが、ふれあいでは、災難が去るのを待つように、じっとおとなしくしている。
- モルモットは子どもの手では、つかみづらい大きさ。抱っこされることを欲してはいないので、逃げようとし、小学生以上になると力づくでつかみとることになる。
- 身を隠す場所が設置されていない展示方式もあり、開催中、朝の開園から夕方の閉園まで子どもたちの手から逃げ続けなければならない。なるべく隠れられる場所か、人から遠い位置に集まっている。
- モルモットは大食漢なのにもかかわらず、餌が置かれていないか、あっても申し訳程度のことがある。
ウサギ
モルモットと同様、スタッフが渡してあげるといった形態はとられておらず、触り放題になっている。
- ウサギの動きが俊敏なため、逃げられないようにと子どもたちは手でウサギの腹部や胸部をぎゅっと圧迫して押さつけて捕まえている。
- ウザギは抱っこされると大人しくなるためか、一旦捕まってしまうと数分間抱っこされ続けてしまっている。不適切でウサギの体に負担のかかる抱き方の場合も多い。
- ウサギは目をあけて寝ることができるが、寝ていたと思われる場合でも叩き起こされて追いかけ回されたり捕まえられたりすることになる。
- ウサギが撫でられると気持ちよい場所をスタッフが教えるなどしていない。(おそらく知らない?)
猫
猫を連れてくる業者は少ないと思われるが、展示される場合、ひどいことになっている。
- 屋外で、猫を紐で拘束して触らせる形態は、猫を飼育している人間には到底受け入れられないが、業者はそれが理解できない。
- ケージがある場合も、奥でじっと身を潜めて一歩も動けない状態。そこに子どもたちが大勢で詰め寄り、長時間逃げられない状況に置かる。
- したい時におしっこをすることもできない猫は泌尿器系の病気になりやすく、このような展示は虐待でしかない。
メンフクロウ
夜行性だが明るい昼間にふれあいに供されます。家畜化されていない野生動物なのに、隠れるところもなく、触られ放題になっています。体調の変化などが見た目でわかりづらい野生動物をふれあいに使うことは、止めるべきです。
足が拘束されており、本来の形態及び習性を損なう展示が行われています。嫌なことから逃れたり好きに歩き回ったりすることはできません。驚くことがあった場合、急に勢いよく飛び立とうとするので、繋がれた脚の骨に力がかかっています。高さのあるところに繋がれている場合は、よく逆さ吊りになっています。
「展示動物の飼養及び保管に関する基準」「の第4 個別基準」の「1 動物園等における展示」の(1)展示方法のイ には、 動物園動物又は触れ合い動物の飼養及び保管を適切に行う上で必要と認められる場合を除き、本来の形態及び習性を損なうような施術、着色、拘束等をして展示しないこと とあります。 |
ケヅメリクガメ
寄ってたかって甲羅に子どもたちが好き放題に乗り、行き先を阻むようなことが行われています。カメが背中の不快を自分では取り払うことができないことにつけ込んで、逃げようにも逃げられない状態にしています。大人は、自分の子どもが亀に乗っている写真を撮りたいだけであり、亀がその場から必死に去ろうとしていることにも気が付きません。
子どもは、無理やり餌をやろうとしていますが、食べません。
アフリカタテガミヤマアラシ
珍しい野生動物も、移動動物園で距離が近くなると、ちょっかいや暴力の餌食になります。
- このヤマアラシは、暴力から身を守れない状態で、1ヶ月以上展示されていた。周りに誰もいない時は常同行動を繰り返していた。精神を病まないほうが不思議な状況。
- この移動動物園のヤマアラシでは、子どもが手をケガする事故が起きている。
他にも事例を順次追加予定
落下事故、あるいは故意による落下
常設の動物園では、落下事故の記録をつけている場合があるが、移動動物園ではスタッフがそのような記録をつけている気配はありません。
ふれあいタイムが終わった後、必ず全てのモルモットの前歯が欠けていないか調べてから休憩に入る動物園もありますが、移動動物園では、撤収時にそのような身体チェックをしている気配はありません。
群れで暮らす動物を単独で連れてくる
ヒツジや馬(ポニー)、ペンギン、アザラシなど、仲間が必要で、単独飼育では不安を感じる動物たちが、1頭だけで連れてこられています。
そもそも本拠地でも複数で飼育していない場合もありますが、複数飼育している場合でも、特に中型・大型の動物になると、輸送の問題から1頭だけを移動動物園に連れてくることになります。
それが動物に不安を与えており不適切だと、業者自身が理解していない可能性があります。
人員、スタッフ数が少ない
少なくとも触らせる動物1匹ごとにスタッフとして監視員がつくべきですが、人数が足りておらず、多くの動物が触らせっぱなしになっています。
短期イベントでは、動物取扱業者が現地で雇った短期アルバイトや、動物業者ではないイベント主催者から派遣された経験のない人間が会場にいることがありますが、その日だけ雇われた人員では、専門の知識や能力があるとは言えず、数合わせの人員でしかありません。客のことを見もせず、おしゃべりだけしている場合もあります。客の問題行動を注意することもありません。人数揃えるためにその日だけその場にいる監視員の動物の扱い(捕まえ方など)が酷い場合もあります。
- 動物専門学校生を使っていることもあるが、自らの就職先や評価がかかっていたり、まだ学ぶ立場であったりすることもあり、雇い主である動物取扱業者に迎合してしまう。都合の良いように事実を曲げることもあり、そもそも正しい教育を受けていないと感じられることもある。
- 経験や実績のない学生が、客相手に間違った知識を披露している場面も見受けられる。
- 1つの動物種につき、監視員や指導員が付いている移動動物園もありましたが、その日だけ雇われた動物専門学校の生徒、あるいは、その祭りの一般ボランティアだった。ただ人数を揃えているだけで、展示している動物の監視、客の指導ができていない。
- 学んでいない動物の監視役にあてがうなど、配置が間違っている場合もある。
- 掃除の人員と監視の人員は分けて考えるべきだが、実際には分かれていない。動物たちはひっきりなしに排泄をしており、一日中その掃除に追われている。
5.本拠地での飼育の問題点
そもそも、移動動物園に多種多様な動物を連れてくる事業者は、普段どんなところで動物を飼っているのでしょうか? 移動動物園は、動物園や水族館、サファリパークなどが副業的に行っている場合もありますが、移動動物園を主たる事業とする事業者もいます。
移動動物園を主な事業としている事業者は、本拠地を般の来客には見せていません。狭い土地しかなく、狭い檻やケージに動物を閉じ込め、十分な放飼場もないのが実態です。Google map等で現地の航空写真を確認してみましょう。そもそも、連れてくる動物の状態等から、不衛生な管理がなされていることがわかる事業者もいます。
本拠地住所が建物の一室の場合、ほかに飼育場があるか、動物を借りて事業を行っている場合もあります。
6.感染症・公衆衛生の問題
直接動物を触らせることについては、爬虫類(カメ等)からのサルモネラ感染など、動物からの感染症の問題があります。詳しくはリンク先をご覧ください。
日本では小さいお子さんに動物を1日だけでも、ただ与えていじらせれば情操教育になるという根拠不明の固定観念が広まっていますが(なんらか根拠らしきものがあるのは、家庭での飼育など長期的関与がある場合、もしくは教育的関与がある場合くらいではないで[…]
動物との「ふれあい」を行う施設や「ふれあい」行事による感染症の集団発生は、件数はそれほど多くはありませんが、まったく起きていないわけではなく、死亡例もあります。日本で起きたこれまでの集団感染事例を一覧にまとめてみました(高校までの学[…]
また、動物間で広がる感染症の問題もあります。ウサギやヤギ、ヒツジなどは家畜伝染病予防法の規制を受けるにも関わらず、安易に各地に連れまわされています。ヘビ真菌症など、野生種の存続を脅かす致死的な感染症も、ペットの輸入を介して日本に入ってきています。
アメリカ南西部で、ウサギに致死的な出血病を起こすウイルスが蔓延しているという報道が、今年の5月ころから続いていました。この病気は、兎ウイルス性出血病(兎出血病※、RHD)といい、今蔓延しているのは、中国で最初に発生した1型で[…]
新型コロナウイルス対策として手指用のアルコール消毒液のポンプが置かれるようになってきていますが、アルコールは小動物にとって毒です。また、アルコールが効きにくい病原体もあるため、ふれあい前・ふれあい後の手洗いをするべきですが、これが行われていない移動動物園がほとんどです。
動物に感染させないために、ふれあい前にも手洗いが必要です。
7.動物の由来の合法性の問題点
エキゾチックアニマルを触れ合わせるイベントもふえていますが、コツメカワウソなどの希少種に関しては、動物の入手経路を確認すると、正規の輸入であるかどうか疑わしい事例が実際にあります。
珍しい動物を見せる企画は要注意ですが、主催の企業がエキゾチックアニマル業界のグレーさを理解していません。
8.開催側の意識の問題点
「命の大切さを教える」などの大義名分が掲げられる移動動物園ですが、実態はビジネスであり、動物を者扱いし、搾取しているにすぎません。
もし動物を見たいなら、「動物のいるところに人間が見に行く」が基本ルールです。これを歪めてでもお金儲けをしたいのが、この手の事業者です。イベント等でこうした事業者を呼ぶ企業等にも、「楽して何か子ども向けイベントを開きたい」「お金を払って呼べばよい」という、安易な意識があります。
事業者の主張から透けて見える意識
- 子どもたちに楽しんでもらいたい。
→実態は、子どもが楽しんでいるのだから、動物が苦しんでいてもいい。もしくは動物が苦しむことに思い至っていない。 - 動物を身近に見て触れて感じてもらいたい。
→実態は、とにかく触らせたい、近づけたい。動物はモノのような意識。 - 動物園では遠くからしか見ることができない動物を近くで見せている。
→扱いに問題がある自分たちの営業に対して理由付けをし、さもよいことであるかのように箔付け・格上げをしたがっている。
9.自治体の指導の問題点
第一種動物取扱業の登録事業者でなければ移動動物園は開催できませんが、現状、こうした形態の営業は、法律で禁止はされていません。
おおむね24時間を超える2日間以上の展示を行う場合は、開催地での第一種動物取扱業の登録も必要になりますが、自治体は、どれだけ簡易な施設で問題があっても、業者から規定の書類を提出されたら、申請を受けつけざるを得ない現実があります。
自治体の対応の現実
- 実際にまだ施設が設置されていないのに、書類だけで第一種動物取扱業の登録を行ってしまっている。登録後に、実際に現地に施設ができてから立入を行っているが、問題があっても営業を止めさせることをしない。
- 立入りは営業開始前なので、実際に客が入ったときの問題が把握できていない。
- 高いところに動物を置く(落ちる危険性がある)、紐で猫をつなぐ(動物福祉上の問題だけでなく逃げる可能性がある)、スピーカーの隣に動物のケージを置く、ジェットコースターの爆音のする場所に設置している、真冬に屋外である等々の一目瞭然で問題ある展示であっても、自治体は登録をしてしまう。
- 定性的な基準はあるにもかかわらず、自治体職員は、基準を現場に適用して考えることができない。具体的な数値等の基準がないという言い訳に、常に話がすり替えられている。
- 獣医師なのに、例えば気温の暑さ寒さについてすら、専門的な判断ができない。獣医師を雇っている意味がない。
- 「問題が起きれば、その都度注意します」と言い、問題が起きてから対処という考え方である。予防する考えがない。暴力を受けてから注意されても、肉体的損傷は起きてしまう。
- その都度注意といっても、自治体職員がずっと監視していられるわけではない。
- 心理的苦痛に対する理解がない。
- 立入検査にしても、何を監視・指導すべきか、自治体職員が全く把握できてない。お願いしたことしか見て来ない。業者に注意すらできていない。
- 開催後は、業者は地元に戻るので、終わってから指導できないと言いのがれをしようとする。業者の本拠地がある自治体に伝えることが限界となっている。終わってから口頭で指導を受けても、業者は痛くも痒くもない。結局、同じことを繰り返す。
まとめ:規制強化を!
不毛なのは、その場で1人の子どもの行為を注意したところで、同じようなことをする違う子どもが繰り返し来場することです。子どもが乱暴な扱いをしてから注意、指導しても仕方がなく、その動物にとっては一日に何度も暴力が繰り返し行われていることになります。
ふれあいや移動動物園は、子どもたちにとっては、動物のストレスや恐怖を軽視する体験をする場となってしまっています。
ミニカーや電車のレプリカ、人形と同じ感覚で小動物を扱うよう教えてしまっているふれあいは、子どもに命の大切さを失わせるものです。幼少期の体験は大切です。その子の人格形成、社会基盤を狂わせる体験になってしまっては、社会にも影を落としかねません。
さらに、移動動物園の場合、「動物が生活しているところに人間が行く」という基本的なルールを逸脱しています。
動物を連れてきて子どもを楽しませようという発想は、自然から動物を奪ってきて動物園で見せることの延長にあるのでしょうが、そうだとしても、あまりにイージーです。
法的禁止が妥当ですが、実現するまでの間は、基準の強化で対応せざるを得ないのが現実です。
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