農薬のイヌの慢性毒性試験削除 平成29年10月12日食安委 議事録

食品安全委員会での議事録も、今後の運用に際し、見解として用いられるとのことですので、無駄で残酷な動物実験を「企業にさせない・国から求めさせない」ための重要なドキュメントとなります。

そのため、関係する部分を全文掲載いたしました。
審議は2回行われており、次の第155回の議事録の公開はまだ行われていません。


平成29年10月12日 第153回農薬専門調査会幹事会

議事録より該当部分を抜粋

※話し合っている資料は、こちら
※委員のフルネーム及び所属はこちら

○西川座長
よろしくお願いいたします。
それでは、その他の議事に移りたいと思います。
農薬の食品健康影響評価におけるイヌを用いた1年間慢性毒性試験の取扱いについて、
事務局より説明をお願いいたします。

○濵砂課長補佐
資料10をお願いいたします。

こちらにつきましては、食品健康影響評価技術研究課題で、イヌを用いた1年間慢性毒性試験について、どのように食品健康影響評価に影響を及ぼすかということで、研究いただきまして、そちらの報告がまとめられました。それを受けまして、農薬の評価において、こちらの試験の取扱いについて、御審議いただくものでございます。

6行目から背景となっておりますが、その前に、林先生、長野先生からコメントをいただいておるのですけれども、納屋先生からコメントに同意いたしますと、いただいております。

6行目から背景としまして、7行目、8行目は、各種毒性試験が実施されている旨を記載してございます。

そのうち、9行目からでございますが、1年間の反復経口投与慢性毒性試験においては、げっ歯類と非げっ歯類、こちらは通常ですと、イヌを用いて、提出が求められていますが、近年、海外においては、必須とされていないことが多いといった、海外の情勢に対する背景を記載してございます。

14行目から「食品安全委員会農薬専門調査会では」ということで、こちらは、先ほど申し上げました、研究課題の報告結果等を踏まえ、科学的な観点に基づいて、農薬の食品健康影響評価におけるイヌ慢性毒性試験の取り扱いについて整理した。「本整理結果は」ということで、事務局としては、ほかの食品安全委員会の資料で「アニマルウェルフェア」と使っていましたので、そういうふうに書いたのですが、林先生から「動物福祉」のほうがいいのではないかと、御修文いただいてございます。動物福祉にも資するとも考えられるということで、どのような言葉を使えばいいか、御検討いただければと思います。

17行目のところで「資するとも」の「も」なのですけれども、こちらは不要ということで、先ほど西川先生より御提案いただいてございます。

14行目の食品健康影響評価技術研究課題の報告結果というのは、どのような結果であったかというところで、参考資料1では、研究課題の名前を書いているのですが、その結果の内容を簡単に記載したほうがいいと、先ほど親委員会の先生より指摘されておりまして、例えば「報告結果として、一定の条件を満たせばイヌ慢性毒性試験の実施は省略可能であると判断されたことを受け」といった記載ではどうかという御提案もいただいておりまして、ここにさらに追記したほうがいいか、どのような追記方法がいいかもあわせて御検討いただければと思います。

18行目からは「なお、本資料については、現時点における科学的知見に基づく基本的考え方を整理したものであり、国際的な評価方法の動向、国内外での科学的新知見等を」ということで、林先生より修文いただいてございます。「国内外での科学的新知見等を勘案して、必要に応じて見直すこととする」といったものでございます。

22行目からは、イヌ慢性毒性試験に対する基本的考え方ということで、大きく3つ並べてございます。

(1)基本的考え方でございますが、げっ歯類に比べて、イヌで感受性が高い場合等、(2)に示されるようなイヌに特異的な傾向が認められる場合を除いて、イヌ慢性毒性試験が実施されていない場合であっても、食品健康影響評価は可能とするといったものでございます。

28行目からは、イヌ慢性毒性試験が必要であると考えられる場合になっておりまして、まず初めに、以下に挙げられる場合においては、試験が必要である。こちらは、林先生から「専門家が判断し」を入れたほうがいいのではないかと、御指摘いただいてございます。

必要に応じて、リスク管理機関に要求すべきである。

その後、4つございまして、1つ目、イヌとラットの亜急性毒性試験で認められる毒性
プロファイルが異なる場合。

2つ目としまして、毒性標的臓器が同じでも、明確な用量差が認められ、イヌの感受性
が高いと考えられる場合。

3つ目の部分は、元々④に記載してあった事項でして、ヒトへの外挿性の有無を注釈の中に入れているのですけれども、長野先生より、①②も含めて該当するので、③に持ってきたほうがよいということで、③へ移行する案としてございます。

③としまして、イヌでの農薬の蓄積性が懸念される場合や薬物代謝(動態)が異なる場
合。

注釈の内容としましては、ヒトへの外挿性の有無を考慮した上で、イヌ慢性毒性試験の要否について慎重に判断する必要がある。

③に挙げました部分で、親委員会の先生より指摘を受けておりまして、書き出しなのですけれども「異なる場合」ということなのですが、データが必ずしもあるとは限りませんので「異なると考えられる」としたほうがいいのではないかと御指摘いただいております。③に移したほうがいいのか、また、どのような記載がよいか、御検討いただければと思います。

2ページに移っていただきまして、④としまして、イヌ亜急性毒性試験において、無毒性量が得られていない場合ということで、長野先生から「得られていない」というのは、一般的に使われていると思いますということで、修文いただいてございます。

こちらの注釈としましては、発現用量や毒性所見の内容によっては、亜急性毒性試験の再実施ではなく、慢性毒性試験の実施を検討すべきであるといったものでございます。

こちらの脚注の中で、3行目に「発現用量」と書いていますので、お戻りいただきまして、②の33行目に「明確な用量差」とあったのですが、西川座長より「発現用量の差」ということで、言葉の記載ぶりを合わせたらいかがかと、御指摘いただいてございます。

2ページにお戻りいただきまして、10行目からは、留意点としまして、(2)の状況にかかわらず、イヌ慢性毒性試験が実施されている場合には、同試験結果も含めて評価すべきであると記載してございます。

15行目からは、こちらの内容に関する参考資料でございます。
どのような記載がよろしいか、御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○西川座長
ありがとうございます。
順番にいきたいと思います。

14行目「食品健康影響評価技術研究課題の報告結果等」と書いてあるのですが、ここに
ついて、もう少し具体的な内容を脚注等で追記してはどうかという説明があったのですが、
これについては、いかがでしょうか。
林先生、どうぞ。

○林専門委員
参考資料の中に、この報告書は入っているのですね。

○西川座長
入っています。

○林専門委員
それを見ればいいのではないかと思いました。

○西川座長
しかも、15行目の冒頭に「等」とあって、報告結果だけではないのです。したがって、私は、林先生がおっしゃるように、既に参考資料として記載があるので、詳しくはそこを見てくださいということで、よろしいのではないかと思います。
よろしいですね。

16行目「アニマルウェルフェア」と書いてあるものを、林先生から「動物福祉」のほうがよいのではないかという御意見がありました。これは食品安全委員会で片仮名を使っているのですね。そのあたりは、どのように扱ったらよいか、御意見をいただければと思います。
林先生、いかがですか。

○林専門委員
これまでと横並びにしていただいて、いいと思うのですけれども「動物福祉」というきれいな日本語があるので、わざわざ「アニマルウェルフェア」としなくてもいいのではないかというのが、率直なところです。

○西川座長
そうすると、食品安全委員会での記載方法も変わってくるということですか。よろしいですか。

○濵砂課長補佐
例えば「動物福祉(アニマルウェルフェア)」もあると思います。科学的ではないかもしれないですが、1つ、御提案させていただければと思います。

○西川座長
そのあたりも、事務局のマターだと思いますので、よろしくお願いします。
細かいところはいいとして、次は30行目の「イヌ慢性毒性試験が必要であると専門家が判断し」の「専門家が」を加えるという、林先生の御意見ですが、ここで気になったのは、ここで主語となるのは、専門家しかなくなってしまうので、それが「リスク管理機関に要求すべきである」にもつながるような気がするのですが、いかがですか。

○林専門委員
ここで問題なのは、私がこの文章を読ませていただいて、原則として、イヌの1年間試験は、なくても評価が可能であるという前提があってこういう条件が見つかったときには、長期の試験をしてくださいというのが趣旨だと思います。そうすると、必要かどうかということを、いつ、どこで、誰が評価するのかが、この文章ではわかりにくかった。誰がについては、やはり専門家でしょうというところまでは、考えたのですけれども、いつ、どこでこの判断をするかがわからない限り、このガイダンスは使いづらくなってしまうと思うので、その辺は、もう少し御議論、御検討いただければと思います。

○西川座長
それについては、資料の一番上のところに「平成29年○月○日 農薬専門調査会決定」とありますので、これは専門調査会が判断することにはならないのですか。

○林専門委員
この文章自身は、専門調査会で決定するのですけれども、実際に新しい農薬を登録しようとしたときに、そもそもイヌの1年間の試験が必要なのかどうか。なしでいいと思って登録したら、最後の最後になって、やはり1年やってきなさいと言われたら、困るし、1年間の動物試験をくっつけて出したのに、最終的にこれは要らないですと言われるのも困るので、やはりどこかの時点で、要る、要らないをきちっと確定すべきではないかというのが、私の意見です。

○西川座長
一つは、つながりの問題です。
もう一つは、専門家といっても、恐らく農薬専門調査会の専門家になるかと思います。
したがって、ここで単に専門家と書いてしまうと、かえってややこしいことにならないでしょうか。

○林専門委員
例えばFAMICの専門家でもいいという気がします。それから、ここの専門家であれば、事前相談みたいな形で、それを提案していただくとか、何かそういう仕組みがないと、せっかくこういういい文章を作っても、実際に使えなくなってしまうのはもったいないという気がしています。

○西川座長
どうぞ。

○納屋座長代理
お二人の議論を聞いていまして、新たな提案を申し上げたいと思います。29行目から30行目なのですけれども「以下に挙げられる場合においては、イヌの慢性毒性試験が必要である」で切る。以降は全部削除すると、すっきりするような気がしますけれども、いかがでしょうか。

○西川座長
どうぞ。

○吉田委員
これは評価のためのガイダンスなので、これをまずということなので、むしろ誰が判断するかということは、記載すべきであろうと思っています。

もう一つは、何回もイヌで感受性が高いと書いてあるのですけれども、例えば今日もありましたが、コリンエステラーゼ阻害薬のような場合、イヌは非常に感受性が高いのです。
コリンエステラーゼ阻害薬のようなものを複数回投与したからといって、そんなにNOAELが下がるわけではないのに、試験は必要ですかとなりますと、これは専門家判断になります。

そういうことも含めて、確かに感受性が高いという言葉は便利なのですけれども、そこはケース・バイ・ケースの考え方が必要なのだろうと思いますので、やはり誰がというのはある程度考えて、申しわけないですが、申請を受け付ける方のためのガイダンスではありません。農薬専門調査会決定でございます。

○西川座長
専門家が判断するというのは、いいとして、ここに単に専門家と書いてしまっていいのかというのが、私の疑問点なのです。これは主語が1つしかありません。最後の「リスク管理機関に要求すべきである」までかかってしまうと読めば、読めます。だから、ここが1つ問題だと思います。専門家が判断するというのは、当然そうだと思うのですけれどもね。

○吉田委員
あるいは「評価者」はということですか。同じですね。評価に当たり、こういう場合、このような試験が必要だ。「評価に当たり」ということも、代案としてはあります。

○西川座長
それは書いてあります。「食品健康影響評価を実施するに当たって」ということでしょう。

○吉田委員
そうです。

○西川座長
だから、そこはいいとしてね。

○吉田委員
食品健康影響評価を行うのは農薬専門調査会なので、ある意味では、そこでカバーされていると考えられるかもしれません。

○西川座長
どうぞ。

○三枝専門委員
今の議論を聞いていると、確かに評価するのはこちらですけれども、林先生が最初におっしゃったように、試験をしたのに要らないとか、ここに上がってきた段階で、試験をしなさいということは、非常にまずいと思います。だから、ここの都合ではなくて、申請者に対しても当てはまるような、そういう提案がいいと思います。

○西川座長
よろしいでしょうか。どうぞ。

○納屋座長代理
事務局にお尋ねしたいのですけれども、この決定文章が出たら、いわゆる農薬工業会等へ広く周知徹底をしていただいて、こういう場合には必要ありません、こういう場合には必要ですということを、広めていただけるための資料なのですね。そういうことですね。

だから、申請者の方が、自分のところの毒性試験を見て、イヌの長期の試験が必要なのか、必要ではないのかという、判断材料にしていただく資料ということでよろしいですね。

○濵砂課長補佐
まとめたものは、農林水産省を含め、関係するリスク管理機関等へは、こういう考え方でいきますということで申し上げます。当然それを受けて、関係府省は、今ですと、農薬の場合、農水省のテストガイドラインがありますので、そちらにどう反映していくか。そのときには、関係するところに対して、食品安全委員会事務局としてもあわせて説明していくことになると考えております。

○西川座長
内容的に必要かどうかは、専門家が判断するとして、この文章、30行目にそのまま「専門家が」という追記をするのが適切かどうかについて、御意見をいただきたいと思います。

私はこだわるわけでもないので、これでよいということであれば、そのままいきたいと思います。
どうぞ。

○赤池専門参考人
質問ですけれども、ロジックが混乱していて、わかりにくい点があるのですけれども、先ほど来の議論で、①~④に該当した場合には、不要であるというルールだと理解してよろしいのですか。専門家が何を判断するかというと、私の理解では、例えばあるデータが出てきたときに、その中のイヌに関するデータを見ると、①~④のどこかに該当するということを専門家は判断して、該当することが明らかになれば、自動的に不要になる、そういうことでよろしいのでしょうか。それとも、①~④にある条件がそろってきたときに、なおかつそれで省くかどうかを専門家が判断するのでしょうか。あるいはその両方を含むのか、その辺は、伺っていてわかりづらかったです。

○西川座長
そこは非常に重要なところだと思います。それを、今、事務局に聞くのは、まずいですか。4つの該当性を踏まえて、即それで必要かどうかが判断されるのか、あるいはさらに専門家が必要性について判断するのかということです。

○濵砂課長補佐
難しいところで、例えば(1)でも、イヌの慢性毒性試験が実施されない場合であっても、評価は可能とありまして、農薬の登録申請に当たっては、イヌの慢性毒性試験以外であっても、例えば神経毒性の話でありますとか、そういったものは、実施者のほうで、神経毒性が認められなかったら、試験は今も実施されずに提出されないこともあります。その際でも、例えば評価の際に、神経毒性がなければまずいとなったときには、当然要求するものでもございます。今後、農水省がどう判断していくかということは、当然あるのですけれども、それを申請者なりが考える際の1つの目安といいますか、そういったものになると考えております。

先ほど赤池先生から御指摘いただいた部分ですけれども、①~④の試験なのですが、1年の試験が出ている場合は、(3)にありますように評価に用いますし、(2)の①~④のものは、万が一、それに該当するようなものがあって、90日の試験しかなかった場合は、必要に応じて1年の試験を要求せざるを得ないということで、事務局としては、案を作成いたしました。

○西川座長
吉田先生、どうぞ。

○吉田委員
今回の課題の報告書の9ページのイヌのまとめは、先生方、御覧になったと思うのですけれども、9ページです。4.まとめというところに、イヌの長期試験が書かれておりまして、その2パラ目の今回の解析結果からという、このパラグラフをそのままコピーしたほうが、わかりやすいと思います。

○濵砂課長補佐
タブレットの「09_0、イヌ慢性毒性_研究報告書、イヌの慢性毒性」というものがあります。58ページありまして、そのうちの9のところの真ん中から下です。まとめといったところでございます。

かなり下のほうになりますが、「09_0、イヌの慢性毒性_研究報告書」という、58枚のスライドがありますが、その中の9のところです。そちらの中ほどから、4.として、まとめということで、報告書のまとめの記載となってございます。

○納屋座長代理
これが今のここでしょう。(2)の①~④に書いてあります。

○濵砂課長補佐
基本的には、それに基づいて、事務局としては、たたき台を作成させていただきました。

○吉田委員
このほうが、わかりやすいです。

○西川座長
わかりやすいかどうかは、人それぞれ違うと思うのですけれども、ずっと文章が続いているよりは、箇条書きで、何々の場合としたほうが、私はわかりやすいです。

内容的には、ほとんど変わっていないので、それはいいとして、今、議論になっているのは、この決定をどこに向けて発信するかということで、これは調査会が判断する1つの目安だと思います。したがって、申請者がどう判断するかについては、これに基づいて、それぞれ御判断いただくことになるのではないですか。違いますか。

○林専門委員
私としては、それはまずいのではないかと思います。データセットが全部そろってから、ここで評価するわけです。だから、データセットにイヌの1年間を加えるかどうかの判断だから、それはデータセットができる前になされないといけないと思います。あまりに我々のことだけではなくてね。

○西川座長
そうすると、事前相談が必要になるということですね。

○林専門委員
そうです。

○西川座長
そのあたりは、専門調査会のマターではないです。むしろ事務局、食品安全委員会の問題だと思います。違いますか。それは必要ですか。

○納屋座長代理
事前相談は、食品安全委員会は受けられなくて、リスク管理機関の窓口である、今であれば、FAMICさんで事前相談を受けるしか、方法論としてはないはずなのです。そのときに、FAMICさんに専門家の方がいて、これは必要ありませんとはっきり言えるかどうかということになってくると思います。そこまでやっていただけるのであれば、我々は別にあれないのですが、そこで要らないと言ったけれども、ここでやはり必要だということも、出てくるかもしれないし、いろいろ難しいと思います。ですから、判断するのは、この4つの条件を全部クリアしていたら、イヌの長期はやらなくていいですということが、はっきりわかるような形で提案しないといけないと思います。

○西川座長
そこは非常に重要で、恐らくこの記載で、およそ問題ないということだと思います。事前にこの資料をメールで送信しているわけですけれども、大きな問題はそれほど指摘されていない。したがって、さらに重大な反対意見等がなければ、できるだけ早目にこれをフィックスしたいと思っています。本日は、できれば、本当に重大な問題があるかどうかについて、確認していただきたいということだと思います。
どうぞ。

○三枝専門委員
最後のところで「薬物代謝(動態)が異なる場合」とあるのですけれども、今までは、イヌで薬物代謝の試験を全部やってあるわけではないので、「異なる場合は」というのは、まずそれを確認しなければいけないということになりかねないですか。

○西川座長
はい。それは私もそのとおりだと思いましたので、解決策として、1つは、先ほど事務局から説明があった「薬物代謝(動態)が異なると考えられる」という、少し弱めた表現にするか、あるいは薬物代謝のところは切ってしまうということもあると思います。要するにイヌのデータはないですから、それしかないと思っていました。

○三枝専門委員
それは重要だと思います。

○西川座長
重要だけれども、データがなければ、仕方がないです。

○三枝専門委員
前段階として、薬物代謝をちゃんとやってくださいということになると思います。「異なる場合は」という、科学的根拠がそこになければね。

○西川座長
薬物代謝がそんなに正確にわからなくても、毒性で大体判断できるわけです。それだったら、必要だということになります。
どうぞ。

○納屋座長代理
農水省から出ているガイドラインによりますと、動物代謝のデータで、必要があれば非げっ歯類でも動物代謝のデータをとってくださいと、はっきり書いてありますから、1年間のイヌの試験をやりたくなければ、3か月の試験で、薬物動態のデータをとってくれば、済む話だろうと思います。何らかの工夫をして、だから長期の試験は必要ないという提案をなさるのが、一番説得力があるのではないでしょうか。科学的に我々は判断しますと、ここに書いているわけですから、そういうデータをつけていただければ、済むことだろうと考えます。いかがでしょうか。

○西川座長
どうぞ。

○吉田委員
文章の御提案なのですが、③につきまして、先ほど事務局から若干の修正がありましたけれども、「イヌでの農薬の蓄積性やラットとは異なる薬物動態の懸念がある場合」ぐらいのくくりでいかがでしょうか。

そして、今、納屋先生がおっしゃったように、もし必要でない場合、例えば神経毒性などが必要ない場合は、その理由を書かれていますから、その理由が、科学的に妥当であると、専門調査会に御判断いただければいいということになります。

あと、もう一回、御提案です。(2)ですけれども「専門家」を入れるか、入れないかは別として、イヌの慢性毒性が必要であると、フルストップにしてしまって、「必要に応じてリスク管理機関に要求することがある」というのは、最後でもいいのではないかと思います。この文章の最後は、要求するということが、全面的に出ているような気がいたしまして、むしろそれではなくて、判断する。これらの必要に応じて、要求することもあります程度のことではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○西川座長
さらにぐちゃぐちゃになって、わけがわからなくなったのですけれども、例えば30行目は「必要であると考えられる」では、だめなのですか。

○吉田委員
私もそれでいいと思っています。

○西川座長
「必要に応じてリスク機関に要求すべきである」というのは、どこですか。別々ですね。
だから、これは削除でいいですね。
そうすると、すっきりしました。

あと、薬物代謝ですが、ヒトとの違いがわかるためには、イヌの代謝の試験をしないといけない。仮に試験をやったとしても、違いがあれば、長期の試験をやらないといけないのではないですか。

○納屋座長代理
やれば、必ず代謝のパターンは違うと思うので、全て必須になるような、おろかなこと
は必要ないと思います。

○山添委員
代謝が変わっているものは、当然違うと思います。何が知りたいかというと、それがイヌ特有の毒性に本当に関与しているかどうかということの情報が得られるかどうかの問題なのです。ですから、ここの場合は、蓄積性や代謝の違いが、毒性に関与する可能性が考えられる場合ということで、ある程度限定をしておけばいいと思います。言葉は練っていただければいいと思います。

○西川座長
そうですね。ありがとうございます。
イヌでの農薬の蓄積性や薬物代謝が、毒性に影響するかどうか。

○山添委員
関わる可能性があると考えられるか。

○西川座長
関与している可能性が想定される場合とか、そういうことですね。

○山添委員
はい。

○西川座長
ありがとうございます。
それでいかがでしょうか。どうぞ。

○吉田委員
その場合、1年が必要だということになるのですか。それは代謝試験が必要だということですか。

○山添委員
30行目で、必要であると、原則的に判断するということで、先ほど先生も例外の話をされました。コリンエステラーゼです。だから、基本的に考え方であって、その後の判断は、企業の方の専門家、あるいはFAMICでもいいですが、そこら辺できちっと判断をしていただく。もちろん我々も判断するのですけれども、この文章は、各ステップできちっと判断しましょうという方向性を出していると考えればいいのではないですか。

○西川座長
私もそういうスタンスの文章だと思います。
いいですね。どうぞ。

○長野専門委員
私が指摘した、36行目と37行の「※ヒトへの外挿性の有無を考慮した上で、イヌ慢性毒性試験の要否について慎重に判断する必要がある」という、この注釈の位置を変えたのは、①~③までだと思ったのですけれども、先ほどの報告書のまとめの文章を見ると、③の部分だけのような気がしました。つまり蓄積性が違う場合、あるいは薬物代謝の問題です。

そうだとしたら、36行目と37行目の注釈というのは、今のように、毒性に関与することが想定されるとしてしまったら、この注釈自体、なくてもいいような気がします。

○西川座長
③を修文したことによって、36~37行目は、不要ではないかという御意見です。よろしいですか。ありがとうございます。

それでは、2ページ目の④、これはイヌの亜急性毒性試験において、無毒性量が得られていない場合です。注として、その場合には、亜急性毒性試験の再実施ではなく、慢性毒性試験の実施を検討すべきである。これはいいですね。

○納屋座長代理
再試験してもいいような気がします。

○西川座長
私もそう思います。
御意見をお願いします。
単に無毒性量が得られていないのであれば、用量を下げて、再実施すればできますね。
どうぞ。

○林専門委員
もう少し考える時間をいただけませんか。この間、これは配られて、先ほど言ったように、いつ、どこで、誰がというのは、私の中では全く消化できていなくて、このままいってしまうと、後に禍根を残すような気がしてならないので、文章だけではなくて、もう少し中身を練ったほうがいいような気がするのですけれども、いかがでしょうか。

○西川座長
大急ぎで、これを最終化するのではなくて、今日も結構御意見をいただいて、修正する箇所が多いと思いますので、少なくとも、皆さんにもう一度メールで確認していただいた上で、最終化したいと思います。
ありがとうございます。
そういうことで、この議題については、議論が尽きたと思うのですけれども、さらに御意見がありましたら、お願いいたします。どうぞ。

○松本専門参考人
まとめに参加したのですが、結局、報告書をまとめるに当たって、イヌの試験で必要な条件が、ここに幾つかあるのですけれども、ここに行き着く前に、ADIを決めるに当たって、例えばLOAELとか、NOAELというレベルが非常に大事だと思います。それが1.5倍違うとどうなのだろうか、2倍違うとどうなのだろうか、そういう議論というか、結果をまとめて、これらの数字のもとで結果を割り出しているのです。ここまでなら、差がないでしょう。ただ、それにはドーズスペーシングというか、公比が非常に大きいものがあったり、小さかったりということも、一つ一つの農薬の中に、いろんな出来事があって、そういうことを見ながら、結局、どういうときに1年の試験が必要かというところで、こういう項目が出てきているのです。ですから、例えばここに明らかな用量差が認められとあるのですが、明らかな用量差というのは、何倍なのだろうかという、その辺を少し議論した上で、この文章ができているということだけ、追加させていただこうと思います。

○西川座長
議論をされたということですけれども、ちなみに、明らかな用量差というのは、どのぐ
らいなのですか。

○松本専門参考人
海外のレポートを幾つか見ると、1.5倍以内なら、全く同じだという論文もあるし、2倍
以内なら同じだという論文もあります。そういうことをしていったときに、今、公比の話
を出したのですけれども、公比も10倍だったり、20倍だったりして、一つ一つの剤の特徴
といいますか、試験系を見ないと、判断できないところがあります。そういうことを整理
した上で、結果が出てきているということだけ、追加させていただきます。

○西川座長
文章では簡単に書いてあるけれども、実際に判断が難しい場合もあるということですね。
ありがとうございます。
続けていいですか。

○濵砂課長補佐
御審議いただいた内容、修正等を踏まえて、また御議論いただければと思います。
ありがとうございました。

○西川座長
よろしくお願いします。

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