ボアコンストリクターによる死亡・負傷事故報道事例集

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2013.7.30 閣議決定について追記
2014.5.6 逸走事件について追記
2017.10.7 論文追記
2018.1.31 アメリカの2017年事故事例追加

 
2013年の特定動物リストの改正では、最終的にボアコンストリクターなどの削除は行われませんでした。意見送付にご協力くださいました皆さま、大変ありがとうございました。最終的な改正施行令については、以下のページをご参考ください。

また、その後、ボアコンストリクターの逸走事件がありました。以下の記事をご参照ください。

ボアコンストリクターは、獲物を締め付けることで殺していることは間違いありませんが、この締め付けがどのように動物を殺しているのかは不明です。従来、窒息による殺害と思われてきましたが、そうではなく血流を止めることによって、考えられていたより速やかに殺している可能性を示唆する論文が2015年に出ました。参考までリンクします。(但し、実際にラットを捕食するところを計測した実験なので、閲覧注意です)

2013年に特定動物リストから外されなかったのはアメリカで死亡例があることが判明したことが大きかったのではないかと思いますが、アメリカでは規制が緩いせいか、ボアはヘビの事故事例集の常連でもあります。保護団体も、ボアコンストリクターが人間の子供に対し威嚇して咬み付こうとする動画を送ってきましたし、ボアが安全なヘビという認識はないようです。

2017年の夏、アメリカではボアコンストリクターに顔に咬み付かれた飼い主(スネークレディと呼ばれていた女性)自らが救急車を呼ぶ悲痛な叫び声の音声がTVニュースで大放映されました。被害者は「ボアコンストリクター!!」と悲痛に電話口で繰り返していますが、救急通報を受けた人はボアコンストリクターという言葉をそれまで聞いたことがなかったそうです。ボアは飼い主の首も締めていたので、救急隊がヘビの首を切って殺しました。飼い主は11匹の蛇を飼っていました。

▼飼い主の通報音声を流しているニュース映像

以下は、特定動物リストから外される議論がされたが残った経緯として2012年11月時点の記載を残しています。


2012.11.15up

環境省が10月23日の第33回中央環境審議会動物愛護部会で配布した「特定動物リストの見直しについて」の中で、「これまでに重傷・死亡事例はない」としてボアコンストリクター(ボア科)を<削除検討>としていることに対し、現在異議を唱えています。

ボアコンストリクターは、「おとなしく飼いやすいヘビ」と言われますが、国内外で事故は起きており、特に2010年にアメリカで死亡事故事例が報道されていることからも、特定動物(危険な動物)の指定をはずすべきではないと考えます。

コンストリクターとは「締めつける者」の意であり、毒はなくとも、サイズと勘案した上で、危険性については考慮すべきではないでしょうか。

また、ある程度の大きさのボアコンストリクターが目撃された場合、現実に警察への通報につながっており、飼育者が誰であるか把握しておくことは必須です。規制緩和をすることで飼養者がふえれば、逸走事例も増加する可能性があります。

ボアコンストリクター事故(日本)

日本での負傷事故

「ベランダに大蛇 
足首かまれ、巻きつかれ 主婦、引きづり非常ベル」⇒
読売新聞 2000年7月27日 

ほか、東京新聞、北海道新聞、日刊スポーツなども同事故を報道。

「ペットの大蛇逃げ、主婦かむ 飼い主書類送検 大崎署」
産経新聞 東京朝刊社会面 2000年11月18日

この記事によれば、同年7月の事故のボアコンストリクターは全長約2メートル。主婦は全治2週間のけが。飼い主の男性は過失を認めているとの報道。
 

逃げ出したペットの大蛇が主婦にかみついたとして、警視庁大崎署は十七日、過失傷害の疑いで、飼い主の東京都品川区西五反田の会社員男性(四五)を書類送検した。

「今週のそんなバカな! ボア・コンストリクター」
「SPA!」2000.8.9号 13ページ

同年7月の事故についての記事に、以下のコメント。(太字はPEACE)
 

爬虫類・両生類に詳しい獣医でレプタイル・クリニック院長の小家山仁氏は言う。
もし被害者が乳幼児だったら、最悪の事態が起きていたかもしれません。間違って、首に巻きつかれたら、子どもに限らず大人の女性だって、自力でほどくことはできないし、窒息死しないとも限らない。しかし、今回問題となったボア・コンストリクターというヘビは、基本的にはおとなしい性格です。確かに踏まれたりすればかみますよ。それは人を食べるためではなく、身の危険を感じ、保身のために、です」

海外での死亡・負傷事故

HSUS(米国人道協会:The Humane Society of the United States)がまとめた“Constrictor Snake Attacks”という資料には、ボアコンストリクターによる事故事例も多数紹介されています。

Constrictor Snake Attacks

特に、2010年にはアメリカ・ネブラスカ州で死亡事故が発生しています。
以下、関連の報道です。

Man choked to death by his pet boa
The Daily Mirror 14 Jun 2010

アメリカで初めて、ペットのボアコンストリクターによって人が殺された。コーリー·バーンは、長さ9フィート(約2.7メートル)の蛇に肩と首の周りを巻きつかれ、窒息死した。自分の飼っている蛇を同居の女性に見せているときだった。

Nebraska Man Killed by Pet Snake, Police Say
Associated Press June 10, 2010 

オマハ郊外の男性が、自らの飼う長さ9フィート(約2.7メートル)、重さ25ポンド(約11.3キログラム)のペットのボアコンストリクターによって締め殺された。コーリー·バーン(34歳)は、警察と救急隊員が首からヘビを外した数時間後、病院で死亡した。ヘビは栄養は十分だったように見える。

Nebraskan man strangled to death by boa in state’s first record of fatality from pet snake
June 11, 2010 DAILY NEWS

(ほぼ上と同じ記事)

Deadly snake attack called rare
Omaha.com June 10, 2010

オマハでは長さ8フィート(約2.4メートル)以上のヘビを飼うことは違法だが、パピリオン(事故の起きた市の名前)では長さの制限はない。

Bill constricts snake sellers(既にリンク切れ)
Omaha.com March 7, 2011

ネブラスカ州は、爬虫類の飼育を規制しない数少ない州のうちのひとつだ。しかし、パピリオンでのボアコンストリクターによる死亡事故によって、法案LB64が提出された。飼育できるヘビの長さを8フィート(約2.4メートル)に制限し、毒蛇の所有を禁止する法案だ。また野生動物をはじめて飼う人には、許可証と、250,000ドルのエキゾチックアニマル損害保険を必須とする案だ。

 

以下は、負傷事故の事例を取り上げました。

2012年5月28日 ニュージャージー州ベイヨン 
男性が、自らの飼う6フィート(約1.8メートル)のボアコンストリクターに腕をかまれ、救急車で運ばれた。

Bayonne man bitten by pet boa constrictor
The Jersey Journal May 29, 2012
 

2012年7月26日 モンタナ州ボーズマン 
アパートで飼っていたヘビにかまれたと通報があり、逃げたボアコンストリクターを警察がつかまえた。

2011年7月26日 テキサス州グアダルーペ
48歳のベテラン野生生物リハビリテーターが、水を与えるために水槽に手を伸ばした際、14フィート(約4.2メートル)のボアコンストリクターに攻撃された。ヘビはその女性の手をかんで、体の半分を腕にまきつかせた。20分間攻撃されて女性は弱り、気絶した。消防士は、女性を解放するためにヘビの頭を切り落そうとした。部分的に首を切られたがヘビは生き残り、獣医大学に送られた。数日経っても女性は手の感覚が回復しなかった。

Woman Attacked By Boa ConstrictorWildlife Rehabilitator Cared For Snake For 8 Years(リンク切れ)
ksat.com Oct 15 2011
 

2010年6月27日 インディアナ州ホープ 
ケージから逃げてドレッサーに隠れていた長さ4フィート(約1.2メートル)のペットのボアコンストリクターに1歳の男の子が手をかまれた。ヘビは2、3日間逃げたままだった。

Pet boa constrictor bites Hope baby(リンク切れ)
The Republic June 28, 2010
 

2008年7月31日 フロリダ州メルボルン 
ブルバード動物園のキャンプ指導員が子供たちの一行にヘビを見せていたときに、5フィート(約1.5メートル)、14ポンド(約6.4キログラム)のボアコンストリクターによって首をかまれ、病院で治療を受けた。

2007年9月7日 フロリダ州デランド 
動物管理局の職員が、5フィート(約1.5メートル)のボアコンストリクターによって2回かまれ、手の甲と指に傷を負った。ヘビは、逃げたか、放たれたものと思われる。

2007年4月3日 フロリダ州マイアミ 
テーマパークでヘビと写真を撮るためにポーズをとっていたとき、3才の男の子が6フィート(約1.8メートル)のボアコンストリクターによって顔をかまれ、処置のために病院へ連れて行かれた。

2006年6月 ニュージャージー州ベルマー
16才の高校生が、教室で飼われていた5フィート(約1.5メートル)のボアコンストリクターに腕をかまれ、刺し傷とあざができた。別の生徒がヘビを持っていたときに、ヘビが彼女へ向けて突進した。

2004年3月31日 フロリダ州フォート・ピアス 
ヘビのケージを掃除しているときに、男性が飼うレッドテールボアコンストリクターに女性がかまれ、その女性は15,000ドルの訴訟を起こした。訴訟では、ヘビが「彼女の腕、手、体を攻撃し、かみ」、傷と精神的な苦痛を引き起こしたと主張された。

2002年12月2日 カリフォルニア州マリーナ 
中学校の教室で飼われていた3フィート(約90センチ)のボアコンストリクターに、女子生徒が指をかまれた。

2002年9月28日 アラバマ州イースト・レイク 
34才がボアコンストリクターによって足をかまれ、治療を必要とした。

2001年7月2日 ロードアイランド州ポータケット
ヘビと遊んでいて、2人の女の子が2フィート(約60センチ)のレッドテールボアコンストリクターによってかまれ、病院で治療を受けた。

2001年4月12日 オクラホマ州オクラホマシティ
血小板輸血を受けた女性が、サルモネラ感染症よる感染性ショックで亡くなった。血小板提供者が飼っていた9フィート(約2.7メートル)のペットのボアコンストリクターが、サルモネラの感染源であろうとされた。

1999年6月17日 ニューヨーク州オールバニー 
動物管理局がアパートでヘビを捕獲するのを助けていた警官がボアコンストリクターによってかまれた。ヘビは入居者が遺棄したものだった。

1998年1月21日 テキサス州ヒューストン 
警察が、盗まれたコンバーチブルの中にボアコンストリクターを発見。ヘビを取り出そうとしている間に、整備士がかまれた。

1995年5月12日 ニューヨーク州オーシャンサイド 
先生が生徒たちと写真を撮ろうとヘビを手に持ったとき、7才の生徒が5フィート(約1.5メートル)のボアコンストリクターによって指をかまれた。その女の子は感染症にかかり、ヘビの攻撃によって苦しんだ。女の子の両親は学校と教師に対する訴訟を起こした。教師は、ヘビがかつて自分の顔をかんだと認めている。州最高裁判所は、学区と教師はヘビが人を傷つけることを防がず怠慢だったと言い渡した。

1994年9月17日 ペンシルバニア州コンショホッケン
4才の女の子が友人と裏庭で遊んでいたとき、ヘビ(警察によれば10フィート(約3メートル)のボアコンストリクター)に殺されかけた。ヘビは高い草むらの背後から女の子を待伏せし、お尻をかんで、声が出せなくなるほど締めつけた。警察が到着するまでに近所の人2人がヘビと格闘し、ゴミ箱に入れた。女の子は病院で治療を受けた。ヘビは、爬虫類を車で飼っている近所の男が所有していたものだった。

日本での通報事例

「マンション敷地にヘビ 警察官急行し捕獲 浦安市内」
千葉日報 2012年06月17日

浦安署が体長1・5メートル、胴回り15センチほどのヘビを捕獲。
 

 マンションの管理人から、「体長1メートル以上のヘビがいる」と同署に連絡があり警察官3人が急行、敷地内の芝生上にいるのを見つけた。意を決した巡査部長が捕獲に成功。その際、腕に胴体を巻き付けられ驚いたと言う。

 同署でペットショップに依頼し調べたところ、中南米に生息する「ボアコンストリクター」と呼ばれる種類らしい。毒はないがかみつくことはあるという。

 
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