アメリカ西海岸の海棲哺乳類レスキューセンター見学記
日本では水族館が海棲哺乳類の保護をやっているとよく言われますが、アメリカでは海岸などに打ち上げられた海棲哺乳類の保護を専門とする民間団体がいくつもあり、電話通報によって現地に駆けつけてレスキューをし、治療と野生復帰を行う活動をしています。西海岸では団体間でネットワークがつくられており、出動や保護について調整・分担もなされます。
そういった団体のうちの一つ、「パシフィック・マリンマンマル・センター」を見学した際の写真をご紹介します。
同団体の施設は、カリフォルニア州オレンジカウンティのラグナ・ビーチという海に近いエリアにあり、お隣に立つ市のアニマル・シェルター(犬・猫の保護施設)と左右に敷地を分けあうようなかたちで建っていました。ですが、完全に寄付でまかなう民間の海棲哺乳類レスキュー団体です。
訪問したときは、カリフォルニアアシカ、ゼニガタアザラシ、ゾウアザラシの3種類の動物たちが20頭ほど保護されていました。数人の女性ボランティアスタッフが、エサの魚を与えたり、掃除をしたりしています。時にはイルカを保護することもあるそうです。
施設は水族館ほど大きくありませんが、基本は治療をして海に帰す活動なので、一時的な保護施設ということになります。
ケガが治ったあとが痛々しい動物もいて、船のスクリューなどで傷ついてしまうとのこと。
保護される動物は、感染症などの病気などで弱っている場合もあります。平均3カ月ほど治療とリハビリテーションを行い、海に帰します。
このセンターが出動して保護するのは、アメリカ西海岸側、オレンジカウンティの沿岸部で、数は年間に100頭~120頭くらい。月にすると8頭~10頭くらいが保護され、このセンターにやってきます。エサの魚は、カナダから冷凍で買いつけたものを解凍して与えているとのこと。
死んだ動物のお腹のなかから出てきた袋を子どもたちに見せ、私たちの暮らしと海の生きものとの関係について教えます。すべての傷ついた動物がレスキューされたり、野生に帰れたりするわけではない現実も知ります。
アメリカには、海棲ほ乳類全般を保護する国の法律があり、一般の人は傷ついて弱ったアザラシなどを見つけても、さわることはできないとのこと。そういった場合は、すぐここに電話をかけてほしいとのことでした。
のんびり。
政府の補助金等にも頼っておらず、寄付等の収入で運営。
見学もウェルカムでした。
連れてこられるとまず体重をはかるのだそうです。
2階のスペースではちょうど子ども向けの教室が開かれていていて、10数人の子どもたちで大にぎわい。
子どもたちがつくったアシカやイルカの工作なども置かれていて、このセンターの重要な役割には教育もあるのだと感じました。
外にとめてあったレスキュー用の車両。
グッズ販売も貴重な収入源の一つ!
暑い1日でした。動物たちが無事に海に海に帰れますように。
※2007年の見学記録です。