先日、ある研究者の方から、ある大手の実験動物生産会社なども動物が売れなくなってきていて、今後、一定のラインを下回ったらクオリティを維持できなくなる、そうなるとガタガタっと日本の動物実験はだめになっていくかもしれないという話を聞きました。
国際的にも、動物を使わずに安全性等を予測する方向へ大きく転換してきていることは感じていましたが、本当にそこまでなのか?とその時は思っていました。しかし驚いたことに、既にその話を聞いた時には既に、日本企業としては老舗である「株式会社日本医科学動物資材研究所」が倒産していました。
一般には知られていない会社かと思いますが、アメリカの大手CRO(医薬品開発業務受託機関)である「コーヴァンス(Covance)」社の生産する実験用ビーグル犬を日本国内で売っていたのが、この会社でした。
かつて、PETAがJAL(日本航空)に実験動物を輸送しないようキャンペーンを張りましたが、その呼びかけのきっかけになったのが、この会社が売っていたコーヴァンス・ビーグルの輸送でした。(JALについては、その後、一定の成果を得ています。)
同社の代表者である日柳雅彦氏(「柳」は「木へん」に「夘」)も、日本の実験動物の業界では知られた人です。日本実験動物協会が発行する情報誌「LABIO21」の編集を行っている情報委員会の担当理事であり、毎号巻末の奥付けで名前を見ていました。「LABIO21」でも、実験動物の空輸ができるようにと、必死で政府等へ働きかけを行っていることを報告していたと記憶しています。
倒産を報じる東京経済ニュースによると、昨年9月30日に事業を停止し、債務整理を弁護士に一任。負債総額は7億7,000万円内外が見込まれているとのこと。「研究開発費や設備など投資負担が重く借り入れ依存傾向にあった他、取引先からの受注減少も重なり、資金繰りが悪化。支えきれずに事業継続を断念した。」とあります。(出典)
これまでもしばしば事業者の統廃合が起きた業界ですが、今後も淘汰が続いていくことでしょう。
動物実験を過去の遺物とするために、代替へ向けて、市民の声をますますあげていきましょう。
業種 | 実験動物生産販売 |
倒産形態 | 弁護士一任 | 所在地 | 東京都練馬区春日町4-32-25 |
設立 | 昭和40年8月 |
代表者 | 日柳 雅彦 (「柳」は、正しくは「木へん」に「夘」) |
資本金 | 7,000万円 |
負債総額 | 7億7,000万円内外 |
▼同社の創設者である日柳靖彦氏は、第64回日本実験動物学会総会(2017年5月)のパネル展示「実験動物産業に貢献した人々」でも選ばれていた。