茨城県への畜産センターに関する質問書(2025年)

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茨城県畜産センター 子牛

茨城県畜産センターに関し、2023年に茨城県知事宛に提出した質問書に対する回答は、具体性を欠くものでした。その後、回答の督促や要望書などの提出を行っていますが、具体的な回答は得られていません。

その後、主だった事柄に関しては、畜産センターのサイトのアニマルウェルフェアの取り組み関するページおよび関係者を通じて得た回答(以下の質問書で「2024年9月回答」としているもの)によって、改善や変化を知ることができましたが、まだ詳細が不明なことも多く、2025年5月13日付けで再質問をしました。以下が全文です。

追記 2025年7月3日に回答がありました。掲載まで今しばらくお待ちください

畜産センターの牛の取扱いと飼養環境に関する公開質問書

 茨城県畜産センターでの牛の取扱いと飼養環境について、貴県としてのご見解、ご対応を確認したく、以下質問いたします。

質問事項

Ⅰ.職員による暴力行為について

茨城県畜産センターでは複数の職員によって、「牛の顔、背、尻、足を蹴る」「跛行する牛の痛む足をスコップの鉄部分で叩く、蹴る」「竹棒で牛の顔、背、腹、足を叩く」「大声で牛に怒鳴る」等々の暴力行為が日常的に行われていました。牛に対するこれらの行為についてお尋ねします。

  1. 上記行為は、地方公務員法第二十九条第一項第三号「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」に該当し、懲戒処分対象となりうるものです。また職務におけるこれらの行為は、地方公務員法第三十三条「職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない」に違反します。上記行為を行った複数の職員に対し、処分は行われましたか。また、行われている場合、処分内容を教えてください。
  2. 牛に対する前述の行為が行われないようにするためには職員を監視する制度が必要ですが、県として実施したもの、あるいは実施中のものがあるか教えてください。
  3. 畜産センターのウェブページ「アニマルウェルフェアについての取り組み」(以下「畜産センターのウェブページ」と言います)によると、「搾乳や削蹄などの誘導の際は、棒などの道具を使わず、声かけと手による誘導を行っています」とありますが、「声かけ」も大声だと怯えてしまいます。具体的にどのようにやっているのでしょうか。
  4. Ⅰ-2に監視カメラが含まれていない場合、監視カメラは、再発防止に役立つだけでなく、牛や施設・設備の異変に気付きやすくなる効果もあります。監視カメラの導入をご検討いただけますか。

Ⅱ.グレーチングについて

  1. (略)2024年9月に受け取った回答(以下「2024年9月回答」と言います)及び畜産センターのウェブページによると、グレーチングは隙間なく全面被覆する修理をしたとのことですが、牛たちがグレーチングの上に横臥することになる状況には変わりありません。2025年2月8日付の「現代ビジネス」の記事によると、「牛舎が古い設計のため、大きな牛には狭過ぎ、下半身が牛床からはみ出していた点については、大きめのゴムマットを敷いた」との副センター長のコメントが掲載されています。さらに、同年3月14日付で畜産センターのウェブページに「これまでグレーチングの手前まで設置していたゴムマットを牛の体に合わせて、グレーチング部分まで伸ばして設置」したとの報告が掲載されています。すべてのグレーチングの上にゴムマットを敷いたということでしょうか。
  2. ゴムマットなどの設置と併せて、外部有識者からも提案があった屋外パドックと自由に行き来できるようにした放し飼い方式への変更を検討していますか。

Ⅲ.フリーストールベッドについて

  1. 畜産センターのウェブページによると定期的に砂の補充等を行っているとのことですが、その頻度を教えてください。
  2. 定期的にバックホウでの掘り返しを行っているとのことですが、その頻度を教えてください。「2024年9月回答」に「月2回の土の掘り起こしを実施」とありますが、月2回でしょうか。
  3. 全ベッドの状態を毎日確認し、記録していますか。
  4. ベッドの管理に関する責任者を決めていますか。
  5. ベッドの長さが牛の体長に比べて短いため、体を伸ばして横臥できない状態です。ベッドのサイズを大きくすることを検討していますか。
  6. ベッドのサイズを大きくすることを当面できないのであれば、せめて屋内施設と屋外施設を牛が自由に行き来できる飼育方法に変更すべきと考えますが、そのようにされますか。

Ⅳ.運動場(パドック)について

  1. 畜産センターのウェブページで、「牛舎のパドックは、降雨後のぬかるみ防止のため、山砂を中央に寄せ築山を設置したり、山砂の投入頻度を増やすことで水はけの良い状態を保っています」と改善報告が掲載されていますこの改善は、すべてのパドックで行われましたか。
  2. パドックの地面の良好な状態をこれからもずっと維持できるかが重要と言えます。そのために必要な以下の対策を行ったかどうかについてお尋ねします。
    • 排水が適切に行われるよう処置をした(暗渠を設置したか等、具体的に教えてください)
    • 定期的に糞の排出を行うようにした(頻度を教えてください)
    • 供卵牛舎運動場及び分娩舎運動場の状態のチェック及び記録を行っている
  3. 「2024年9月回答」及び畜産センターのウェブページによると、寒冷紗で日陰を作ったとのことですが、寒冷紗では日光を通してしまい、寒冷紗の下の気温は5度にまで上昇するため、暑熱対策としては不十分です。また、降雨時に牛が濡れることにもなります。パドックにいる全頭が入ることのできる大きさのきちんとした屋根を設置すれば雨よけにもなります。屋根の設置を検討しますか?

Ⅴ.屋外のコンクリート床の運動場(通称スーパーハッチ)について

  1. 昼夜問わず常時、スーパーハッチで飼育される牛群がいますが、このスーパーハッチには屋根のあるシェルターが設置されていません。そのため、雨の日に牛はずぶ濡れになり、夏は暑さに苦しむことになります(薄い寒冷紗が設置されていますが、前述のとおり、寒冷紗では暑熱対策としては不十分です)。短時間牛を運動させる以外の目的で、牛をスーパーハッチに収容しないようにされますか。
  2. 短時間の運動で収容する場合でも、天気予報をチェックし、高温、低温、風雨などにさらされる可能性がある時は、事前に牛を牛舎に入れるような対策をとっていますか。また、こうした業務に関する責任者を決めていますか。
  3. V-2を実施している場合、気温何度以上で牛を運動場から牛舎に移動させる、何ミリ以上の降雨や降雪量で牛を牛舎に移動させるという数値を決めていますか。
  4. 日よけに用いられている寒冷紗は、暑熱対策としては不十分であるため、運動場にいる全頭が入ることのできる大きさのきちんとした屋根を設置すれば雨よけにもなります。屋根の設置を検討しますか?

Ⅵ.屋内の暑さ対策について

  1. 畜産センターのウェブページの写真から、暑さ対策として、ミストが出る装置もしくは調査をした外部有識者が勧めるドライフォグ装置ではなく、人の手でホースから散水しているのがわかります。これだと水浴びの時間は短時間に限られると考えますが、散水の頻度と1回あたりの時間を教えてください。
  2. 散水の写真では乳牛しか映っていませんが、水浴びは肉用牛(特に屋内でつなぎ飼育されている供卵牛)にも行われていますか?
  3. 先述の現代ビジネスの記事には「今ドライフォグ(超微粒子の濡れない霧を発生させ、気化熱で冷却するシステム)を取り寄せ、試行錯誤している」との副センター長のコメントが出ております。私どもも職員の負担軽減のためにも、ドライフォグ装置(特に、温度・湿度センサーがついており自動で稼働できるタイプ)を設置すべきと考えますが、その後の検討状況を教えてください。
  4. すべての牛舎、ミルキングパーラー、ミルキングパーラーへ続く待機室にある送風機を、気温及び湿度が何度及び何パーセント以上になれば稼働させると決めていますか。また、そのことは牛を直接扱う現場職員と共有していますか。設定した気温になった場合に実際に送風機が稼働されているかどうかを確認していますか。

Ⅶ.除角について

畜産センターのウェブページに「子牛のストレスを低減させるため、鎮痛剤と除角ペーストにより除角を行っています」とありますが、これだけでは十分ではありません。現在の除角方法についてお尋ねします。

  1. 除角の時期は、個体ごとに獣医学と動物福祉両方の専門家に相談したうえで決定すべきですが、そのようにしていますか。
  2. 除角時に鎮痛剤だけでなく、麻酔と鎮静剤も使用すべきですが、使用しますか。
  3. 除角後に鎮痛剤を使用していますか。頻度も併せて教えてください。
  4. 本来であれば、除角をしなくても済む(牛同士の突き合いを防げる、作業者の安全が確保できる)環境整備と飼養管理への転換をしていただくのが最善です。このような転換を検討してもらえますか。

Ⅷ.胃液採取について

「2024年9月回答」では、「現在、胃液採取を行う実験は計画しておりませんが、今後、胃液採取を行う場合には、より家畜に苦痛を与えないよう手技・手法についても検討してまいります」と回答されています。胃液採取を廃止したのでないのなら、今後も行う可能性があるわけです。適切な採取方法は、すぐさま修得できるものではありません。よって、現時点で実施の予定がなくとも、最適な方法をいつでも実施できる体制にしておく必要があります。

私どもは、牛専門の獣医師の方に相談し、富士平工業製の「ルミナー胃汁採取器」を勧められ、「茨城県畜産センターの牛の福祉に関する要望書」(2024年5月15日付)にその製品カタログも添付しました。その獣医師の方は、当該機器を用いた方法の利点を次のように述べられています。また、貴県からの希望があれば、使用方法のレクチャーをしたり、採取の現場を見せてくださるとのことです。

  • 「ルミナー胃汁採取器」に減圧する機械(農場には通常あるミルカーやクオーカー)を接続して胃液を吸い上げて使用する。
  • 価格は、カタログの管だけなら4万円ほどで、付属品すべてでも7~8万円ほど。何十年も使える。
  • 検査目的の量なら、挿入から採取、抜くまでで約1分でできる。
  • 鼻から入れる方法は、胃までの距離があるので管が到達せず取れないこともある。その点、この機器だと管の先に重みがあるので自然に胃の底に落ちていく。
  • この機器なら、麻酔もローションも不要で、開口器など噛まないようにさせる器具も不要。牛は管を噛むが、丈夫な管なので噛んでも問題ない。牛は特に苦しそうにしない。
  1. この「ルミナー胃汁採取器」を用いる方法や、目的によっては、反芻している牛の口腔内の粗飼料をつかみ出すという方法での胃液採取に切り替えますか。
  2. 適切な胃液採取の方法及び手技について、職員は専門家からレクチャーや実技訓練を受けるべきだと思いますが、実施されますか。

Ⅸ.殺処分方法について

  1. 「2024年9月回答」では、「鎮静剤等を用いて、できる限り家畜が苦痛を感じない状態を確保した上で実施してまいります」と回答されています。具体的にはどのような方法で殺処分を実施していますか。
  2. 鎮静剤のほか、麻酔薬は用いていますか。用いているならば、麻酔薬の種類も併せてお知らせください。

Ⅹ.鼻環について

  1. 畜産センターでは、すべての供卵牛には鼻環が付けられており、移動させる時に引っ張るなどするのに使われているかと存じます。鼻環はEU、アメリカ、オーストラリア、アルゼンチン、ニュージーランド、ウルグアイへの輸出向けと畜場では鼻環による牽引は容認されておらず、前時代的で暴力的な道具と言えます。国内でも鼻環の装着を止めている生産者も出てきています。畜産センターでも鼻環をはずす、もしくは鼻環から頭絡への変更をしますか。

Ⅺ.ブラッシングについて

  1. 畜産センターのウェブページによると、ブラッシングを行っているとのことですが、すべての牛が、こまめにブラッシングの機会が得られるようルーチンとしてブラッシングを組み込む必要があります(最低週に2回の頻度)。ブラッシングの頻度を教えてください。
  2. カウブラシを設置すれば、より牛たちの福祉が向上すると考えますが、設置を検討しますか。

Ⅻ.職員の休憩時間について

牛飼養管理担当の職員らは昼休みをのぞいて毎日3~4時間程も休憩をとっていました。休憩室でタバコを吸ったり、スマートフォンをいじったり、自分のオートバイの手入れをしてエンジンをかけて吹かしていたりしており、職員らはこの時間を「待機」と称していました。中には、ワラビを大量にとってきた職員もいました。

体力仕事なので休憩をこまめにとることは必要かとは思いますが、これは明らかに休み過ぎであり、職務怠慢です。地方公務員法第二十九条第一項により、懲戒処分として戒告、減給、停職または免職の処分をすることができるとされている「職務を怠つた場合」に該当すると考えられ、これらの時間を牛の適切な環境整備に使うことは十分可能なはずです。

現在、勤務時間に関する対策はどのようにとられていますか。以下のような対策を行ったかどうかについてお尋ねします。

  • 職員による休憩(もしくは待機)時間の毎日の記録をつける
  • 作業日報の作成(何時から何時まで糞掻きを行い、何時から何時まで搾乳を行いなど、その日に行った業務及びそれに要した時間の記録)
  • 職務怠慢になっていないかの監視人の配置
  • 勤務状況を確認するための監視カメラの設置
  • その他の対策をとっている(具体的に教えてください)

ⅩⅢ.研修・勉強会について

  1. 畜産センターのウェブページによると、研修や勉強会の開催を行っているとあります。研修・勉強会は研究員対象のものと、全職員対象のものと2種類あるということでしょうか。2種類ある場合、それぞれの対象者とおおよその対象人数を教えてください。
  2. 研修・勉強会の内容や開催方法(座学、実地訓練など)、開催頻度等を具体的に教えてください。
  3. 研修・勉強会において、2023年7月に農林水産省が公表した「アニマルウェルフェアに関する飼養管理指針」(畜種ごとの飼養管理等に関する技術的な指針)を全員に配布したり、内容について講習を行ったりしましたか。
    また、 畜産センターのウェブページに「指針のチェックシートに基づく自主チェックの実施」とありますが、同指針に関するチェックリストを毎月チェックし、その結果を牛を扱う全職員と毎月共有し、改善を図っていますか? ご回答いただく際に、チェックシートの同封もお願いします。
  4. 不定期や年1回などでは不十分であるため、月に1度は行うべきですが、そのようにされますか。

ⅩⅣ.外部有識者による調査について

  1. この調査は今後も続けていただくべきと考えますが、年1回では不十分です。それは、季節によって飼育場の環境は変化し、たとえば、運動場の泥濘化は気温の低い時期にだけ発生するので、毎年8月の調査だけでは確認できないなどがあるからです。月1回、最低でも季節ごとの調査は必要ですが、そのようにしますか。
  2. 2024年に調査した外部専門家は前年(2023年)と同じ専門家(茨城大学農学部 安江健教授、同 小針大助准教授)でしょうか。
  3. この調査では部外者である外部有識者に対する牛の反応を見ています。それだけでは十分ではなく、現場職員に対する牛の反応を見ることも不可欠です。外部有識者がいる場で従業員が暴力など不適切な行為を行うとは考えられませんので、現場職員に気付かれぬよう調査することが必要です。そのような方法での調査を検討されますか。

ⅩⅤ.「アニマルウェルフェア推進チーム」について

畜産センターのウェブページに「令和6年度から『アニマルウェルフェア推進チーム』を設置し、畜産センターとしてさらに取組を推進してまいります」とあります。このチームの構成メンバーとこのチームの役割、具体的にどういった取り組みをしていくのか教えてください。

ⅩⅥ.公文書の改竄の疑いについて

令和6年に公文書開示請求(開示決定通知書:畜指令第21号)を行い、畜産センターで定期的に開催されている家畜飼料班と飼養技術研究室との打ち合わせ時に配布された資料の写しを送っていただきました。内容を確認したところ、私どもで把握している内容と異なる、修正された文書が開示されていることを確認いたしました。

開示請求により開示された資料の内容が、実際に打ち合わせの際に配布された資料と異なっている点については、別紙の通りです。先般、茨城県では職員による公文書偽造で謝罪が行われましたが、公文書の改竄は、同様にあってはならないことであり、大変遺憾に感じております。

なぜ、このような改竄が起きたのか調査し、その結果を教えていただけますか。また、念のため、正しい文書を再開示していただけますか。

以上、子細にわたり恐縮ですが、ご回答をお願いいたします。


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