平成11年(1999)年動物愛護法改正 附帯決議

動物愛護管理法 動物保護法 動物福祉法

1999年、「動物の保護及び管理に関する法律」が初めて改正され、「動物の愛護及び管理に関する法律」となったときの付帯決議です。

動物の保護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議

(第148回国会 平成十一年一二月一四日 参議院国土環境委員会)

 政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。

一、動物の愛護を推進するためには、規制の強化と合わせて、国民の動物愛護意識の向上、強化を図ることが肝要である。そのため、動物愛護週間を活用するなどにより、国民の動物愛護意識の一層の向上を図るとともに、市民、動物愛護団体等の創意工夫による動物愛護活動を取り入れた国民レベルの動物愛護運動の高揚を図ること。

二、高齢社会におけるペットの伴侶動物としての重要性が高まる一方、特に、年少者による動物虐待の事例が社会的な関心を呼んだことにかんがみ、動物が命あるものであることを踏まえ、野生動物の保護を含め人と動物の共生を前提とした適正な扱い方について、特に、幼児教育・学校教育等において適切な措置がとられるよう努めること。

三、飼い主が所有権を放棄した犬及びねこ以外の愛護動物や虐待を受け保護が必要な動物については、第二十一条の「動物愛護推進員」の活動として新たな飼い主や引取り先の斡旋が行われることが想定されるところである。都道府県等は、第二十二条の「協議会」の構成員として、この動物愛護推進員の活動を支援していくことが法律上望まれているところであり、このような都道府県等の活動に対する国としての支援について検討し適切に措置すること。

四、学校や福祉施設などにおける動物の適正な飼養については、その近時における重要性の高まりを踏まえ、獣医師等による指導の実施などそのあり方について検討を行い、関係行政機関が適切に連携しつつ、第五条第四項の内閣総理大臣が定める基準の中に盛り込むなどの措置を行うこと。

五、飼い主責任の意識の高まりを踏まえつつ、公園等公共施設の利用のあり方についても検討を行うこと。

六、犬及びねこの引取りについては、飼い主の終生飼養の責務に反し、やむを得ない事態としての所有権の放棄に伴う緊急避難措置として位置付けられるものであり、今後の飼い主責任の徹底につれて減少していくべきものであるとの観点に立って、引取りのあり方等につき、更なる検討を行うこと。

七、日本の伝統芸能に係る三味線等の製造に支障をきたさないよう、伝統文化の保護の行政とも連携して、都道府県等に引き取られ殺処分に付されている犬及びねこの活用などにおいて適切な配慮がなされるよう措置すること。

八、ペットの放置・遺棄による在来種への圧迫をはじめとした外来種・移入種による地域の生態系への影響や人への危険を防止する観点から、動物の飼養及び保管のあり方など外来種・移入種に関する対策を検討し適切に措置すること。

九、国、地方公共団体を通じて本法の適切な施行・運用のための体制の整備・充実を図ること。

十、附則第二条に基づき検討を行うに当たっては、次の事項について、適切に措置すること。

1 動物取扱業者の届出制については、その実施状況を調査し、問題の発生の有無等によりその有効性を評価するとともに、東京都の登録制の条例制定など先進的な取組を踏まえ、優良業者の育成、消費者保護等の観点も加味した登録制などの措置について、実施可能性も含め検討を行うこと。

2 規制対象となる取扱業の範囲についても、問題発生の状況や、東京都などにおける条例の見直しの状況などを踏まえ、検討を行うこと。

3 規制に営業(業務)停止に係る命令等の措置を加えることについては、問題発生の実態等を踏まえ、その必要性や有効性を含め検討を行うこと。

4 罰則の対象となる虐待の定義等については、本法に基づく摘発や立件等の状況を踏まえ、見直しの必要性も含め検討を行うこと。

5 愛護動物の範囲については、本法で爬虫類を追加したところであるが、熱帯魚などが観賞用として増加していることなども踏まえ、今後の問題の発生状況等必要に応じてその見直し等につき検討を行うこと。

6 今回の改正案に盛り込まれていない事項(動物の取扱や情報公開等)についても、地方公共団体等における各種の取組等を踏まえ、動物の適正な飼養の推進の観点から検討を行うこと。

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