昨年、PETAアジアによって、日本の畜産試験場の牛の扱いが劣悪であることが暴露されました。場所は、茨城県の畜産センターです。PEACEでも下記の2回にわたり、紹介しました。
茨城県畜産センターの劣悪な実験動物の取扱いをPETAアジアが暴露目次茨城県畜産センターは、県が設置する、いわゆる畜産試験場です。ここでの牛の取り扱い方法が暴力的で、劣悪であることをPETAアジアが動[…]
先日、茨城県畜産センターの実態について実験動物の観点からの記事をアップしました。[sitecard subtitle=関連記事 url=https://animals-peace.net/experiments/ibaraki.ht[…]
その後、茨城県から、この問題に関し公式に公表されたものは特にないと考えていましたが、サイトを確認すると、試験研究評価・機関評価のページに「茨城県畜産センター第3期中期運営計画(令和4年度~令和7年度)に基づく報告事項」という項目が追加されていました。以下のように書かれています。
「畜産センター家畜飼養管理に係る外部有識者による調査」とは?
「令和5年8月25日(報告事項)」のファイルから、昨年8月25日、茨城県畜産センターでは外部評価委員会が開催され、アニマルウェルフェアについて話し合ったことがわかります。(該当する部分はページ下部に掲載)
そして、PEACEが情報開示請求で手に入れた以下の関連文書は、この日の審議のための資料であったことも確認できました。
- 茨城県畜産センター外部評価委員会 資料3「茨城県畜産センター家畜飼養管理に係る外部有識者による調査について」
- 茨城県畜産センター外部評価委員会 資料3 別紙「調査結果表」報告者 安江 健
- 茨城県畜産センター外部評価委員会 資料3 別紙「調査結果表」報告者 茨城大学農学部 准教授 小針大助
牛への虐待で私たちが刑事告発した茨城県畜産センターについて、先日、畜産センター側が依頼した2名の外部有識者による調査結果票をこちらのページにアップしました。情報公開請求で手に入れたものです。以下に再掲します。 茨城県畜産センタ[…]
以下に掲載した該当部分を読んでいただくとわかりますが、この外部評価委員会による評価は、あくまで農林水産省が昨年7月に家畜ごとのアニマルウェルフェアに関する技術的な指針を公表したことを受けて行われたとされています。電話でもそのような説明を受けました。
しかし、農水省の指針公表とほぼ同時に、同畜産センターでは動物の福祉に関し、重大な問題が発覚していました。PETAによる動画の公表と、実態の暴露です。そして、それを受けて農林水産省から通知も出ていました。
なのに、同畜産センターは表向き、これらのことを外部評価委員会開催の理由にしていません。多くの批判の声が上がったことを考えると、このような対応となっていることには驚愕します。どう考えてもPETAによる暴露によって社会的に批判を受けたことが背景にあるのではないのでしょうか。
当会が問い合わせしたときも、外部の有識者に現地を見てもらい、それに基づいて改善するつもりだと言っていました。上記配布資料からも、その外部からの指摘を受けての検討があったことは間違いありません。それなのに、外部評価委員会の開催報告において、あくまで動物権団体による告発について触れない態度には呆れますし、非常に遺憾に感じます。
また、この発表では具体的に何を改善することになったのか不明です。
さらに、実は、公文書開示請求では新たに動物実験計画の審査について重大な問題も発覚しました。
PEACEでは、PETAアジアおよび動物実験の廃止を求める会(JAVA)とともに、公開質問書を茨城県知事宛に送付し、回答を待っているところです。
結果につきましては、改めてご報告します。
茨城県畜産センター外部評価委員会(8月25日開催)
「畜産センター家畜飼養管理に係る外部有識者による調査について」
1 調査の実施について
今般、国際獣疫事務局の陸生動物衛生規約におけるアニマルウェルフェア(以下、AW)の国際基準を踏まえた家畜の飼養管理の推進について(令和5年7月 26 日付け5畜産第1062 号畜産局通知)が通知され、家畜ごとの「飼養管理に関する技術的な指針」が新たに示されましたので、令和5年8月3日に外部有識者による実践状況の確認をセンター本所において試行的に実施しました。
2 外部評価委員からの意見
AW の考え方は年々変化し、それに合わせて家畜の飼養管理等に関する技術的な指針も見直しがされており、自己点検だけでは慣行作業が指針に適合しているか気づき難いものと思慮する。このため、畜産センターにおける自己点検に加え、外部有識者による調査を実施したことは適切な対応である。また、次年度以降、全所で調査を行うことにより飼養管理方法を高めていくことは、県内農家への波及効果が大きいと考えられるため、積極的に取り組んでいくべきである。
管理職については、現場を見回る頻度を上げるとともに、職員研修などを通じて日常的な飼養管理状況の把握を徹底することにより、AW の向上につなげて欲しい。
家畜のストレスや疾病を減らすことが、結果として生産性の向上、安全な畜産物の生産につながるため、調査で指摘された事項については改善をお願いしたい。
3 外部評価委員からの意見に対する対応
今回の外部有識者による調査で、日常の飼養管理に問題はないものの施設等のいくつかの点で指摘を受けましたので、改善項目を整理し、現在、対応しているところです。
今年度は、センター本所のみで試行的に実施しましたが、外部有識者による助言は、よりよい飼養環境の整備に向けて非常に参考になり有意義であることから、次年度以降は畜産センター3所(本所、肉用牛研究所、養豚研究所)で本調査を行うとともに、職員研修や日常的な飼養管理状況の把握を徹底し、引き続き、飼養管理方法を高めてまいります。
関連ページ
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