畜産動物のウェルフェアに関する指針類

農林水産省「アニマルウェルフェアに関する飼養管理指針」

2023年7月、農林水産省が畜種ごとのアニマルウェルフェアに関する飼養管理指針を公表した。世界動物保健機関(WOAH、旧OIE:国際獣疫事務局)の動物福祉コードを反映させた基準が日本には存在しなかったが、それに対応する形だとされている。

これまで日本の畜産動物のアニマルウェルフェアに関する指針と言われて来た公益社団法人畜産技術協会の「アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の飼養管理指針」に代わり、これからはこの農水省の指針が用いられることになる。

ただし、この指針は、あくまで自主的に守ってください程度のものであり、違反しても罰則はない。これらの指針に則って、どこか行政機関が指導を行うということも一切決められていない。自治体等に対しても、あくまで「周知」が求められているだけである。

参考記事

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畜種ごとの指針の概要は、飼養管理指針のポイント参照。

通知

指針の制定とともに関連組織に向けた通知「国際獣疫事務局の陸生動物衛生規約におけるアニマルウェルフェアの国際基準を踏まえた家畜の飼養管理の推進について(令和5年7月26日付け5畜産第1062号)」が発出された。

指針一覧

「アニマルウェルフェアに関する飼養管理指針」に関する参考資料

過去の通知

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動物愛護法に基づく飼養保管基準

動物愛護法第7条に基づいて、畜産動物(産業動物)にも飼養保管基準が定められているが、実に簡易な、理念だけを書いたものであり、具体性に欠ける。実質的な改正が長年なされていない。

畜産技術協会「アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の飼養管理指針

農林水産省の予算で民間の業界団体が策定した指針。農水省は国の指針として定めることはせず、民間の指針が存在することをアニマルウェルフェアの取り組みだとし、弁明としていた。

傍聴可能な公開の検討会を経て策定され、その過程についてはこちらのページに資料等が公開されている。

肉用牛 : 第6版 (2020年3月)
乳用牛 : 第6版 (2020年3月)
ブロイラー : 第6版 (2020年3月)
採卵鶏 : 第5版 (2020年3月)
豚 : 第5版 (2020年3月)
アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の輸送に関する指針(第2版)
アニマルウェルフェア 輸送チェックリスト
アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の農場内における殺処分に関する指針(第2版)

対EU輸出で求められる基準

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WOAH(世界動物保健機関、旧OIE:国際獣疫事務局) アニマルウェルフェアコード

陸生動物衛生規約(Terrestrial Animal Health Code)の中の動物福祉に関する章が、アニマルウェルフェアコード、動物福祉規約、動物福祉綱領等と呼ばれているものです。

SECTION 7.

Animal welfare(動物福祉)

Chapter 7.1.

Introduction to the recommendations for animal welfare(動物福祉のための勧告に関するイントロダクション)

Chapter 7.2.

Transport of animals by sea(動物の海上輸送)

Chapter 7.3.

Transport of animals by land(動物の陸上輸送)

Chapter 7.4.

Transport of animals by air(動物の航空機による輸送)

Chapter 7.5.

Slaughter of animals(動物の屠殺)

Chapter 7.6.

Killing of animals for disease control purposes(防疫目的の動物の殺処分)

Chapter 7.7.

Dog population management(犬の個体数管理)

Chapter 7.8.

Use of animals in research and education(研究および教育における動物の使用)

Chapter 7.9.

Animal welfare and beef cattle production systems(動物福祉と肉用牛生産システム)

Chapter 7.10.

Animal welfare and broiler chicken production systems(動物福祉とブロイラー(肉用鶏)生産システム)

Chapter 7.11.

Animal welfare and dairy cattle production systems(動物福祉と乳用牛生産システム)

Chapter 7.12.

Welfare of working equids(使役馬の福祉)

Chapter 7.13.

Animal welfare and pig production systems(動物福祉と豚生産システム)

Chapter 7.14.

Killing of reptiles for their skins, meat and other products(皮、肉、その他の製品のための爬虫類の殺処分)

その他

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参考:家畜伝染病予防法に基づく飼養衛生管理基準

アニマルウェルフェアを目的とした基準ではないが、動物(ひいては畜産業)を感染症から守るための衛生管理基準として、各畜種ごとに飼養衛生管理基準が定められている。畜産業者は、毎年、衛生管理の状況等に関する定期報告を家畜保健衛生所に提出しなければならない。


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