<記事紹介>時事通信「動物を傷つけない実習へ 先進的な獣医大2校を訪ねて」

『犬が殺される』を書かれた時事通信・森映子記者による獣医学教育に関する記事が公開されています。生体利用の代替になるツールのクラウドファンディングを行っていた山口大学共同獣医学部と、北里大学獣医学部の参加型臨床実習について、かなり詳しい記事です。獣医学教育の変化が感じられる記事ですので、ぜひお読みください。

加計学園の獣医学部設置が社会問題となったとき、古い獣医師が解剖実習がもっと必要だとメディアで話したり、臨床実習に反対するような声もありましたが、とにかくズレた主張が多いと感じました。こういう記事がやっと出てきたか、という思いです。

臨床実習とは、実際に獣医師にかかる飼育動物の診察や治療などを通じて実践的に学ぶものであって、いわゆる動物実験ではありません。人間のお医者さんになるために人間を殺して学ばないように、獣医師になるため必須なのは臨床実習であって、動物実験や生体解剖ではありません。

教育における動物実験の代替を求めると、「動物に全く触れずに学べるわけがない」と勘違いして批判する人が出てくるのですが、実際の患畜を診ることはむしろ必須だと私たちは主張しています。(もちろん動物に負担がかからないようにすることは前提です)

獣医学教育でも実験動物の利用を極力なくしていくのは国際的な流れです。また、健康な動物を殺したり傷つけたりするような実習を望まない学生には、それを行わずに代わりの方法で学ぶ権利を認めることも海外ではずっと前から行われてきました。

日本の動物福祉が遅れているのは、獣医師の意識が低く改革を望まない体質があることにも大きな原因があります。(法改正のたびに実感することでもあり、断言できます!) 海外のように、動物福祉を担うのは獣医師だという気概がないのです。良心的な獣医師がふえたといっても、少なくとも動物福祉に取り組むことについて、職能集団としての意識はとても低いと思わざるを得ません。

長い道のりですが、獣医学教育が変わるということは、新しい世代の獣医師が生まれるということですから、社会は教育内容にもっと関心を寄せるべきでしょう。

私立5大学の状況は?

ちなみに、私立で獣医学系の学部・学科のある5大学については相互評価が行われており、一般社団法人日本私立獣医科大学協会が2018年6月に報告書を公表しています。その中から、実習科目の一覧や代替法の採用状況、動物の使用数などをピックアップして以下のページにまとめました。

相互検証で代替法の採用状況なども調べていることに、時代の変化を感じます。

▼森記者の『犬が殺される』はPEACEのオンラインショップでもご購入できます。

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