盲導犬(アイメイト)を蹴った動画について質問状

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2016年10月、盲導犬(アイメイト)が蹴られるところを写した動画が公開され、当会も質問書をアイメイト協会に送りました。回答はありませんでしたが、アイメイト協会は、その後文書を公開しました。あくまで方向指示のためとの見解ですが、動画からは、目的を果たす以上の行為がされていたと感じざるを得ません。

その後の報告:

問題の動画

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2017年10月18日

公益財団法人アイメイト協会
代表理事 塩屋隆男様

和光市駅で起きた盲導犬(アイメイト)虐待事件に関する
要望及び公開質問書

 私たちは、人間社会において利用される様々な動物たちの状況に心を痛め、改善を求めて活動する市民グループです。理不尽な動物虐待がなくなるよう、微力ですが日々努力しています。当グループには、貴会の現、前ボランティアも在籍しております。

 10月8日午後8時ごろに和光市駅副都心線上りホームで、貴会の盲導犬※ユーザーが自らの盲導犬を蹴り上げている動画が、フェイスブックにアップされました。盲導犬は体を縮こまらせ尻尾を下げて、怯えている様子がはっきりと見てとれます。

 この動画をアップした方によると、足蹴にする前も、ユーザーは歩きながら犬に罵声を浴びせ、リードで何度も犬の首を釣り上げ、犬を宙吊りにしていたそうです。手慣れた動作で、悪意と常習性が感じられたとのことです。
 なお、このユーザーは以前にも他の駅で犬を蹴っているのが複数回目撃されています。これらは明らかな虐待行為で、私たちは看過することができません。

 貴会の盲導犬は、他の盲導犬協会のような貸与ではなく、ユーザーに譲渡されるということですが、ユーザーとしての適正の判断、訓練の指導やアフターフォローは盲導犬育成事業の一環ですので、貸与か譲渡かに関わらず、今回の事件に貴会が多大な責任を有するのは当然のことと考えます。今回の事件を、偶発的な例外事例だと軽んじていては、盲導犬ユーザーのイメージを壊し、社会的受容を阻害する要因にもなります。

 今回の事件では、動画の盲導犬はユーザーから保護され、このユーザーには二度と盲導犬を譲渡しないという説明文が10月14日付の貴会のホームページに掲載され、一応の決着を見ました。しかし、貴会の説明文には、事件の詳細や今後の具体的な善後策については全く言及がありませんでした。このペア以外にも虐待事例があるのではないかと心配する声も多く、すでに具体的な通報も1件上がっています。

 つきましては今回のような事件の再発を防ぐために、今回の事件の詳細、これまで貴会が取ってこられた対応及び今後の改善策等についてお尋したく、アイメイト協会の代表理事である貴殿に公開質問をさせていただきます。お忙しいところ恐縮ですが、ご回答のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

※貴会が盲導犬を独自の名称で呼んでおられることは存じ上げていますが、ここでは理解しやすいよう、広く使われている一般名称としての「盲導犬」を使わせていただきました。どうかご了承ください。

【要望事項】

 なお質問の前に、緊急のお願いをさせていただきます。 

1.今回の事件の犬を、盲導犬から引退させてください。
医療機関で健康状態を検査し、必要な治療を行なってください。今後は盲導犬から引退させ、犬に愛情を持って接する飼い主のもとで、安全で穏やかな一生が送れるよう速やかに対応してください。 

2. 他にも不適切に使用されている盲導犬がいないか、大至急、全現役ペアに対し実態調査をしてください。
すでにご承知かと思いますが、貴会の別の盲導犬についての通報が10月14日に貴会公式フェイスブックに書き込まれています。該当する自治体は貴会盲導犬の存在を把握しておらず、外部から真偽を確かめることは困難です。こういった情報一つ一つが不信感を募らせる原因となっていくかと思いますので、ぜひ全現役ペアに対して実態調査を行い、結果についてご公表をお願いいたします。

3.  貴会が他団体に送られた「回収した犬」の動画中の犬が、事件の犬と同一犬という証明をお願いいたします。
貴会の一部の関係者以外は、この動画を見ただけでは同じ犬と判断できません。「体高が違うのでは」という専門家の意見も出ています。貴会の盲導犬は右耳の内側に通し番号を刺青されているので、その写真の一致を公開するなどの方法で証明できないでしょうか。あらぬ疑念を晴らすためにも、どうぞよろしくお願いいたします。

4.  パピーウォーカーから説明を求められた場合、真摯な対応をお願いいたします。
 塩屋様は、今回の事件の犬を手塩にかけて育てた貴会のボランティアが、あの動画を見てどう思うか、考えられたことがありますでしょうか。もしパピーウォーカーから説明を求められた場合、どうか真摯に真実を伝えるご対応をください。

塩谷様が少しでもこの犬の育ての親に思いを馳せることができる方なら、私たちの要望に、すぐに対応していただけると信じております。どうぞよろしくお願いいたします。

【質問事項】

 では、質問に移らせていただきます。

1.この事件のユーザーの身元確認に1日半以上かかったのはなぜですか。宿泊訓練を担当した訓練士であれば、画像を見てすぐに確認できると思います。

2. この事件の犬は何才で、何年何ヶ月間このユーザーのもとにいたのでしょうか。

3. 当初「ユーザーとの面談は14日(土)に行う、犬を引き上げるかは未定」とのことでしたが、面談日が13日に繰り上がった理由と、犬を引き上げると決断された理由を教えてください。

4. 要望もさせていただきましたが、今後この事件の犬をどのように処遇されるおつもりですか。具体的にお答えください。

5. このユーザーは盲導犬何頭目ですか。もし2頭目以上なら、この犬以前に使っていた犬の引退年齢と引退理由を、それぞれの犬について教えてください。

6.  このユーザーから貴会に、これまで犬の扱い方などについての相談はありましたか。また、このユーザーに何らかのアフターフォローをしたことはありますか。もしあったのなら、その回数と具体的な内容を教えてください。

7.  このユーザーに関して、これまで貴会にいわゆる虐待通報が寄せられたことはなかったのですか。もしあったのなら、その件数と、その都度どういう対応を取られたのか、具体的に教えてください。

8.  このユーザー以外の盲導犬についてはどうでしょうか。現在、いわゆる虐待通報を貴会が把握しているユーザーは他にいますか。また、それらの虐待通報に関して、これまでどのように対応をされてきたのか、また今後はどう対応される方針なのか、具体的に教えてください。

9. 今回の事件のように、虐待が常習化したユーザーには再教育、再訓練は非常に困難だと思われますが、貴会はユーザーの適性を改善する効果的な方法をお持ちでしょうか。もしそのような方法や過去の成功例があるのなら、ぜひ具体的に教えてください。
また、そのような方法を実践する場合、改善されるまで盲導犬を不適切な状態に置き続けざるを得ないことについては、どうお考えなのでしょうか。

10. 要望もさせていただきましたが、貴会は、全現役ペアについて至急実態調査及び指導をするつもりはありますか。もしあるのなら、具体的にいつまでにどのような方法を計画されているのか教えてください。
もしそのような調査及び指導は必要ないと思われるのなら、その理由を教えてください。

11. ユーザーからの相談がなくても、定期的または抜き打ちでユーザーを訪問し、犬の使用状況や健康状態をチエックすることはありますか。あるのなら、頻度や内容を具体的に教えてください。もし、以上のような訪問は不必要と考えられるのであれば、その理由をお答えください。

12. 今回の類似事例や、何らかの理由で盲導犬をユーザーから引き上げた例は過去10年間で何件起きているのか教えてください。また、類似事例で犬を引き上げなかった場合があれば、具体的な理由と対処法を教えてください。

13. 貴会では現役盲導犬の定期検診(健康診断)はどのように行っていますか。ユーザーに委ねる形でしょうか。その場合、結果についての報告は受けるのでしょうか。それとも貴会が何らかの形で関与していますか。検診を受ける頻度についても教えてください。

14. 今回の事件が起こった最大の原因は何だと思われますか。また今後、今回のような事件が起きないようにするために、どのような改善策を取るおつもりか、具体的に教えてください。

以上、お忙しいとは存じますが、10月31日(火)までに文書にてご回答頂けますようお願いいたします。
なお、ご回答がなかった場合は、その旨を公開させていただきますので、予めご了承ください。

貴会は長年にわたり特定公益増進法人として、公益法人法改正以降は公益財団法人として活動されてこられました。公益財団法人として税制面での優遇措置を受けておられ、盲導犬育成費は税金で賄われています。また善意の寄付や募金、ボランティアの無償奉仕も貴会の事業を支えています。
こういった責任の重い立場からも、貴会は今回の事件や、貴会の全盲導犬の現状について速やかに調査し、その結果を詳らかに社会に公表する義務があるはずです。今回の虐待事件に非常に多くの人々が心を痛め、貴会の対応を見守っています。

今回の事件に限らず、ユーザーによる虐待が疑われる盲導犬の一刻も早い救出とユーザーに対する相応の措置、今後の防止策の徹底を切にお願いいたします。

真摯なご対応とご回答を、どうぞよろしくお願いいたします。

以上

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