第一種動物取扱業の登録をせずに販売していた闘犬練習センターについて

「年間2回以上又は2頭以上」にならないと業に当たらないとの見解により、闘犬・猟犬では業の登録はほぼ行われずに売買が行われているのではないかと思います。本当に販売の頻度が低いか、もしくは無償譲渡であれば、業に当たらないという判断もやむを得ませんが、疑わしい事例もあります。また飼育規模が大きい場合についても、本当に規制の対象にならなくてよいのでしょうか。
一方で、環境省のパンフレットによれば動物を闘わせることも虐待であり、違法行為にあたるものを自治体が取扱業と認めるのもおかしな話です。整合性を考えると、闘犬は禁止せざるをえなくなっていくでしょう。
過去に第一種動物取扱業の登録をせずに犬を闘犬用に販売していた事例には、このようなものがありました。
熊本市内の(元)闘犬練習センターについて
※個人で闘犬を飼育・訓練・販売していた。熊本市によると最盛期は240頭を飼育。
※所在地:熊本市(住所略) S氏
○動物取扱業が届出制のころ、届出なしに販売
娘がインターネット上に「土佐犬の販売と我が家の愛犬たち」とのホームページを開設していた。
2001年3月 50万円で販売した闘犬がフィラリアで死亡。その後、民事訴訟を起こされており、2002年5月に控訴審の判決があった。犬が健康であるかどうか確認の上で販売すべき売主としての信義則上の義務があるのに、予防接種などを全くしないなど義務に違反しており、契約締結上の過失があるとして賠償を命じられた。
※「ペット判例集」(大成出版社 浅野明子著)に判例として掲載されている。
○動物取扱業が既に登録制になっていた時代でも、登録せずに販売
2007年に現地に行った人の話によると、130頭くらい飼育していた。闘犬にも出場させており、子犬は1匹5万円で売っていた。
2015年11月に熊本市に確認した内容:
- 市が現地確認したところ32匹になっていた。以前はときどき市職員が現地訪問をしていたが、近年行かなくなっていた。この時の担当者も、この闘犬練習センターを知らず、初めて現地に行ったとのこと。
- 動物取扱業が届出制から登録制になった2006年の時点で「販売はやめる」とのことで登録はせず、現在にいたっている。その後も時々譲ったりはしていたようだが、「業に当たらない程度」と市は判断しているとのこと。
- 闘犬はやめており、現在は愛玩飼育との説明。番犬として譲るなどし、数を減らしていっていると言っていたとのこと。
(S氏の娘がやっていたホームページの更新が2015年1月でストップしていたため、本当に闘犬を引退をしていたとしたら2015年1月から11月の間か?) - ある土佐犬の愛好会のホームページによれば、S氏は中国にも輸出している様子だが、「1、2匹しか売っていない」と市に説明。
- 上記ホームページに載っているS氏宅の写真(野外に木で犬の小屋をつくり係留飼育しており、荒れた感じ)と現在の飼育状況はそれほど変わらないとのことだったが、熊本市は「大事そうに飼っていた」と判断してしまう。
2018年7月に熊本市に確認した内容:
- 16頭まで減っており、繁殖させていないと言っていた。
2021年6月にも熊本市の動物愛護センターに確認していますが、最近は現地を見に行っていないとのことで、直近の情報はありません。
【その他】
○闘犬が盛んな青森県でも、土佐犬の飼い主が251人おり968頭が飼育されているにもかかわらず、土佐犬の販売で第一種動物取扱業の登録を受けている事業者は一人もいない。(2017年4月確認)
日本にも、闘犬、闘鶏、闘牛などが禁止されている自治体があります。条例の条文を集めてみました。動物を意図的に戦わせることについては、全国的な禁止が必要です。 全面禁止: 東京都 神奈川県 富山県 石川県 一部禁止: 北海道 (土佐犬に関して許[…]