ハムスターのプレゼント企画に対する要望書
ハムスターの「無料配布」を行った株式会社マルカンに対し、下記の要望書を送付しました。(2013.5.18掲載)
回答は、驚くべき内容でした。
詳細
2013(平成25)年5月11日
株式会社マルカン
代表取締役社長 松本幸彦 様
ハムスターのプレゼントを以後行わないことを求める要望書
私たちは、動物たちが現代社会の中で置かれている状況に心を痛め、改善を求めて活動している市民団体です。
5月5日~6日、京セラドームで開催された「ペット王国2013」において、貴社がジャンガリアンハムスターのペアの無料配布を行ったことを知り、大変驚くとともに、日ごろから命ある動物たちを扱っている貴社の姿勢に対し、疑問を感じざるを得ませんでした。
貴社は、これまでにも何度か同様のプレゼント企画を行ってきたとのことですが、今後は同様のプレゼント企画を行わない決定をしていただきたく、本要望書を送付させていただきます。理由は以下の通りです。
- 命ある動物を小さなプラスチックにケース入れて積み上げ、モノのように配布する光景に、多くの人が疑問を感じ、不快感を表明しました。動物はモノではなく、プレゼントの景品にしたり、不特定多数に無料で配ったりすることは間違っています。
- そもそも、生きものを飼育するにあたっては、終生飼養ができるか、適切な世話をすることができるか、家族はすべて賛成しているか等を勘案し、十分な検討を行う必要があります。しかし、イベント会場において無料で生きものを配るということは、そのような検討を経ない、安易な飼育開始にきっかけを与えることになります。動物を取扱う事業者が行う行為としては、不適切であると感じざるを得ません。
- ウェブサイト上でのイベント告知には正確な動物種名が書かれておらず、なおかつゴールデンハムスターの写真が使われていたため、実際に会場で配布されていたジャンガリアンハムスターについて、事前に十分に検討や準備を行うことはできなかったはずです。ゴールデンハムスターとジャンガリアンハムスターでは体の大きさも違い、準備しなければならない用品が違ってくること等は、貴社はよくご存じのはずです。
- 両日でペア100組・計200匹が来場者に渡されたとのことですが、特にペアでの配布であった点で、見識を疑いました。げっ歯類の繁殖力は高く、一度にたくさんの子を産みます。すべての子どもを飼育したり、よい飼い主を見つけたりするのは大変なことです。
また、ペット王国のウェブサイトでは、「初めての飼育」とうたわれていましたが、まったく飼育経験がない段階でいきなり繁殖を行わせるのは、無謀としか言いようがありません。ずっと子どもを産ませないにしても、雌雄分けての飼育に神経を使うことになります。 - 私たちの社会には、殺処分されたり、捨てられたり、ネグレクト(飼育放棄)されたりしている数多くの動物たちがいます。これは犬や猫に限りません。動物を飼育する際には、まずそのような動物を救うことに目を向けてほしいのが私たちの願いです。企業がイベントを行う場合も、そのような方向性の活動に社会貢献として取り組むほうが、よりイメージアップにつながるのではないでしょうか。
数多くのハムスターをペアで配ることは、社会貢献につながらないばかりか、ふえすぎなどで、結果として社会に迷惑をかける可能性があります。貴社のイメージダウンにもつながります。
以上、動物の愛護・福祉などの観点から、今後はこのような企画を行わないことを決定していただきたく、強く要望いたします。
また、誠に恐縮ではございますが、この点に関しまして、貴社の今後の方針を文書にてご回答をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。