国会質疑

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遺失物法改正時の国会質疑です。名前の部分も議事録のまま転載しています(敬称略)。

衆議院 | 参議院

第164回国会 – 衆議院 – 内閣委員会 – 11号 平成18年05月31日

※ 竹花政府参考人は、警察庁生活安全局長
※南川政府参考人は、環境省自然環境局長

○戸井田委員 自由民主党の戸井田とおるです。

 後の時間が詰まっているようなので、なるべく急いでいきたいと思います。

 遺失物として警察が取り扱った動物の件数及びそのうちに占めるいわゆるペットである犬や猫の件数がどのくらいになっているのか。

 それと、新法では、所有者の判明しない犬や猫を拾得した者が動物の愛護及び管理に関する法律に基づいて都道府県に引き取りを求めた場合には、遺失物法を適用しないこととなるが、このような規定を設ける理由についてお伺いしたいと思います。

○竹花政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十六年の四半期ごとの各一カ月間、計四カ月間について実施した全国調査によりますと、警察が拾得物として取り扱った動物は約一万一千五百件で、そのうち、犬が八二・〇%、猫が四・〇%をそれぞれ占めております。ここから推計いたしますと、平成十六年の一年間に取り扱った犬の件数は約二万八千件、猫の件数は約一千五百件と考えられるところでございます。

 また、今回、法律を改正いたしまして、所有者の判明しない犬や猫を拾得した者が動物愛護法に基づいて都道府県に引き取りを求めた場合の措置について規定をしてございます。その理由でございますが、警察署では、動物の飼養や保管に関し専門的な知識を有する職員を有しておりませんし、また、拾得者から差し出しを受けた動物の十分な飼養が難しい現状にございます。また、動物の保管のための専用の施設を持っていないことから、その管理に万全を尽くすことが難しいという問題もございます。住宅地の警察におきましては、夜間の犬や猫の鳴き声に対して、住民の方から苦情が寄せられることも多いと聞いております。

 他方、都道府県等におきましては、専門的な職員及び施設を有しておりますので、その適切な飼養や保管が期待できるものと考えております。

 そこで、今回の改正では、所有者の判明しない犬や猫を拾得した者が動物愛護法の規定により都道府県等にその引き取りを求めた場合については、遺失物法を適用しないこととするものでございます。

○戸井田委員 環境省にお伺いしたいと思います。

 現状では、所有者の判明しない犬や猫を都道府県が引き取った場合には、二、三日で殺処分されてしまうということを聞きます。このために、犬や猫が都道府県に引き取られたことを知った飼い主が返還を求めに行っても、既に処分されてしまっていることが多いということがあるんですね。

 また、警察の方は一生懸命飼ってくれるみたいで、動物保護団体が調べたところによりますと、警察で保管している場合には、八〇%が飼い主に返る。しかし、都道府県に行くと一〇%に満たないというようなことを聞いております。

 動物の愛護及び管理に関する法律第三十五条第四項では、「都道府県知事等は、動物の愛護を目的とする団体その他の者に犬及びねこの引取りを委託することができる。」と規定されております。

 都道府県がこの規定に基づく引き取りの委託を推進すれば、犬や猫が早期に殺処分されるようなこともなくなると思えるんですけれども、都道府県に対し、動物愛護団体と連携を深めて、引き取り委託を推進するよう指導すべきではないでしょうか。

○南川政府参考人 お答えいたします。

 確かに、委員御指摘のとおり、現在、都道府県あるいは政令市、中核市の動物愛護センター、保健所等で引き取っておりますのは、犬、猫は年に四十二万頭でございます。これにつきましては、所有者の判明しない犬、猫、あるいは飼い主が飼い切れなくなって持ってきた犬、猫ということでございます。いろいろ手を尽くしておりますけれども、残念ながら、新しいもらい主が見つかる、あるいはもとの飼い主に戻るというのは約一割ということでございます。

 これにつきまして、私ども、今回、ことしの一月でございますけれども、昨年の動愛法の改正を受けまして、犬、猫等についての収容に関する措置を決めました。その中で、引き取られた犬、猫につきまして、期間をできるだけ適切に長くする、そして、その間に、所有者の発見、新たな飼い主への譲渡を進めるということで、指導を行っているところでございます。

 また、各自治体のデータベースを国でつないで、より新しい飼い主探しをしやすくするということも、国として行っております。

 自治体の中では、動物愛護団体へ協力を求めるところもございます。一部そういうところもございますし、法的には特に問題ございませんが、なかなか動物愛護団体も個性が強い団体が多うございまして、非常に行政と折り合ってうまくやっていただけるところと、逆に、非常に自己主張が強くてなかなかうまくいかないところもあるようでございまして、何とか一緒にやっていただけるところを我々もふやすようにしていきたいと思います。

○戸井田委員 そもそも、拾得された犬または猫の所有者がだれであるのか、すぐわかるようにすれば、早期に所有者のところに返還され、殺処分されるようなこともなくなると思うんです。

 動物の愛護及び管理に関する法律第七条の第三項では、「動物の所有者は、その所有する動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置として環境大臣が定めるものを講ずるように努めなければならない。」とされておりますけれども、環境省の方は、こうした識別措置の普及をどのように促進していくのか、その辺のことをお伺いしたいと思います。

○南川政府参考人 御指摘のとおり、ことしの一月でございますけれども、私どもでは、所有者明示の取り組みの推進ということで、動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置要綱というものを定めたところでございます。

 その中で、どのような動物についてどのような識別措置をとることが適切かということを事細かに示しております。犬、猫ですと、名札とかマイクロチップとか、あるいは大きな犬ですと耳の裏に入れ墨をするとか、そういったことも定めているところでございます。そのマイクロチップ等につきましては、技術的な研修会も今広めておるところでございます。

 そして、この要綱を定めましてからですけれども、現在、徐々にマイクロチップを使う方がふえておりまして、私ども聞いているところでは、全国でおよそ一万頭程度にまで、犬におけるマイクロチップの埋め込みが広がっているというふうに承知をしております。

○戸井田委員 マイクロチップを早く推進していただきたいと思います。

 また、厚生労働省の方にお伺いします。

 一方、狂犬病予防法第四条においても、犬の所有者は、市町村長から交付を受けた鑑札をその犬につけておかなければならない旨が規定されております。しかし、愛護団体の話を聞くと、最近、ペットとして、ファッションの一つに見ている部分もありますので、今までの鑑札がちょっと泥臭過ぎるんじゃないか、もうちょっと受け入れられやすいものを考えてするというのも、やはり一つの方法じゃないかなというふうに思います。

 そんなところのことを御答弁、ちょっとお願いします。

○中島政府参考人 ただいまの狂犬病予防法に関する御質問でございますけれども、狂犬病予防法におきましては、徘回している犬に関して抑留をし、そのうち鑑札によって登録が確認される犬については所有者に返還を行うというようなことを行っております。
 厚生労働省といたしましては、この鑑札の装着義務の遵守を徹底させるということから、都道府県等に周知等を要請するとともに、ホームページあるいはポスターなどによりまして普及啓発にも努めております。

 さらに、本年六月一日には動物愛護及び管理に関する法律の改正法が施行されまして、動物取扱業者が登録制となり、犬を販売する際には狂犬病予防法に基づく鑑札の装着の義務について購入者に文書で説明をしなければならないこととなるというふうに承知しておりまして、装着率の一層の向上に寄与するものと考えております。今後とも、関係省庁あるいは自治体、関係団体とも連携協力をしながら、装着率の向上に努めてまいりたいと思います。

 また、鑑札についてのデザインといいますか工夫の点でございますけれども、私どもも同様に考えておりまして、そこにつきましては、そのデザイン性や小型犬への装着性などにつきましてさまざまな御意見があるということで、今後、狂犬病対策を推進する上でも装着率の向上が重要でありますことから、関係機関、関係団体等の御意見も踏まえながら、その形状の改善も含めまして、鑑札の装着率が一層向上する方策を検討してまいりたいと考えております。

○戸井田委員 狂犬病は、もう大分日本ではなくなったように言われている部分もありますけれども、最近、海外から着く、停泊する船だとか貨物船なんかにも犬が乗っていて、その犬が逃げ出したまま、そのまま船が出港してしまうというようなことがある。そういうルートを考えると、結構、狂犬病というのもなかなかこれからそう安易に見ておれないんじゃないかな、そんなふうに思いますので、ぜひその対策をきちっとお願いしたいと思います。

 今回の改正は、動物の取り扱いについて大きく制度を変えるものであります。国民に改正の内容を十分に周知することが重要と考えますので、この点について大臣の見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

○沓掛国務大臣 今回の法改正により、所有者の判明しない犬や猫について取り扱いを明確にすることとし、動物愛護法による引き取りの対象となったものについては、都道府県等がこれを取り扱うこととなることから、善意で犬や猫を拾得した人や、飼い犬や飼い猫がいなくなって困っている人が戸惑うことのないよう、国民に対し、法改正の内容を十分に周知することが重要であると考えております。

 そこで、法改正の成立後、ポスターあるいはリーフレットなどを作成するなどして国民に改正法の内容の十分な周知を図るよう警察当局を督励してまいりたいと考えております。

 

第164回国会 参議院 – 内閣委員会 – 13号 平成18年06月08日

※政府参考人は、環境省自然環境局長

○秋元司君 (中略)続きまして、動物等の取扱いについて質問をさせていただきたいと思うんですが、今回のこの新法では動物等々は法律の対象外となっていらっしゃるんですね。一点目はこの理由と、そしてそのように今回はしたということもあって、法律の改正でありますから、各、何といいますか、所轄、関係者等にこういったことを徹底をさせなければ私はいけないというふうに思いますけれども、そういった今後の指導体制について、この二点お伺いしたいと思います。委員長。

○国務大臣(沓掛哲男君) お尋ねの件についてお答えいたします。

 今回の法改正により、所有者の判明しない犬や猫を拾得した人は、動物愛護法の規定により、都道府県等にその引取りを求めた場合につきましては遺失物法が適用されないこととするその理由でございますけれども、警察署では動物の飼養や保管に関し専門的な知識を有する職員や専門の施設を有していないことから、専門的な職員及び施設を有する都道府県等において犬や猫を取り扱うこととした方が動物の愛護の観点から見て適切であるという考え方であります。

 今回の改正により、所有者の判明しない犬や猫の取扱いが大きく変わることから、警察といたしましては、まず第一に、所有者の判明しない犬や猫の取扱要領を明確にし国民に周知すること、第二に、都道府県警察とそれから都道府県等の動物愛護担当部局との連絡体制を確立することに配慮すべきであるというふうに考えております。このため、警察庁に対し、早急に環境省と協議いたしまして、所有者の判明しない犬や猫の取扱いや都道府県警察と都道府県等の動物愛護担当部局との連携に関する基準を策定し、これに基づいて都道府県警察を指導するように督励してまいりたいと思っております。

 法改正でこの点大変大きく変わってまいりますので、混乱が起きないように関係省庁としっかり連携を取ってやっていきたいというふうに考えております。

○秋元司君 こういったことで一番一般の国民の皆さんと接するのは大体交番とか派出所と、そういうところの皆さんが一番、派出所じゃない、交番ですね、交番の皆さんが一番普通の地域住民の方と接する機会が多いと思うんで、そういった方がこのことをよく知ってなければ本当にある意味混乱をすると思いますので、是非交番の警察官に至るまで徹底した指導体制をお願いしたい、そのように思います。

 この動物の取扱いについては、動物愛護団体からいろいろと話があるやに聞いておりますが、何といいますか、遺失物の扱い、拾得物の扱い、物は三か月、しかし動物については三日とかいう話がありまして、命の尊さということを問われれば何とも答えようがないところあるんですけれども、その前に、本来ですと飼い主責任というものをしっかりと本当は追及をしていかなければならないところではあるんですが、そういったことからかんがみまして、環境省にお伺いしたいんですが、この所有者不明の動物の取扱基準について、今現在と、まあ将来も含めた形でいいんですけれども、どのような対処をされるか、お答えをいただきたいと思います。

○政府参考人(南川秀樹君) 私ども、動物愛護管理法を所管しております。その規定によりまして、都道府県等におきまして、所有者の判明しない犬、猫、さらに飼えなくなって持ち込まれた犬、猫といったものを主に動物愛護センターというところで引取りを行っております。約四十二万頭、毎年引き取られております。内訳は犬が十八万で猫が二十四万と、犬はどんどん減ってきておりますが、猫はほとんど減らないというのが現状でございます。

 私ども、できるだけこれらの動物について生存の機会を与えたいというふうに考えております。今年の一月に犬、猫の引取り等についての措置を決めました。現状で申しますと、保管期間が三日あるいは四日というところが多いわけでございますけれども、そういった短期間ではなくて、犬、猫の所有者あるいは譲渡を希望する、里親になりたいといった人の便宜を図りたいということで、できるだけ生存の機会を与えるように努めるということで現在指導を行っているところでございます。また、実際に里親を探す便宜を図るべく、私ども、この四月から再飼養支援データベース・ネットワークシステムというものを作りまして、全国的にどういう動物がどこで保管されておるかということが分かるようにして、少しでも飼い主が新たに見付かるような努力をいたしているところでございます。

○秋元司君 今、年間四十二万頭ですか、すごい数ですよね。この中で、話によりますと、大体九割は残念ながら殺さざるを得ないというのが現状らしいので、そういったことからして一日でも早くより多くの動物が飼い主の下に行ってもらうというのが一番理想でありましょうけれども、実は今お話しいただいたこのインターネット等でネットワークを作って、飼い主になりたい方はどうぞという、そういった呼び掛けをしていただいているということでありますが、余り知らないんですよね、このこと。私も昨日その話を聞いてから、何人かの皆さんにたまたま宴席がありましたのでちょっと話をしたら、知らないと言う方が大半でしたので、せっかくそういったいいシステムを構築していただいているので、もっともっと普及に、何というか、うまい広報宣伝をもっともっと積極的にやっていただきたいなというふうに、これはもう御要望させていただきます。

 以上であります。

※動物愛護法改正に関する国会質疑にも遺失物に関する話題がありました

 
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