2015年に、「『Nature』誌論文、マウスに発生させた腫瘍が大きすぎて問題に」の記事で紹介した論文ですが、2018年7月に撤回されていました。
撤回理由は、腫瘍の大きさをめぐる倫理審査問題ではなく、他の画像2点のオリジナルデータがないこと、それにより図の完全性が損なわれていることとなっています。倫理的問題があっただけではなく、科学的に信用に足りない論文だったということですね。
この論文の著者には日本人が1名含まれています。現在、佐賀大学医学部の井手貴雄(Takao Ide)講師です。どの部分に貢献したかが書かれている部分を見ると、実験を実施したご本人であることがわかります。
そして、論文の撤回には同意していないそうです。
でも撤回です。
著者たちへのペナルティとして撤回されたことについては歓迎ですが、この実験に使われたマウスたちが受けた苦痛や犠牲はいったい何だったのでしょうか。動物実験の残酷さを記録に残しただけでした。