2012年動愛法改正:参議院会議録 環境委員会第12号

3回目の動物愛護法改正についてまとめページ

2018年の動物愛護法改正法案が参議院を通過した際の質疑の記録です。国会閉会が迫っており午前中に衆議院の環境委員会で採択され、午後に参議院に回りました。全文を転載します。

<質問の内容>
水野賢一議員:動物実験について
市田忠義議員:生後56日齢規制、インターネット販売規制、災害対応、動物実験、犬猫の引取り問題について
亀井亜紀子議員:マイクロチップ、デザイン鑑札、小笠原の野猫の捕獲活動について
平山誠議員:飼育放棄する飼い主への罰則、ボランティア助成について

第180回国会 環境委員会 第12号  PDF版
平成二十四年八月二十八日(火曜日)
   午後三時開会
    ─────────────
   委員の異動
 八月二日
    辞任         補欠選任
     谷岡 郁子君     舟山 康江君
 八月二十七日
    辞任         補欠選任
 ツルネン マルテイ君     高橋 千秋君
 八月二十八日
    辞任         補欠選任
     高橋 千秋君 ツルネン マルテイ君
     小坂 憲次君     石井 浩郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         松村 祥史君
    理 事
                小西 洋之君
                小見山幸治君
                川口 順子君
               北川イッセイ君
    委 員
                石橋 通宏君
            ツルネン マルテイ君
                徳永 久志君
                石井 浩郎君
                鈴木 政二君
                谷川 秀善君
                中川 雅治君
                加藤 修一君
                友近 聡朗君
                水野 賢一君
                市田 忠義君
                亀井亜紀子君
                舟山 康江君
                平山  誠君
   衆議院議員
       環境委員長    生方 幸夫君
       環境委員長代理  田島 一成君
   国務大臣
       環境大臣     細野 豪志君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山下 孝久君
   政府参考人
       厚生労働省健康
       局長       外山 千也君
       環境省地球環境
       局長       鈴木 正規君
       環境省自然環境
       局長       伊藤 哲夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正
 する法律案(衆議院提出)
    ─────────────
○委員長(松村祥史君) ただいまから環境委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二日、谷岡郁子君が委員を辞任され、その補欠として舟山康江君が選任されました。
 また、本日、小坂憲次君が委員を辞任され、その補欠として石井浩郎君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(松村祥史君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省健康局長外山千也君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松村祥史君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(松村祥史君) 動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提出者衆議院環境委員長生方幸夫君から趣旨説明を聴取いたします。生方幸夫衆議院環境委員長。
○衆議院議員(生方幸夫君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
 我々人類は、有史以来、数多くの種類の動物たちを、日々の糧としての利用はもちろんのこと、荷物の運搬や田畑の耕作等の労力、衣類を始めとする多種多様な製品の原材料、研究開発や創薬等の科学上の利用など、実に様々な用途に利用する一方で、伴侶、心の友として一緒に暮らすなど、動物たちと物質的、精神的なつながりを持つことにより、現代に至る文明を築いてまいりました。
 動物は、人間と同様に生命を持ち、苦痛を感じる存在であり、尊厳を持って取り扱われるべきである半面、動物が人の生命、身体又は財産に影響を及ぼすおそれがあることから、動物の適切な管理も同時に求められております。
 このような動物の適切な取扱いについて規定する動物の愛護及び管理に関する法律は、昭和四十八年に議員立法で制定された後、平成十一年及び十七年に同じく議員立法で改正され、現在に至っております。過去二回の改正により、ブリーダーやペットショップに代表される動物取扱業について届出制から登録制へ引き上げられるとともに、罰則が強化されるなど、規制が強化されてまいりました。
 近年、ペット市場の拡大と多様化が進む一方で、劣悪な飼育環境での多頭飼育や幼齢動物の販売等に代表される動物取扱業者の不適正飼養の問題が顕在化し、動物の福祉の観点から一層の動物の適正飼養の確保が求められる中、動物取扱業の適正化に対する国民の要望も高まってきているところであります。
 また、行政や動物愛護団体等による長年の努力の結果、保健所等における犬及び猫の殺処分頭数も、昭和四十九年の約百二十万頭から平成二十二年には約二十一万頭にまで減少いたしました。しかし、都道府県等は、犬猫販売業者や何度も持ち込むリピーターからの引取りを拒否できず、依然として多くの犬猫が殺処分されていること等から、我が国全体で殺処分ゼロを目標に据えて、官民挙げた更なる努力が望まれているところであります。
 さらに、昨年三月十一日に発生した東日本大震災とそれに伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故により、ペットや家畜の多くが適切に救護されず、犠牲となりました。今後はこのような事態を未然に防ぐためにも、国や自治体等は被災動物への救援体制を早急に構築していくことが求められております。
 このような最近の動物の愛護及び管理に関する状況に鑑み、動物取扱業の適正化並びに動物の適正な飼養及び保管を図る必要があることから、本案を提出した次第であります。
 次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、現行の動物取扱業を第一種動物取扱業とし、第一種動物取扱業者のうち犬、猫の繁殖業者は、出生後五十六日を経過しない犬又は猫を販売のため又は販売の用に供するために引渡し又は展示をしてはならないものとしております。なお、この出生後の期間について、施行日から起算して三年を経過する日までの間は四十五日と、その後別に法律で定める日までの間は四十九日と読み替える経過措置を設けることとしております。
 第二に、第一種動物取扱業の登録を受けるべき者及びその取り扱おうとする動物の数が環境省令で定める数に満たない者を除く一定の飼養施設を設置して動物の譲渡等を業として行おうとする第二種動物取扱業者は、都道府県等が犬又は猫の引取り等を行う場合等を除き、飼養施設を設置する場所ごとに、飼養施設の所在地等を都道府県知事に届け出なければならないこととしております。
 第三に、動物の所有者について、できる限り、その所有する動物がその命を終えるまで適切に飼養する終生飼養の責務を追加するとともに、都道府県等は、犬猫等販売業者から犬又は猫の引取りを求められた場合その他の終生飼養の責務の趣旨に照らして引取りを求める相当の事由がないと認められる場合には、その引取りを拒否できることとし、また、都道府県知事等は、引取りを行った犬又は猫について、殺処分がなくなることを目指して、所有者への返還及び飼養希望者への譲渡に努めることとしております。
 第四に、都道府県は、動物愛護管理推進計画に、災害時における動物の適正な飼養及び保管を図るための施策に関する事項を定めるものとし、また、都道府県知事等が委嘱する動物愛護推進員の活動として、災害時における国又は都道府県等が行う動物の避難、保護等に関する施策に必要な協力をすることを追加することとしております。
 第五に、国は、犬、猫等が装着すべきマイクロチップについて、その装着を義務付けることに向けて研究開発の推進及び普及啓発等のために必要な施策を講ずるものとし、その施策の効果、マイクロチップの装着率の状況等を勘案し、その装着を義務付けることに向けて検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずることとしております。
 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 以上が本案の趣旨及び主な内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(松村祥史君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○水野賢一君 みんなの党の水野賢一です。
 この動物愛護管理法の話になると、避けて通れない話というのは動物実験の話なわけですよね。今回の法改正の中では動物実験の問題については改正に触れられておりませんけれども、政府にお伺いしたいんですが、動物実験によって犠牲となっている動物の数というのは年間どのぐらいというような推計はあるのかとか、政府として把握しているのか、そういう推計はあるのか、この点について伺いたいと思います。
○政府参考人(伊藤哲夫君) 動物実験に使用されている動物の数につきまして、国として把握する仕組みはございませんが、公益社団法人の日本実験動物協会が三年ごとにアンケート調査を基に実験動物の総販売数を集計しております。
 それによりますと、平成二十二年度におきましてはおよそ六百十七万頭の実験動物が販売されたと、こういうふうにされているところでございます。
○水野賢一君 この動物実験に対して例えば規制を加えるという話になると、必ず出てくる問題が、それだと薬が作れなくなるとか、ライフサイエンスの研究に悪影響を及ぼすというような議論も一方で当然あるわけなんですよね。さはさりながら、だから、一足飛びに動物実験そのものに規制を加えていくということは、これはなかなか反対論もあるだろうし簡単ではないにしても、もっと、例えばどの事業者とか研究所がどの動物をどれだけの数、実験によって犠牲にしているかということなんかを、つまり情報公開ということですよね、情報公開を、動物実験するなとは言えなくても、きちんと情報公開を求めるということは法律上十分あり得ることだというふうに思うんですが。
 これは提案者に伺いたいんですけど、つまり、そういうのを野方図に、野放しにしておくんじゃなくて、せめてその数とかぐらいはきちんと報告するようにすれば、野方図にはしないで節度を持って、まともな事業者ならば節度を持ってやっていくはずですから、こういうようなことを法改正の中で検討はされなかったんでしょうか。
○衆議院議員(田島一成君) 御質問ありがとうございます。
 今、水野委員が御指摘いただきましたとおり、我々も、動物実験を対象とするのではなく、実験動物、いわゆるこの法の範疇の実験動物を対象に実は検討させていただきました。中環審の動物愛護部会の中にも動物愛護管理のあり方検討小委員会というものが設けられまして、そちらの方でも報告書の中にこの情報開示の問題については言及をされてまいりました。
 私どもも、実際に全国の状況等々を調べる中で、兵庫県があの阪神・淡路大震災を受けて届出制を既にもう実施をしております。こういった兵庫県の条例並みのものを導入できないかということを実は党内で検討させていただいてまいりました。
 しかしながら、実験関係者の方から、施設の情報開示による損害でありますとか、先ほども御指摘いただきました、生命科学研究の発展に障害が生じるというような懸念の声もあり、今、実際のところ、実験動物等につきましては、所管する各省庁の方で指針を作成をしていただきまして、それに基づく自主管理をスタートしたばかりでもありますので、こうした実施状況を注視するべきだというような声も正直ございました。
 法改正を是非今国会でというようなところから、この議論を煮詰めるには十分な時間が確保できなかったというような点が正直なところでございますが、こうした状況を踏まえまして、今先生が御指摘いただきましたことも踏まえまして、次の改正までには、この関係する省庁、文部科学省や厚生労働省、農水省、そして環境省も交えて実務者レベルで総合的に検討していく必要があろうかというふうに考えているところでもございます。
 今回、衆議院の附帯決議の方にもこの実験動物につきましていろいろと言及をいただきましたので、その点についても踏まえていただきながら今後進めていくのではないかというふうに考えているところです。
○水野賢一君 これ、こういう情報開示を求めるようにすると、事業者とかからは、いや、そういうことをするとこういう障害があるんですという声は必ず出てくるんですよね。
 例えば、恐らく、これもし、何を何頭実験に使ったんだということを、その情報だけで、見る人が見ると何を研究しているかという、企業秘密だということが分かっちゃうとかと、そういうことを必ず言うんですけれども、これは私のささやかな経験だけでも、大体事業者はこういうときに予防線を物すごい張るんですよね。予防線をすごく張るから、その言い値ベースで彼らの言うことを信じても、ちょっと違うんじゃないかなというふうには思っています。
 というのは、これ地球環境局に関係することなんですが、私のささやかな経験の中でも、二酸化炭素の排出量というか、温室効果ガスの排出量というのを、これ、温暖化を防止するために排出そのものに規制を加えろという声も当然あるんだけれども、その前段階として、排出そのものに規制を加えるのはなかなか難しいかもしれないけど、今どこの事業者が何トン温室効果ガス出しているんだということを、せめてそういうことを公表するようにして、野方図な排出は抑制、そうすればまともな事業者は公表されていけば抑制するはずだからというような議論があったりして、私も以前、自民党の衆議院議員だったときに自民党の環境部会長を務めていたときに、そういうような算定・報告・公表制度、何トンどこの会社が温室効果ガス出しているんだということを公表させる温暖化対策推進法という改正やったんですけれども。
 そのときも、例えば一部のメーカーなんかは、例えば温室効果ガスといっても二酸化炭素だけじゃなくていろいろあるわけですよね。例えば京都議定書でもSF6なんかも温室効果ガスなんだけれども、SF6の排出量が分かると大変なことになっちゃうんですとかというふうに言うわけですよ。
 例えば、これは液晶メーカーとか半導体メーカーなんかがSF6が分かるともう我が社は潰れてしまうみたいなことを言うんで、制度上はそういうことを、こっちもSF6の排出量という細かい話になるとちょっと分からないんで、二酸化炭素だったらこれは企業秘密なわけないだろう、そんなものはと思っていたけれども、SF6とかと、そう言われるといろんな議論もあるだろうから、制度上はこれを、SF6とかPFCとかHFCという個別のガスは、もうどうしても企業秘密だというときは、温室効果ガス全体のは公表しなきゃいけないけど、個別ガスは非公表でもいいと一応制度上はなっていますよね。
 ところが、さんざんそうやってこういう秘密を守らなきゃいけないんですというふうに言っていたけれども、これ一応秘密を守れる制度は導入されているんですけど、温暖化対策推進法上。これを活用している、つまり、それを活用しているところというのはありますか、地球局長。
○政府参考人(鈴木正規君) 今御指摘いただきましたSF6、PFC、HFCにつきましては、非公表にしている事例はございません。
○水野賢一君 ですから、法制定のときなんかに、これはもう本当に致命的な、これが分かると大変なことになっちゃう、我が社は潰れちゃうとかと大騒ぎしているけど、実は何のことはなく、よく考えてみると、まあそれを公表されるのは気持ちはよくないかもしれないけど、そんなに致命的な、絶対的な企業秘密ではないわけなんですよね。だからこそ公表しているんですから。
 ただ、そういう途中の議論の段階ではなるべく予防線を張ろうとするのは、それは事業者として本能だからまあこれはしようがないんですけれども、だから、その言い値ベースで、これは本当に企業秘密なんですという、この動物の数が分かると大変なことになっちゃうんですと言われるのを言い値ベースで聞く必要はないというふうに、私は経験則からそういうふうに思っています。
 最後これ大臣に伺いたいのは、大臣もこういう情報開示については進めるべきだというふうに思いませんか。
○国務大臣(細野豪志君) 私も、これは一般論で申し上げるならば、企業を含めた情報開示というのはできるだけ徹底すべきという立場でございまして、そういった意味では水野委員と考え方を同じくするものであります。この実験動物に関しましては、議員立法の中でも、各党各会派、様々な御議論があったというふうに聞いております。
 既に環境省で平成十八年の四月に、いわゆる3R、もうよく御存じだと思いますので詳しく御説明は省かせていただきますが、そういう基準を定めておりますので、まずはこうした考え方を踏まえた中で適正にやられることをしっかりと進めてまいりたいと。その上で、次の段階で情報公開、どういった形があり得るのかという議論を進めてまいりたい、そのように考えております。
○水野賢一君 最後の質問にいたしますけれども、ちょっと法律から離れて恐縮なんですが、今大きい話題になっている原子力規制委員会ですね。これ、同意人事の提示を国会にしてきてもう一か月ぐらいがたつんですが、これは法律上、この附則二条で、国会がこの同意人事の提示をしてから十日以内に議決がない場合には、俗に言う緊急任命の規定もあるんですね、国会同意を受けなくても提示できるというか、任命できるという。
 これを発動するということも、新聞などでちょっとそういうことを模索していることも記事にあったりとかしますけど、こういうお考えというか、可能性はあるのかどうかお伺いして、私の質問を終わります。
○国務大臣(細野豪志君) 八月二十四日に人事案の閣議決定を行いました。この閣議決定に際しましては、原子力緊急事態がされている旨の文書というのを添えておりません。したがいまして、原子力規制委員会設置法附則第二条第三項にあります、国会への同意を求めてから十日以内に議決がない場合に、内閣総理大臣が委員長又は委員を任命することができる旨の規定を用いることはございません。
 政府としては、できるだけ早く御同意いただけるように、改めてお願いを申し上げたいと考えております。
○水野賢一君 終わります。
○市田忠義君 日本共産党の市田忠義です。
 今日は時間もありませんので、様々な団体から出されている要望、意見も踏まえて、端的に幾つか確認しておきたいことだけに絞りたいと思います。
 まず、犬や猫の子供を生後何日間親の元に置いておくかという問題であります。
 本法案では、動物愛護の観点から、本則に、出生後五十六日を経過しない子犬や子猫は親から引き離すことは禁じるということになりました。ただ、附則で、施行後三年間は出生後四十五日、その後は出生後四十九日とされています。本則の出生後五十六日を実施するためには、五年以内に行う環境省の科学的知見などの結果を待った上、新たに法改正をしなければなりません。
 確認しておきたいんですが、五年後の法改正では、本則の出生後五十六日、すなわち八週を目指すということなんでしょうか。
○国務大臣(細野豪志君) 今御指摘いただきました点につきましては、改正案の附則におきまして次のような規定がございます。マイクロチップを活用した調査研究の実施等による科学的知見の更なる充実を踏まえた理想的な引き離しの時期につきまして、社会一般への定着の度合いを勘案をする、そして、五年以内に犬猫の販売規制を五十六日齢とする時期を検討することとされております。
 これを踏まえまして、今後速やかに、理想的な引き離しの時期に関する調査研究であるとか、マイクロチップ等を活用した犬や猫の生年月日を証明させるための担保措置につきまして検討を開始をする予定をしております。これらの結果を踏まえまして、改正法の施行後五年をめどに法改正等の措置が講じられるものというふうに承知しております。
○市田忠義君 引渡し日数については、欧米では出生後五十六日が一般的ですし、国内でも、日本小動物獣医師会は同じ立場であります。国内外の学者や専門機関は、動物学の見地からいって、理想としては十ないし十二週齢、少なくとも九週齢までは親などから引き離してはならないと、こういう指摘もあります。業者の利益優先ではなくて、動物の命と健康、予防原則の立場からも、一日も早く本則の出生後五十六日を実現するように強調しておきたいと思います。
 次に、インターネット販売規制についてです。
 前回の改正で、販売業者が客に対して事前に説明文書を交付することが義務付けられましたが、インターネット販売については対象外でした。この間も、犬や猫などのインターネット販売、実際に売買される動物を確認できないということから、性格、特徴、人なれの程度が不明なまま売買されるということがありました。生育履歴及び病歴、健康状態が確認できずに、購入後すぐに死んだとか、注文した子犬と違う子犬が届いたと、こういうトラブルも大変多く存在しました。
 今度の法改正で、販売時における現物確認や書面による対面説明を義務化することになったわけですけれども、これで顧客の不安は解消されるということになるのか。いかがでしょう。
○政府参考人(伊藤哲夫君) 現在、特にインターネットを経由した動物の売買において、購入時に対面説明がなく、直接動物を確認しないことによりまして、想定していた動物と違うとか、購入した動物が想像以上に大きくなったとか、説明になかった病気や障害を有していると、こういったトラブルが生じていると承知しております。
 犬猫などの販売時に、販売業者に対し、動物の習性、あるいはその動物がどれくらい成長するか、親兄弟の病歴等について対面による説明を義務付け、インターネットを経由した売買であってもその動物を直接確認した上で購入すると、こういうことで、今回の法改正がなされれば、このようなトラブルが解消していくというふうに考えている次第でございます。
 環境省としましては、販売業者において対面説明、現物確認が徹底されるよう、業界や法を運用する自治体に対する周知徹底等を図ってまいりたいというふうに考えております。
○市田忠義君 次に、災害対応について聞きます。
 現行法には、災害時における動物の適正飼養、保管に対する条項がありません。改正案には、都道府県が策定する動物愛護推進計画にこの条項を追加して盛り込まれています。
 そこで確認しておきたいんですけれども、三・一一のあの東日本大震災の教訓からも、災害対策での避難計画の中にもペットの避難を位置付けることが必要だというふうに思うんですが、災害対策基本法の地域防災計画などとも整合性を図り、連携するということになっているのかどうか、この点について確認しておきたいと思います。
○政府参考人(伊藤哲夫君) 御指摘のとおり、今回の改正案では、都道府県が策定する動物愛護管理推進計画の中で、災害時における動物の適正な飼養及び保管を図るための施策に関する事項を入れるということを法定事項にしたわけでございます。これまでも環境大臣が定める基本方針等でそういったことは定めておったわけでございますけれども、今回は法定事項としてこれを定めるということになりますので、今後は、災害対策基本法に基づいて防災基本計画においても実は平成二十三年に改定されまして、その中で災害時における動物の管理が位置付けられているわけでございますけれども、今回の法改正を契機にそういった連携を密にしていきたいと、こういうふうに考えております。
○市田忠義君 東日本大震災で多くのペットも犠牲になったわけですけれども、災害に遭ったときにどうペットの命を守ればいいのか、福島では被災地に犬や猫が取り残されて餓死すると、そういう悲劇も起きました。そういうことが起きないようにするためにも、地域防災計画にペットの同行避難とか、こういう点も加えることを検討すべきだということを指摘しておきたいと思います。
 あと、動物実験問題ですけれども、動物実験問題については動物実験の3Rの原則、いわゆる苦痛の軽減、使用数の軽減、動物を使わない方法への置き換え、これは諸外国の法律や国際基準、指針等に反映されています。日本でも二〇〇五年の動物愛護管理法の改正で3Rの原則規定が盛り込まれました。3Rは実験動物の福祉にとっても動物実験の適正化にとっても欠かせない概念だと思うんですが、ただ、現状ではこれが理念だけにとどまっていて、更に具体的に担保、推進するための仕組みを検討する必要が私はあると思うんですが、この検討状況はどうなっておるか、時間がありませんから端的に、簡単で結構ですから。
○政府参考人(伊藤哲夫君) 今回様々な議論が行われて改正案になったというふうに承知しておりますが、環境省におきましては、先生御指摘のとおり、前回の動愛法の改正で3Rの考え方が明記されるとともに、実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準を環境大臣が作ると、こういうことになりまして、その基準を策定いたしました。
 これに基づきまして、実験動物施設を所管する各省庁あるいは日本学術会議が平成十八年六月に具体的な指針を作成しております。それぞれの実験動物施設は、それらの指針に基づいて実験動物の適切な取扱いに自主的に配慮をするということとなっている状況でございまして、環境省としましては、現在の自主管理の仕組みの一層の浸透を図り、その結果を踏まえた検証を行ってまいりたいというふうに考えております。
○市田忠義君 理念は盛り込まれているんですけど、やっぱり理念で終わるんじゃなくて、世界的には国際基準、指針等に基づいて行われているわけですから、日本としてもきちんとしたルールを定めて推進していく、そういう仕組みが必要だということを指摘しておきたいと思います。
 時間が来ましたので、あと一問だけ。
 都道府県等による犬猫の引取り問題について、確かに年々減少はしてきていますが、全国でまだ依然として二十万頭以上の犬猫が引き取られています。今回の法改正では、飼い主からの身勝手な言い分に対しても引き取る相当の理由がなければ拒否できると、こうされていますが、これで自治体が犬猫の引取りを拒否できるようになるのか、今でも引取りについて自治体間で大変温度差があって、愛護意識の低い自治体もあります。そういうところに、これ徹底できるのかどうか。
 要するに、聞きたいのは、これによって犬猫の殺処分数は劇的に減るのかと、その点はいかがでしょう。
○政府参考人(伊藤哲夫君) 御指摘のとおり、今回の法改正の非常に大きな柱の一つが、都道府県等が正当な理由があれば犬猫の引取りを拒否できると、こういう規定を追加したということでございます。
 これまでも動物愛護管理法の制定後、ほとんどの自治体において引取り数、殺処分数共に減少しているところでございますけれども、今回の措置は非常に大きな手段になるというふうに我々も考えております。更に殺処分が減るように努力してまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
○市田忠義君 終わります。
○亀井亜紀子君 みどりの風の亀井亜紀子でございます。
 まず初めに、マイクロチップについてお伺いをいたします。
 私は、この法案の第一の目的は、幼齢の犬猫を余り早いうちに親から引き離さないということであろうと理解をしておりましたが、この第五の、今日の趣旨説明でも、そのマイクロチップのところが妙に前のめりに聞こえるんですね。その装着を義務付けることに向けて検討というのは、例えばTPPへの参加に向けて検討というようなもので、何かこう、装着することを前提に議論しているような感じがして気になりました。
 それで、このマイクロチップの装着というのは、どのような経緯で今回法案に盛り込まれたんでしょうか。また、装着を義務付ける必要はないと思うんですね。飼い主の選択でいいんじゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。また、このマイクロチップを生産しているメーカーはどのような会社があるのでしょうか。お答えください。
○衆議院議員(田島一成君) 御質問ありがとうございます。
 今回のこの改正法案、民主、自民、そして国民の生活、公明の四党の実務者で協議を進めてきたところでございますが、その中でマイクロチップの装着について協議をしてきたところであります。
 メリットという点につきましては、この間の東日本大震災でも、やはり迷い犬、誰が所有者か分からないというような問題もあり、所有者に返還を容易にするということでありますとか、今回の週齢規制にも関連いたしますけれども、幼齢個体の販売制限でありますとか、それの実効性を確保していくという点では、そのマイクロチップに生年月日のデータ等々を入れられるという点で非常に有効性を発揮するだろうと。
 加えまして、所管はこれ厚生労働省になりますけれども、狂犬病の予防であるとか蔓延の防止等々に寄与するというような点からのメリットを認識をしてきたところでもございます。
 しかしながら、今、マイクロチップの普及率と申し上げますと、実は僅か二、三%の非常に低い状況にもありますし、マイクロチップに関連付けられる情報を管理する体制自体も十分だとはとても言えるような状況にはございません。
 したがいまして、今回慌てて一気に義務化をしようとか、装着を義務化しようというようなところまではまいりませずに、五年間は、例えばマイクロチップ自体も、メーカー、後で申し上げますけれども、五社ほどが日本に入ってきているんですけれども、その規格もばらばらです。そして、大きさも今だんだんと小型化されていますし、価格も低価格化の方向に来ております。こういった動向、技術開発等々をしっかりと見極めた上で、五年後の義務化に向けた検討をしましょうというような書きぶりにさせていただいたところでございます。
 なお、メーカーにつきましては、残念ながら日本のメーカーは一社もございません。スイスのデータマース社でありますとか、アメリカのアビッド社、そしてデジタルエンジェル社といったようなところが製造をし、日本の輸入会社、販売会社を経由して、各獣医師の下でマイクロチップを装着しているというような状況になっています。
○亀井亜紀子君 何だか海外のメーカー主導のように聞こえるんですよね。これ導入したときに、例えば読み取りの機械ですとか、お金が掛かる話ですから、国がもしこれにかかわるとしたら、そういう開発費も掛かりますし、そう簡単じゃないと思うんですよね。
 このマイクロチップの装着の対象としては、これは取りあえずペットショップで扱う犬猫ということで、誰かの家で生まれた犬をもらってくる、そういう犬猫は対象になっていないと考えてよろしいでしょうか。
○衆議院議員(田島一成君) 今御指摘いただきましたとおり、まずはペットショップ等々で販売に供される犬猫を対象としております。
 各家庭で生まれた犬猫については、今回は対象からは外しておりますけれども、将来的には、またその時々の適切な判断によってなされるものというふうには承知をしておりますが、まずは販売用の犬猫のマイクロチップの装着ということで考えさせていただいております。
○亀井亜紀子君 ペットショップで扱う犬猫についても、取りあえず飼い主の選択に任せていいと思うんですよね、私は。
 なぜこんなに私がこれを気にしているかといいますと、以前ちょっと耳にしたことがあるのが、これ、マイクロチップを作っている会社にとってみれば、売れれば売れるほどいいわけですよね。初めに犬猫で始めて、その後でいわゆる徘回する老人に導入していこうと考えているんじゃないかというようなことをちょっと耳にしたことがあって、気持ち悪いと思ったんですね。まさかそんなことはないと思いますけれども、ただ、こういうものは体に埋め込むものなので、やはり選択制にした方がいいと思って、ちょっとこだわって伺いました。
 次の質問ですけれども、以前、この委員会でデザイン鑑札について私、伺ったことがあります。
 保健所で殺処分される犬猫の中で、捨てられたものは仕方ないんですけれども、そうではなくて、鑑札を付けていないために迷った犬猫が飼い主に戻れずに殺処分されてしまうことが往々にしてあるので、これを防ぐ活動をしている市民グループがあるんですね。自治体の基準の鑑札ですと、小型犬に対して大き過ぎたり、あるいは全然デザイン性がなくて皆外したがるので、もう少しおしゃれなデザイン鑑札であればアクセサリーのように付けてもらえるかもしれない。その活動をしている人たちがいるので、どの程度進んでいますかという質問をしたことがあるんですけど、以前の質問以降、どの程度普及いたしましたでしょうか。
○政府参考人(外山千也君) 鑑札につきましては、平成十九年四月から文字の大きさ等の一定の要件を満たせば市町村ごとに自由な様式とすることを可能としたところでございます。
 平成二十三年十二月の時点での状況を調べましたところ、全市町村の約四割に当たる七百八市町村が独自のデザインを取り入れておりまして、平成二十二年四月の前回調査時より約二百市町村増加しているところでございます。
○亀井亜紀子君 以上のように、市町村が以前よりは積極的に取り組むようになって、このデザイン鑑札というのも普及してきておりますので、そのデザイン鑑札とのバランスでマイクロチップ、慎重に検討していただきたいと思います。
 次に、犬猫の殺処分数について、過去三年間の都道府県ワーストスリーについて伺いたいと思います。以前、この中に島根県が入ったことがありまして、それがきっかけでデザイン鑑札の普及活動が進みましたので、最近の状況についてお伺いいたします。
 あと、もう一つ続けて次の質問もしてしまいます。
 この委員会で小笠原諸島に視察に行きました。そのときに、生態系を荒らす野猫の捕獲活動をされているグループがありましたけれども、その後、この野猫の捕獲、東京の獣医師会にお願いして引き取っていただいていますが、その進捗状況について教えてください。
○政府参考人(伊藤哲夫君) まず、犬猫の殺処分数について自治体にアンケートした結果によれば、犬猫合わせた殺処分数の多い都道府県を順に挙げますと、過去三年間でございますけれども、平成二十年で最も多かったのは沖縄県の一万三十四頭、次に千葉県の九千九百四十三頭、茨城県の九千二十八頭でございました。二十一年度は、千葉県の八千三百九頭、沖縄県八千百四十四頭、茨城県七千二百二十八頭。平成二十二年度は、沖縄県が七千四百五十一頭、千葉県六千七百八十五頭、茨城県六千三百四十六頭。順次減ってはございますけれども、一応こういうふうな状況でございます。
 それから、小笠原の野猫対策の進捗状況でございますけれども、昨年六月に世界自然遺産に登録された小笠原諸島では、アカガシラカラスバト等の希少な鳥類が野猫による食害を受けているということから、環境省では、野猫の対策事業を平成十七年から関係機関とともに開始しているところでございます。
 これまでの野猫の捕獲作業の結果、父島及び母島以外の島では野猫の排除が確認された、もう野猫はいないという状況になりました。父島及び母島では引き続き野猫の捕獲や進入防止柵の設置を進めており、父島では野猫の捕獲数やモニタリングカメラに撮影される件数が非常に低下しているということ、また、母島では南崎において十年ぶりにオナガミズナギドリの繁殖が確認されているなど、一定の効果を上げてきているんではないかというふうに認識しております。
 世界自然遺産である小笠原諸島の価値が失われないよう、野猫対策を含めた生態系保全のための事業を引き続き推進してまいりたいというふうに考えております。
○亀井亜紀子君 ありがとうございます。
 殺処分数に関しては沖縄の数字が悪いということがよく分かりました。
 それから、小笠原について、視察をしたときに、一匹残らず捕まえないと繁殖してしまうということでしたので、随分大変な作業だと思って気になっていたので質問いたしました。
 ありがとうございました。以上です。
○平山誠君 新党大地・真民主の平山誠です。
 今回、人の生活と身近なかかわり合いを規制するこの動物愛護管理法改正案が本日午前、衆議院から送られてきて、参議院環境委員会で午後からこのような一気通貫で説明から採決まで行われようとしていることは、私は大変残念だと思っています。たとえ衆議院で委員長提案であったとしても、審議日数を確保して、参議院としてきっちりと審議をすべきだと私は考えます。委員長、各理事、各委員の方々に、今後このようなことがないようお願い申し上げます。
○委員長(松村祥史君) 後刻理事会で協議させていただきます。
○平山誠君 私は思うんですよ。今後、委員長提案が来たら、今日質問しない政党は質問しないでくださいね。私たちの少数野党の質問時間が今後長くなりますので、そのような形でお願いします。
 何か最近、政府や与党、そして幾つかの野党の国会の進め方が、私はいかがかなと思うことがたくさんあるんですよ。それで、本質問の前にちょっと大臣にお伺いしたいんですが、先日報道で、鹿児島県の南大隅町に東京電力福島原発で汚染された放射性の除染の土壌を、最終処分を南大隅町に水面下で決めたというような報道がありましたが、この件につきまして、どのようなことでしょうか。
○国務大臣(細野豪志君) 福島県の除染を進めるという意味で中間貯蔵施設を整備しておりまして、最終的にそれをしっかりと減容化をした上で最終処分をしていく、その場所が必要であるというのは、これは紛れもない事実であります。
 ただ、その最終処分場の在り方について南大隅町に打診をしたという事実はございません。
○平山誠君 これはあくまでも報道ベースですけれども、大臣も否定はしていないという言葉が報道に出たり、環境省の幹部も取材に対して、地元の調整を進めているということが出たり、政府関係者には南大隅町は唯一にして最大の最終処分地候補だと言っているとか、六ケ所村と同じように、もう港を造って進めなければいけないというような報道がされているんですよ。このようなことが報道されるという、やはり不用意な発言が、政府か若しくは与党関係者、若しくは環境省の中で多いんじゃないでしょうか。要するに、住民が急に聞かされるというような、不安を増大するような不用意な発言は今後改めるべきではないかと思いますが、もう一言だけ。
○国務大臣(細野豪志君) いろんな報道がありますので、その一つ一つについてこうだとかああだとかと言うことはできるだけ控えたいと、それはメディアの皆さんもいろんなことを調べて情報を得てやっておられるわけですので、そのことについての具体的なコメントはできるだけ差し控えたいと思っておりまして、御理解を賜れればと思います。
○平山誠君 規制委員会しかり、規制委員会の人事しかり、今、政府・与党と幾つかの政党は何か密室主義、やはり一つ一つが、プロセスをオープンにしていく、プロセスを透明化していくということが今与党に問われていることじゃないかと私は思います。
 では、本案の質問をさせていただきます。
 一部の安易な飼い主の飼育放棄が絶えないということで、今回、このような改正の中に、所有者の責務であるとか都道府県の引取りを求める、拒否できることとかが載っていますけれども、先ほど来、実験動物のこともいろいろと、マイクロチップのこともいろいろとほかの委員の方が聞きましたので、私は違う観点から質問させていただきたいんですけれども。
 やはり殺処分という、同じ地球に生きる小さな動物の命を守るというところで、殺処分というところで、本当に一部の安易な飼い主が飼育放棄するということで、今回のこの法案には間に合わないでしょうけれども、そういう一部の安易な飼い主をちょっと少なくするために飼い主への罰則というようなことを提案者の方にお伺いしたいんですが、今後、次の改正のときにもお考えとか、そういう案は上がったんでしょうか。
○衆議院議員(田島一成君) 動物の遺棄等につきましては、これは、取扱業者やまた飼い主にかかわらず、やはり厳格に処罰されるべきものということで、今回罰則の見直し等々もさせていただきました。
 今委員御指摘いただきましたとおり、動物の遺棄は、心ない飼い主の問題だけではなく、あらゆる愛護動物にかかわる方々のやはり広い問題でありますので、それは主体が誰であろうとも、今御指摘いただいた殺処分をもう限りなくゼロに近づけていきたいという、そういう気持ちで、今回、あたう限りの工夫をこの法案の中にも盛り込ませていただきました。
 そして、消費者サイドにあっても、とにかく小さく、犬がかわいいんだというような、そういう風潮を、例えばテレビのCM等々で今流されている、それによって、大きな犬よりもとにかく小さな犬をということで、幼齢個体が販売、流通に乗っていっているというような実態もやはり問題視をしているところであります。
 一時の気まぐれだけで命をないがしろにすることに対しては大変厳しい思いを私どもも持っておりますので、これから向こう五年間、新しくできる法律の下でどのような状況になっていくかをしっかり見極めて次の改正に当たれればというふうに思っておるところです。
○平山誠君 交通違反等でいえば、シートベルトにしても、やはり反則金が付いて、みんな命を守るためにシートベルトを皆さんし出して、交通事故の犠牲者が少なくなったという、防止されたこともありますので、安易な飼い主についてはやっぱり厳しい態度、そして、かわいがっている皆さんにはもっと優しい法律にしていかなければいけないと思います。
 そしてもう一つ、ちょっと大臣にお願いというか、お聞きしたいことがあるんですが、私が最近知り合った方で、北海道の石狩でわんわん救助隊という、百八十匹ぐらいのわんちゃんを引き取って飼っている方がいるんですよ。その方は、でも、周りの方々からやめてくれと。今、その数を減らすのに、百一匹ぐらいに減らそうという努力はしていただいているんですが、それは一つは、その方がいなくなると、その百八十匹のわんちゃんが野犬になるんじゃないか、そして、臭いとか臭くないとかってたくさん言われているんですけれども、その方は自分の土地にちゃんと牧場のようにして育てているんですよ。
 そういう方々があって、先ほどのお話から、行政の努力、そして民間の方々、また動物愛護団体の方々の努力で犬猫の殺処分数は二十一万匹と年々減っていますけれども、先ほど提案者の方が申し上げた、ゼロを目指すと、地球で生きる命の、ゼロを目指すためには、やはり行政に、補助制度はありますけれども、やはり民間団体に、民間の人たちが動物を飼って、優しく育て上げる、そしてその方が亡くなっても、次の方が所長さんでまた来る、次の方が所長さんで来ると、そういうボランティアの方々に助成するような法案というのは、大臣、できないんでしょうか。
○国務大臣(細野豪志君) いろんな御提案を、そうした動物を大事にしようということで頑張っておられる方々からいただいておりまして、その一部が今回反映をされたという形になっております。
 今、平山委員が言われたような、たくさん飼っておられる場合も、いろんな御意見がいろいろありまして、そういったことについてどのように対応するのかということについては、いろんな課題もやはりあるのかなというふうに思っております。
 いずれにしても、そうした犬猫が殺処分されないような、例えばいろんな引渡しであるとかそういうマッチングであるとか、そういったことは極めて重要でありまして、そうしたことの充実もこの法案の中に入っておりますので、しっかりとやってまいりたいと考えております。
○平山誠君 問題はやっぱり、でもお金なんですよ。そういう方々に援助してあげることが殺処分ゼロに向けての努力だと思います。
 やはり地球に生きる生物の命は、小さい大きいなく同等です。尊いものです。この法案が改正されることによって殺処分が減ることを望みまして、質問を終わります。
○委員長(松村祥史君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(松村祥史君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、北川君から発言を求められておりますので、これを許します。北川イッセイ君。
○北川イッセイ君 私は、ただいま可決されました動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会、自由民主党・たちあがれ日本・無所属の会、公明党、国民の生活が第一、日本共産党及び新党大地・真民主の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、動物の愛護及び管理の一層の推進が人と動物の共生する社会の実現に不可欠であることに鑑み、本法を施行するに当たっては、次の事項に留意し、その運用について万全を期すべきである。
 一、動物取扱業者による不適正な飼養・保管及び販売が後を絶たない現状に鑑み、動物取扱業者に対する立入検査を積極的に行い、必要があれば勧告、改善命令、措置命令及び取消し等の行政処分並びに刑事告発も適切に行うよう、関係地方自治体を指導すること。
 二、第二種動物取扱業の導入に当たっては、不適正飼養が疑われる一部の動物愛護団体の施設への立入検査等を着実に行う一方で、犬猫の殺処分頭数の減少に寄与している多くの動物愛護団体の活動に影響を及ぼさないよう配慮すること。また、地方自治体の判断で動物愛護団体を届出の対象外とする場合には、団体によって不公平な取扱いとならないよう明確な基準等を基に審査を行い、客観性を十分に担保することを地方自治体に徹底させること。
 三、マイクロチップを装着させるために必要な規制の在り方については、狂犬病予防法における登録率及び予防注射の接種率の向上に一定の効果が想定されることを踏まえ、同法との連携強化を図りつつ、これを早急に検討すること。なお、マイクロチップの規格及びデータベースで混乱を来たさないよう、官民協働により早期の統一化を目指すこと。
 四、動物看護師(仮称)については、本法の改正に伴い業務量が増大することが予想される獣医師の補助者として果たすべき重大な役割及び責任に鑑み、資格要件の基準の策定及び技術向上に向けた環境の整備等を関係府省間で十分な連携を図りながら行うとともに、将来的な国家資格又は免許制度の創設に向けた検討を行うこと。また、動物看護師を含む動物取扱責任者の資格要件についても早急に整理すること。
 五、動物の死体については、我が国の伝統的な動物観や近年における動物愛護の精神の浸透を踏まえて取り扱うよう努めること。また、動物葬祭業に対する法規制の在り方についても、火葬・埋葬施設等の需要の拡大とともに問題事案が増加する中で一部の地方自治体が条例で規制を行っている現状に鑑み、動物の生命尊重を目的の一つに掲げる本法の中に組み入れる選択肢も含めて早急に検討を行い、必要な措置を講ずること。
 六、犬猫の引取り数の減少が殺処分頭数の減少に寄与することに鑑み、引取りの要件を厳格化し、引取りを繰り返し求める者や不妊去勢手術を怠ってみだりに繁殖させた者からの引取りを拒否できるようにするなど、引取り数の更なる減少を目指すこと。また、飼い主の所有権放棄により引き取られた犬猫も譲渡対象とし、インターネットの活用等により譲渡の機会を増やすこと等を通じて、殺処分頭数をゼロに近付けることを目指して最大限尽力するよう、各地方自治体を指導すること。
 七、実験動物の取扱いに係る法制度の検討に際しては、関係者による自主管理の取組及び関係府省による実態把握の取組を踏まえつつ、国際的な規制の動向や科学的知見に関する情報の収集に努めること。また、関係府省との連携を図りつつ、3R(代替法の選択、使用数の削減、苦痛の軽減)の実効性の強化等により、実験動物の福祉の実現に努めること。
 八、飼い主のいない猫に不妊去勢手術を施して地域住民の合意の下に管理する地域猫対策は、猫に係る苦情件数の低減及び猫の引取り頭数の減少に効果があることに鑑み、官民挙げて一層の推進を図ること。なお、駆除目的に捕獲された飼い主のいない猫の引取りは動物愛護の観点から原則として認められないが、やむを得ず引き取る際には、猫の所有者又は占有者を確認しつつ関係者の意向も踏まえた上で、引取り後に譲渡の機会が得られるよう最大限努めるよう、各地方自治体を指導すること。
 九、動物愛護推進員の多寡が東日本大震災における被災動物への対応に大きな差異をもたらした教訓を踏まえ、現在は未委嘱の地方自治体に対して推進員の早急な委嘱を促すこと。なお、委嘱に際しては、動物愛護管理に係る施策の担い手となり得る獣医系大学又は動物専門学校等の卒業生も積極的に活用することを推奨するとともに、動物愛護推進員が動物取扱業者等による不適正飼養等の事案に積極的に関与できるようにすること。
 十、被災動物への対応については、東日本大震災の経験を踏まえて、動物愛護管理推進計画に加えて地域防災計画にも明記するよう都道府県に働きかけること。また、牛や豚等の産業動物についても、災害時においてもできるだけ生存の機会を与えるよう尽力し、止むを得ない場合を除いては殺処分を行わないよう努めること。
 十一、犬猫等収容施設の拡充、飼い主のいない猫の不妊去勢手術の促進、動物愛護推進員の活動の強化等動物愛護管理に係る諸施策を着実に実施するため、地方自治体に対する財政面での支援を拡充すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(松村祥史君) ただいま北川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(松村祥史君) 全会一致と認めます。よって、北川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、細野環境大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。細野豪志環境大臣。
○国務大臣(細野豪志君) ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして努力してまいる所存でございます。
○委員長(松村祥史君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松村祥史君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二分散会

 
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