2012年動愛法改正:衆議院会議録 環境委員会第12号

3回目の動物愛護法改正についてまとめページ

2018年の動物愛護法改正法案が衆議院を通過した際の記録です。国会閉会が迫っており午前中に衆議院の環境委員会で採択され、午後に参議院に回りました。参議院では質疑がありました。全文を転載します。

 


平成二十四年八月二十八日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員
   委員長 生方 幸夫君
   理事 大谷 信盛君 理事 川越 孝洋君
   理事 近藤 昭一君 理事 矢崎 公二君
   理事 田中 和徳君 理事 吉野 正芳君
   理事 横山 北斗君 理事 江田 康幸君
      網屋 信介君    工藤 仁美君
      篠原  孝君    空本 誠喜君
      田島 一成君    田名部匡代君
      高山 智司君    玉置 公良君
      三浦のぼる君    横光 克彦君
      吉川 政重君    井上 信治君
      北村 茂男君    近藤三津枝君
      丹羽 秀樹君    福井  照君
      古川 禎久君    町村 信孝君
      岡本 英子君   斎藤やすのり君
      佐藤ゆうこ君

    …………………………………

   環境大臣         細野 豪志君
   環境副大臣        横光 克彦君
   環境大臣政務官      高山 智司君
   環境委員会専門員     高梨 金也君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月二十八日

 辞任         補欠選任
  柿沼 正明君     網屋 信介君
  山花 郁夫君     田名部匡代君
  岸田 文雄君     北村 茂男君
  斎藤やすのり君    岡本 英子君
同日
 辞任         補欠選任
  網屋 信介君     柿沼 正明君
  田名部匡代君     山花 郁夫君
  北村 茂男君     岸田 文雄君
  岡本 英子君     斎藤やすのり君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 環境の基本施策に関する件
 動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案起草の件
 動物の愛護及び管理の推進に関する件

     ――――◇―――――

生方委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、近藤昭一君外五名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、国民の生活が第一・きづな及び公明党の共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおり、動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。近藤昭一君。

近藤(昭)委員 提案者を代表して、趣旨説明をさせていただきます。

 動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案起草の件趣旨説明。

 動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案の起草案につきまして、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、国民の生活が第一・きづな及び公明党を代表して、その趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 我々人類は、有史以来、数多くの種類の動物たちを、日々の糧としての利用はもちろんのこと、荷物の運搬や田畑の耕作等の労力、衣類を初めとする多種多様な製品の原材料、研究開発や創薬等の科学上の利用など、実にさまざまな用途に利用する一方で、伴侶、心の友として一緒に暮らすなど、動物たちと物質的、精神的なつながりを持つことにより、現代に至る文明を築いてまいりました。

 動物は、人間と同様に生命を持ち苦痛を感じる存在であり、尊厳を持って取り扱われるべきである反面、動物が人の生命、身体または財産に影響を及ぼすおそれがあることから、動物の適切な管理も同時に求められております。

 このような動物の適切な取り扱いについて規定する動物の愛護及び管理に関する法律は、昭和四十八年に議員立法で制定された後、平成十一年及び十七年に同じく議員立法で改正され、現在に至っております。過去二回の改正により、ブリーダーやペットショップに代表される動物取扱業について届け出制から登録制へ引き上げられるとともに、罰則が強化されるなど、規制が強化されてまいりました。

 近年、ペット市場の拡大と多様化が進む一方で、劣悪な飼育環境での多頭飼育や幼齢動物の販売等に代表される動物取扱業者の不適正飼養の問題が顕在化し、動物の福祉の観点から一層の動物の適正飼養の確保が求められる中、動物取扱業の適正化に対する国民の要望も高まってきているところであります。

 また、行政や動物愛護団体等による長年の努力の結果、保健所等における犬及び猫の殺処分頭数も、昭和四十九年の約百二十万頭から平成二十二年には約二十一万頭にまで減少いたしました。しかし、都道府県等は、犬猫販売業者や何度も持ち込むリピーターからの引き取りを拒否できず、依然として多くの犬猫が殺処分されていること等から、我が国全体で殺処分ゼロを目標に据えて、官民挙げたさらなる努力が望まれているところであります。

 さらに、昨年三月十一日に発生した東日本大震災とそれに伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故により、ペットや家畜の多くが適切に救護されず犠牲となりました。今後は、このような事態を未然に防ぐためにも、国や自治体等は、被災動物への救援体制を早急に構築していくことが求められております。

 このような最近の動物の愛護及び管理に関する状況に鑑み、動物取扱業の適正化並びに動物の適正な飼養及び保管を図る必要があることから、本起草案を得た次第であります。

 次に、本起草案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、現行の動物取扱業を第一種動物取扱業とし、第一種動物取扱業者のうち犬、猫の繁殖業者は、出生後五十六日を経過しない犬または猫を販売のためまたは販売の用に供するために引き渡しまたは展示をしてはならないものとしております。なお、この出生後の期間について、施行日から起算して三年を経過する日までの間は四十五日と、その後別に法律で定める日までの間は四十九日と読みかえる経過措置を設けることとしております。

 第二に、第一種動物取扱業の登録を受けるべき者及びその取り扱おうとする動物の数が環境省令で定める数に満たない者を除く一定の飼養施設を設置して動物の譲渡等を業として行おうとする第二種動物取扱業者は、都道府県等が犬または猫の引き取り等を行う場合等を除き、飼養施設を設置する場所ごとに、飼養施設の所在地等を都道府県知事に届け出なければならないこととしております。

 第三に、動物の所有者について、できる限り、その所有する動物がその命を終えるまで適切に飼養する終生飼養の責務を追加するとともに、都道府県等は、犬猫等販売業者から犬または猫の引き取りを求められた場合その他の終生飼養の責務の趣旨に照らして引き取りを求める相当の事由がないと認められる場合には、その引き取りを拒否できることとし、また、都道府県知事等は、引き取りを行った犬または猫について、殺処分がなくなることを目指して、所有者への返還及び飼養希望者への譲渡に努めることとしております。

 第四に、都道府県は、動物愛護管理推進計画に、災害時における動物の適正な飼養及び保管を図るための施策に関する事項を定めるものとし、また、都道府県知事等が委嘱する動物愛護推進員の活動として、災害時における国または都道府県等が行う動物の避難、保護等に関する施策に必要な協力をすることを追加することとしております。

 第五に、国は、犬、猫等が装着すべきマイクロチップについて、その装着を義務づけることに向けて研究開発の推進及び普及啓発等のために必要な施策を講ずるものとし、その施策の効果、マイクロチップの装着率の状況等を勘案し、その装着を義務づけることに向けて検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずることとしております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。

 何とぞ速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

 動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

生方委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。田島一成君。

田島(一)委員 ただいま趣旨説明がございました動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、民主党・無所属クラブを代表して発言させていただきます。

 二年前から政府の中央環境審議会で検討を始めていただき、各党で議論が重ねられてきたこの動物愛護法の見直しにつきましては、自民、公明、国民生活、そして我々民主党の実務協議を経て合意に至り、今回も委員長提案という形で改正案が提出できました。改めて、御協力をいただきました皆様に心から感謝を申し上げます。

 今後は、本改正案の運用に当たって実効性をどう担保していくかが重要であります。また、今回の法改正の中に盛り込めなかった課題を、次回の見直しまでにしっかり議論をつないでいくことも重要であります。

 以下、私の期待する点を何点か述べさせていただきたいと思います。

 まず、本法律案に、犬猫の繁殖業者による出生後五十六日未満の犬猫の販売のための引き渡し等を、所要の経過措置を設けた上で禁止していくことを盛り込みました。今後、マイクロチップの普及促進等によるトレーサビリティーの確保が課題となりますが、週齢規制は、単に繁殖、販売業者側だけの問題ではなく、小さいほどかわいいとする風潮を生み出す消費者側の意識にも問題があります。その意味でも、科学的知見のさらなる充実とあわせて、犬猫、幼齢動物についての考えを深めて、国民生活の意識啓発を図ることで実効性を担保しなければなりません。

 本法案の基本原則に、何人も、動物を取り扱う場合の適切な給餌、給水、飼養環境の確保が、また、動物の所有者の責務として、終生飼養や適正な繁殖に係る努力義務を盛り込みました。

 週齢規制を厳しくしても、繁殖や飼育の環境そのものが劣悪であってはなりません。本法律案の運用に当たっては、ブリーダー等、適正な飼育管理を遵守させる環境づくりについても強く求めたいと思います。

 また、実験動物の取り扱いについては、実験動物施設の届け出制を既に実施をしている兵庫県の条例並みに導入できないか、配慮事項となっている代替法の活用と使用数削減について義務化できないか、党内ででも検討を重ねてまいりましたが、実験関係者等から施設の情報開示による損害や生命科学研究発展への障害が生じるといった懸念も示され、今回は、残念ながら改正事項からは見送ることとなりました。

 しかし、こうした実験動物の適正な取り扱いに向けた法制度のあり方の検討については、研究機関や事業者等による自主的な改善努力を図る一方で、実験動物の逸走による危害発生防止など災害時対策の必要性もあり、関係府省との連携を図りつつ、不断の検討を行うべきと考えます。

 今回の法改正を目指すべき姿に近づけるためには、法令整備だけではなく、それを支える動物看護師や動物愛護推進員等の人材育成と活躍の場の提供、技術の普及を初めとする体制の構築で実効性を担保していくことが不可欠です。

 そのためにも、環境省がリーダーシップをフルに発揮して、省庁間の壁を越え、民間事業者、地方自治体等とも緊密な連携を図りながら、動物愛護管理政策を推進していくことを切に期待をしております。我々民主党も、そのための協力や努力は惜しみません。

 最後に、このたびの法改正が、命あるものである動物の適正な飼養に関しての理解を深め、真の人と動物の共生する社会の実現に向けてしっかりとした力強い一歩となるように祈念をするとともに、御参集の委員各位の御賛同を心よりお願いを申し上げて、私の発言とさせていただきます。

 ありがとうございました。

生方委員長 次に、吉野正芳君。

吉野委員 自由民主党の吉野正芳です。

 議員立法で制定された動愛法が、七年ぶりに三回目の改正を迎える運びとなります。我が自民党の先輩議員である北村直人先生初め多くの先輩議員が汗を流し、アニマルウエルフェアの精神で制定されましたが、今回、四党合意がまとまり、こうして委員長提案で審議できますこと、大変うれしく思います。

 我が自民党環境部会においても、これまで、改正に向けて九回の会合を持ち、いろいろな団体からヒアリングをし、さらには、動物愛護に関心の深い方々と勉強を重ねてまいりました。

 とりわけ、我が党では、動物に戸籍をつくろう、すなわち、マイクロチップを装着して一匹一匹のデータをわかるようにしようとする議論がなされました。四党協議の中でこの点に理解が得られ、合意形成ができたことについて感謝を申し上げたいと思います。

 今回の改正で一番関心を集めたと思われるのは八週齢の問題でありましたが、これについても、今の日本には科学的知見が少なく、次の改正まで環境省に予算措置をして、より多くのデータを収集し、広く科学的知見を得られるようにしたのは、いわゆる大人の解決で、大変よかったと思います。

 また、今回の改正案第七条第四項で、動物を飼っている者の責務として、当該動物が命を終えるまで適切に飼養することに努めねばならないとしたことは、動物を飼う者が興味がなくなれば捨ててしまうということに対して、明確に警鐘を鳴らした点が評価されると思います。

 最後に、今回の大震災の教訓として、災害時の対応が動物愛護管理推進計画に追加され、動物愛護推進員の活動にも追加されたこと、また、牛や豚などの産業動物に生存の機会を与えるよう附帯決議案に盛り込まれたことも大変よかったと思います。

 以上、意見を述べさせていただきました。

生方委員長 次に、岡本英子君。

岡本(英)委員 私は、国民の生活が第一・きづなを代表しまして、動物愛護管理法の改正につきまして意見を表明させていただきます。

 今回、多くの皆様の悲願である動愛法の改正が多くの方々の御尽力により実現に至ることに、長年この問題に取り組んできた者として、心から感謝を申し上げます。

 ところで、今回の法改正に際し最重点課題の一つは、これまで手つかずであった実験動物の適切な取り扱いに関する規定の充実強化でした。当初は、この実験動物を取り扱う施設を届け出制にし、スリーRも義務化をするという改正案をつくろうとの動きもありましたが、結果としては盛り込まれませんでした。

 届け出制を導入するだけで実験に大きな支障があるのでしょうか。法制度が整わずに世界の潮流に取り残されることこそ、まさにライフイノベーションの国家戦略を阻害するものだと私は思います。将来に禍根を残すことのないような取り組みが今後は必要であると思います。

 今回の改正に際してもう一つの重点課題は、八週齢規制の問題でした。諸外国の法律では八週齢規制が長く運用されており、その必要性については議論の余地がないにもかかわらず、八週齢の導入に反対の意見が寄せられました。店頭に並ぶ子犬、子猫が全て八週齢以上ならば、条件は同じであるのにもかかわらず、どうして競争に負けるのでしょうか。生年月日をごまかす問題と議論をすりかえていたように思います。

 八週齢という数値は、問題行動を引き起こす犬や猫をふやさないためにも極めて重要です。今回は、本則で八週齢規制が規定された点では一歩前進ですが、改正法施行から三年間は四十五日規制とされるなどの経過措置が設けられており、不十分さが残ってしまいました。本則の八週齢が一刻も早く適用できるよう、売る側にも買う側にもその必要性を訴え続けていくことが必要です。

 犬猫の殺処分に関しては、自治体が、一定の条件の場合、犬猫の引き取りを拒否できる規定と、引き取られた犬猫の返還、譲渡に関する規定が新たに設けられました。

 また、この殺処分ゼロを目指す画期的な規定も盛り込まれました。これまでの自治体による殺処分減少に向けた努力は評価ができますが、今後は、この殺処分ゼロを目指す強い姿勢が求められてくると思います。

 次に、東日本大震災では、多くのペットや家畜が津波や餓死によりとうとい命を落としました。今回の改正では、二度とこうした事態を起こさないような抜本的対策が期待されましたが、動物愛護管理推進計画と動物愛護推進員の規定の修正にとどまりました。

 動物の命を守ることは、我々人間の命を守ることと直結をしています。新潟県中越地震の際には、避難所に入れなかった犬の飼い主がエコノミークラス症候群で亡くなりました。この教訓をどうやって後世に伝えるかは、我々政治家に課された使命でもあります。

 災害時には原則としてペットと一緒に同行避難できるよう動愛法に明記することが必要であり、近いうちに来ると言われている首都直下型地震や東海地震等に備え、被災動物への対応に向けた法制度の取り組み、そして、その法制度のつくり方、しっかりと議論を急がれますことを願っています。

 そして、最後には、今回の改正で前回改正時の多くの課題に対処すべく最大限の努力をしてまいりましたが、残念ながら、それら全ての解決には至りませんでした。今後も絶え間なく議論等がされていく必要性を強く訴え、私の発言とさせていただきます。

 ありがとうございました。

生方委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 今回、動物愛護管理法の改正に際して、公明党を代表して意見表明をさせていただきます。

 今回の動物愛護管理法の改正は、前回、平成十七年の改正以降、各方面から寄せられた多種多様な御意見を踏まえて、一昨年から、中央環境審議会における議論に始まり、公明党を初め、与野党間における九回にわたる熱心な協議を経て改正案が取りまとめられたものでありまして、関係各位の皆様の努力に敬意を表したいと思います。

 今回の改正案では、第一種動物取扱業について、特に、犬や猫を扱うブリーダー等における幼齢個体の扱いが問題視されているところでありますが、新たに犬猫等販売業者に対して犬猫等健康安全計画の策定を義務づけたものであり、これにより、ブリーダー等における犬猫の飼養環境の改善が期待されます。

 特に、幼齢動物の販売に関する日齢規制については、五十六日を経過しない犬猫の販売を禁止するに当たり、その科学的知見の充実と、それについての国民及びペット業界への十分な浸透が重要であるところでありますが、政府は、その科学的知見の確立に向けて、調査研究を早急に進めてもらうことを要望いたします。

 次に、都道府県等による犬猫の引き取りに関しては、取扱業者からの引き取りと一部の引き取りを拒否することと、引き取った後の動物の譲渡等を進めることが、殺処分ゼロに向けて非常に重要であります。殺処分がなくなることを目指すと明記された本改正案は、この趣旨にのっとるものであり、高く評価したいと思います。

 犬猫の引き取りに関しては、自治体によって対応に違いがあるところでありますが、例えば私の地元の熊本市においては、引き取り時の指導及び積極的な譲渡活動により、殺処分数をゼロに近づけております。

 このような施策を推進するためには、地方自治体に対し十分な財政支援がなされることを強く求めるものであります。

 実験動物の取り扱いについては、前回改正の後に環境省が策定した基準を踏まえ、文部科学省、厚生労働省、農林水産省がそれぞれの基本指針を、日本学術会議がガイドラインを策定し、各事業者内での規定の策定、情報公開や外部検証等による自主管理の取り組みが進められているところであります。

 実験動物の適正な飼養のためには、まず、これらの取り組みを徹底させてその状況を検証することが重要であり、関係各省の連携により、実態把握、スリーRの実効性の確保を一層推進していくべきものであります。

 最後に、動物の適正な飼養の推進には、都道府県等の委嘱する動物愛護推進員の役割が非常に重要であります。しかしながら、現状では、推進員が委嘱されていない自治体がある等、まだ本制度が十分に活用されている状況にはありません。

 改正案にあるように、国による情報提供等を充実させるとともに、動物愛護施策の担い手となる獣医系の大学や動物専門学校の卒業生を推進員に積極活用するなどにより、動物愛護推進員制度の一層の充実を図ることを強く求めるものであります。

 以上でございます。

生方委員長 以上で発言は終了いたしました。

 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

生方委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

生方委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

生方委員長 次に、本法律案の提出に際しまして、近藤昭一君外三名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、国民の生活が第一・きづな及び公明党の共同提案による動物の愛護及び管理の推進に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。田中和徳君。

田中(和)委員 ただいま議題となりました動物の愛護及び管理の推進に関する件につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    動物の愛護及び管理の推進に関する件(案)

  政府は、動物の愛護及び管理の一層の推進が人と動物の共生する社会の実現に不可欠であることに鑑み、「動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律」を施行するに当たっては、次の事項に留意し、その運用について万全を期すべきである。

 一 動物取扱業者による不適正な飼養・保管及び販売が後を絶たない現状に鑑み、動物取扱業者に対する立入検査を積極的に行い、必要があれば勧告、改善命令、措置命令及び取消し等の行政処分並びに刑事告発も適切に行うよう、関係地方自治体を指導すること。

 二 第二種動物取扱業の導入に当たっては、不適正飼養が疑われる一部の動物愛護団体の施設への立入検査等を着実に行う一方で、犬猫の殺処分頭数の減少に寄与している多くの動物愛護団体の活動に影響を及ぼさないよう配慮すること。また、地方自治体の判断で動物愛護団体を届出の対象外とする場合には、団体によって不公平な取扱いとならないよう明確な基準等を基に審査を行い、客観性を十分に担保することを地方自治体に徹底させること。

 三 マイクロチップを装着させるために必要な規制の在り方については、狂犬病予防法における登録率及び予防注射の接種率の向上に一定の効果が想定されることを踏まえ、同法との連携強化を図りつつ、これを早急かつ積極的に検討すること。なお、マイクロチップの規格及びデータベースで混乱を来たさないよう、官民協働により早期の統一化を目指すこと。

 四 動物看護師(仮称)については、本法の改正に伴い業務量が増大することが予想される獣医師の補助者として果たすべき重大な役割及び責任に鑑み、資格要件の基準の策定及び技術向上に向けた環境の整備等を関係府省間で十分な連携を図りながら行うとともに、将来的な国家資格又は免許制度の創設に向けた検討を行うこと。また、動物看護師を含む動物取扱責任者の資格要件についても早急に整理すること。

 五 動物の死体については、我が国の伝統的な動物観や近年における動物愛護の精神の浸透を踏まえて取り扱うよう努めること。また、動物葬祭業に対する法規制の在り方についても、火葬・埋葬施設等の需要の拡大とともに問題事案が増加する中で一部の地方自治体が条例で規制を行っている現状に鑑み、動物の生命尊重を目的の一つに掲げる本法の中に組み入れる選択肢も含めて早急に検討を行い、必要な措置を講ずること。

 六 犬猫の引取り数の減少が殺処分頭数の減少に寄与することに鑑み、引取りの要件を厳格化し、引取りを繰り返し求める者や不妊去勢手術を怠ってみだりに繁殖させた者からの引取りを拒否できるようにするなど、引取り数の更なる減少を目指すこと。また、飼い主の所有権放棄により引き取られた犬猫も譲渡対象とし、インターネットの活用等により譲渡の機会を増やすこと等を通じて、殺処分頭数をゼロに近付けることを目指して最大限尽力するよう、各地方自治体を指導すること。

 七 実験動物の取扱いに係る法制度の検討に際しては、関係者による自主管理の取組及び関係府省による実態把握の取組を踏まえつつ、国際的な規制の動向や科学的知見に関する情報の収集に努めること。また、関係府省との連携を図りつつ、3R(代替法の選択、使用数の削減、苦痛の軽減)の実効性の強化等により、実験動物の福祉の実現に努めること。

 八 飼い主のいない猫に不妊去勢手術を施して地域住民の合意の下に管理する地域猫対策は、猫に係る苦情件数の低減及び猫の引取り頭数の減少に効果があることに鑑み、官民挙げて一層の推進を図ること。なお、駆除目的に捕獲された飼い主のいない猫の引取りは動物愛護の観点から原則として認められないが、やむを得ず引き取る際には、猫の所有者又は占有者を確認しつつ関係者の意向も踏まえた上で、引取り後に譲渡の機会が得られるよう最大限努めるよう、各地方自治体を指導すること。

 九 動物愛護推進員の多寡が東日本大震災における被災動物への対応に大きな差異をもたらした教訓を踏まえ、現在は未委嘱の地方自治体に対して推進員の早急な委嘱を促すこと。なお、委嘱に際しては、動物愛護管理に係る施策の担い手となり得る獣医系大学又は動物専門学校等の卒業生も積極的に活用することを推奨するとともに、動物愛護推進員が動物取扱業者等による不適正飼養等の事案に積極的に関与できるようにすること。

 十 被災動物への対応については、東日本大震災の経験を踏まえて、動物愛護管理推進計画に加えて地域防災計画にも明記するよう都道府県に働きかけること。また、牛や豚等の産業動物についても、災害時においてもできるだけ生存の機会を与えるよう尽力し、止むを得ない場合を除いては殺処分を行わないよう努めること。

 十一 犬猫等収容施設の拡充、飼い主のいない猫の不妊去勢手術の促進、動物愛護推進員の活動の強化等動物愛護管理に係る諸施策を着実に実施するため、地方自治体に対する財政面での支援を拡充すること。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

生方委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

生方委員長 起立総員。よって、本動議のとおり決議することに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。細野環境大臣。

細野国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。

生方委員長 お諮りいたします。

 本決議の議長に対する報告及び関係各方面への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

生方委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時三十四分散会

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