2012年動物愛護法改正 積み残し課題は?
2012年の動物愛護法改正で実現されなかったポイントについてまとめてみました。
1) 実験動物と畜産動物の取扱いについて、一切改正がなされなかった。
- 諸外国の動物保護法・福祉法ともっとも違っている点だが、一切改正されず、実験動物については施設の届出制すら入らなかった。
- 畜産動物に特化して飼養管理基準の根拠となるような条文もないままとなった。事業者に適正な取扱いを求める理念すら入っていない。
- 動物福祉の「5つの自由」の原則については、一部が基本原則に採用されたにとどまった。
2) 動物取扱業者のうち、繁殖業・販売業を許可制とする要望があったが実現しなかった。
- 特に劣悪飼育のブリーダーやショップをなくすことが喫緊の課題だが、業を許可制とすることができなかった。
- 今後は、生体の店頭販売の規制を求め、流通を改革させる必要がある。
3) 特定動物(危険な動物)の飼育について規制強化が不十分。
- 改正作業中の4月に秋田の八幡平クマ牧場で死亡事故が起き、特定動物の飼育許可制度についても問題点が浮かび上がったが、法案に反映させるには間に合わなかった。
(飼育許可は、施設に対して下りるもので、個体ごとの飼育許可となっていない。
罰則が不十分。経験や知識がなくても、飼育許可が下りる。など)
4) 罰則は強化されたが、動物虐待罪を器物損壊罪と同等以上とはならなかった。
- 動物虐待罪(殺傷)は「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」から、「二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金」に改正されたが、器物損壊罪の「三年以下の懲役」には届かなかった。
5) 災害時対策についても不十分。
- 都道府県がつくる動物愛護管理推進計画の中に定めるべき項目として追加され、動物愛護推進員の活動としても追加されたが、同行避難の原則や国・自治体ののとるべき対策などは盛り込まれず、不十分さが残った。
6) 輸送時の適正な取扱いについても盛り込まれなかった。
- 諸外国では関心の高い輸送の問題について、日本の動物愛護法は特に言及がないままとなった。