東京都の動物専門学校劣悪施設

東京都の劣悪!動物専門学校関連施設の例

※現場の様子は、こちらの写真をご覧ください。
飼育日誌からの抜粋もぜひお読みください。 

名称は伏せますが、東京都にある、いわゆる動物専門学校の関連施設で動物の状況が大変劣悪であった例をご紹介します。その施設は、学校の本校舎から離れた都内の別の場所にあり、近くに住む教員が管理する、個人的な施設でもありました。

現在すでにこの施設は改築され、爬虫類を除く動物すべてがいなくなっていますが、以前は、専門学校の飼育実習の場とというふれこみで、かなり多種多様な動物が飼育されていました。

学校パンフレットにもしっかり関連施設として紹介されていましたが、そのほかにもふれあいイベントなどに動物を使っており、東京都に動物取扱業の登録しています。(注:現在では既に廃業届が出されています)

その専門学校には、トリミングや看護師のコースなどもありましたが、この施設は、将来野生動物を飼育するような仕事に就きたい学生向けのコースで使われていました。

建物はもと塾であった3階建てのビルで、屋上にも劣化したコンテナ2つとプレハブがありました。一部の部屋を除いたビル全体に、ほ乳類、鳥類、爬虫類などの動物たちが所狭しと置かれ、劣悪な環境の下、飼育されていたのです。

専門学校の飼育施設ということで、動物を世話する労働力は学生に頼っていたわけですが、労働をさせて勉強を教えないのに単位になるというのは学生の教育上問題があるとして、自治体の教育関係の担当部署も指導を行っていました。

そのほか、教育面での問題も種々抱えている学校のようでしたが、ここでは、主に動物関係の側面からの問題をまとめてみました。

■飼育されていた動物

ウサギ、モルモット、ハムスター、ラット、マウス、マーラ、ヤギ、ヒツジ、タヌキ、リスザル、リクガメ、カメレオン、イグアナなど爬虫類、ヌートリア(下半身不随だったが死亡)、リスザル、インコ、ジュウシマツ、カナリア、クジャクバト、ニワトリ、アヒルなど数多くの鳥類、ポニーなどが飼育されていました。

動物取扱業の登録申請に記載されている種以外の動物も飼育されており、本来であれば変更届が必要でした。

■ひどい頃の状況(2007年ころ)

  • 動物たちは、つもった糞尿の上で暮らしているような状況でした。ケージの糞尿をヘラで取ろうとしても、固まっていてとることができないほどでした。その上に、牧草を入れるだけの世話の仕方がとられていました。
  • 水も汚く、ペットボトルを利用した水入れは、だめになって水がもれ切ってしまっていることもよくありました。
  • 病気が発生しても治療をしていませんでした。
  • 動物(ヘビなど)が逃げたこともあったそうです。逆にカラスやネズミが侵入もしていました。げっ歯類などは、繁殖し放題で、野生のネズミに食われたりもしていました。
  •  動物の死亡も多く、夏には毎日なにかが死んでいました。それでも施設の管理者である学校の先生が動物を買ってくるというから驚きです。
  • 日ごろの世話は学生にさせています。世話や感染症管理などについて指導もなかったそうですが、動物が死ぬと学生たちのせいにしたり、施設の状態も悪いので、だんだん学生も世話が面倒になってきてしまっていたそうです。来る人数も減っていて、学生が卒業して入学してくる年度代わりの前後は、世話の記録に長期間ブランクがありました。
  • 動物は解剖実習にも使われたそうです。この施設で飼育のテストを行うこともあったそうですが、内容はその施設のルールでしかないのでは?と思われるものでした。
  • ポニーは1頭だけで、1階のとても狭いスペースに置かれていました。1階には、古いケージなどのゴミの山がありました。この施設は、海外の馬関係の団体の支部である旨がドアに書かれていましたが、その団体に問い合わせると、支部といえるセンターがあるのはスペインと韓国だけだとのことでした。
+++++ 詳しくは、<飼育日誌編>を参照してください +++++

■特定外来種の施設外持ち出し

パンフレットに、特定外来種であるヌートリアを施設外の草地の上に持ち出して撮った写真が掲載されていました。外来種法施行以降に、乗馬クラスを教えている埼玉県の公園にヌートリアを連れて行って日向ぼっこさせていた事実もあります。
これは、外来生物法違反で、環境省から学校へ聞き取りをしてもらいましたが、写真は古いと説明したようです。

■鳥獣保護法違反

都の鳥獣保護員が施設に立ち入り、タヌキを確認しました。施設の管理者である教員は、タヌキを捕獲したのは狩猟期間中ではないと認めています。これは違法捕獲であり、放獣が指導されました。

■東京都動物愛護相談センターの立ち入り検査では?

第1回

  • 事前に立ち入りが通告されてしまったため、施設の清掃と、一部の動物の移動が行われていました。ですが、それでも状態は非常に汚く劣悪。口頭・文書にて汚物の処理が改善指導されました(特にいつまでといった期限はなし)。
    連絡してから立ち入りした理由は、抜き打ちで行った際に本人がおらず入れなかったためでした。
  • 登録の際の立ち入りでは、施設要件を満たしていたので登録したとのこと。
  • 動物取扱業責任者として登録されているのは、実際の管理者とは別人でした。その人物は、この施設に日ごろ来ることはなく、これは動物取扱業の設置基準に反します。登録者の変更が指導されましたが、その後、2ヵ月後、5ヵ月後も変更がされていませんでした。
  • 動物取扱業の登録は、1F、3F、屋上のみで、2Fが登録されていなかったのもネックでした。その頃は、実際には2Fにハムスターなどの小動物が集められていたにもかかわらず、「2Fには動物はいない」との説明により、立ち入りはできませんでした。
  • さらに、動物を学校のカリキュラムとしては使っていないと都の職員に説明しています。実際には木曜日の授業を動物の世話にあてる選択をすれば、単位となったそうです。(学校に責任が及ばないようにするための説明?) 世話をしない学生は、この教員が別の場所で指導するクラスに参加します。(つまり教員はその時間この施設にいない)
  • 動物の所有権についても、学校とこの教師のどちらにあるのか、これからはっきりさせるような話でした。(学校は状態の悪い動物はほしくないと思われました)
  • 学校では、別に新しい動物施設を用意しており、動物は移動し始めていたようです。治療を要するウサギや温度管理が必要な爬虫類などは、まだ移動できないが、暖かくなる頃にはすべて移動させ、この施設は廃業としたいとの話も出たそうです。将来的には、小動物の飼育はやめ、乗馬だけを行っていきたいとも。
  • 明らかに病気であったのはウサギ。すぐ近くにも動物病院があるが、ウサギの治療は、馬を置いている別の場所の近くの動物病院に連れて行っているとの説明。(しかし、生徒は薬などを見たことはないし、治療を指示されたこともない)

第2回

  • 抜き打ちで訪問したため、「これから出かける」と立ち入りを拒否され、詳細な立ち入りは、後日となりました。(法律上は拒否にも罰則があるはず)
  • このあと、施設の2階から動物が消えました。大量にいたウサギ・モルモットはすべていなくなり、ヤギ・羊などもいなくなりました。(ヤギ・羊は、馬のいる別の場所へ移動したのではないかと思われましたが(注:後日そこにいるのを確認しました)、小動物はどうしたのか不明です。現場では、ケージが全て開け放った状態で空になっているなど、非常に急いで何かが起きた痕跡があったこともありました。立入があるとなると後述の埼玉の施設に移し、また戻すということもしていたようです。ほかに、自宅、息子がやっている移動動物園なども移動先の可能性があります)
  • 残っていたのは、馬、マーラ、げっ歯類・小鳥類少し、七面鳥、カモ類、カメ、爬虫類のみ。

第3回

  • 「学校と新しい動物施設へ移動する交通費のことでもめている。もし交通費が出なければ、新しい施設には動物は置かない。」「学生とももめたので誰も来ない。一人で世話をしている」などの説明。動物の数は減ってはいますが、それでも一人で世話できていたのか疑問です。

第4回

  • 施設からは爬虫類部屋以外の動物が全ていなくなり、建物も改築されてきれいになっていました。事務所として貸し出す予定。
  • 動物は、学校の新施設(埼玉県嵐山)など2ヵ所に移動させたとのこと。
  • 廃業届を出す予定。

このあと、実際には爬虫類のみの飼育施設として登録は継続することになりました。爬虫類部屋だけはもともと、電気ヒーターを入れたり、他の部屋より手間がかけられていたようなので、きれいとは言いがたい状況ではありましたが継続もやむなしと思われました。隣接の部屋は貸事務所となるようですので、人の目は増えます。

ここまで実に1年かかってしまいました。もっといいやり方があったかもしれないとは思いますが、ほかのものごとと平行していて積極的に出られなかったのは残念です。他の施設に移動した動物たちのことは心配ではありますが、東京からひとつ悲惨な施設が消えたことは消えました。廃業届は、その後、提出されました。

動物の世話の仕方や生態を教える学校で、よもや劣悪飼育などあるわけがないと世間的には思われるかもしれませんが、結局のところ、学校の関係者はこの教員にまかせきりで、施設に行くこともなく、詳しく状況を知りませんでした。

■補足:埼玉県嵐山の新施設

こちらについても、学校から遠い簡易施設というハンデがあり、動物の管理について心配な点がいろいろありました。その後、学校からの移動にマイクロバスが用意されるなどしていましたが、現在は施設はなくなっています。

  • 鳥、ウサギ、モルモットなどが一度入ったが、その後またいなくなったり、出入りがある様子でした。ハムスターケージは、普通の物置に入れられていました。
  • 一度入った動物を引き上げたのは、雪で行けなくなったいう説明もありました。実際には自治体の立ち入り対策で動物を移動させている可能性もあるのではないかと思われます。
  • 自治体の専門学校法人認可にかかわる部署によれば、当初、この施設を使うことにはなっていないとの話でした。本校舎と離れているため、マイクロバスを出すなど何らかの便宜がはかられなければ授業を受ける場所としては不適切とのことで、学校と話し合いがもたれたそうです。(東京都の基準では、本校舎から徒歩10分圏以内である必要がある)
  • この施設に関しても、保健所に動物取扱業の登録申請が出されました。登録要件としては排水設備が不備だったが、工事をしたそうです。その後、登録はされましたが、そのときは動物がいませんでした。(動物が入ってから再度立入り) 今度は、教員個人の施設ではなく、学校が登録者になっている点は違います。責任者も別人ですので、東京の施設のようにならないことを願いつつでした。
  • 水は井戸水で、飲用できないと言われていました。飲用水は、持ち込みになるようでした。
  • メインの動物施設であるプレハブは、冷暖房設備なしで、しかも壁の上部は通気用に開いており、網が張られているだけで外気が入ってくる設計でした。
  • やはり、常駐の管理人がいないことが一番の問題に思えました。車の運転手に動物の世話をさせるかもしれないという話もあったそうで、学校でも話は二転三転していたようです。
  • その後、この施設も学校のウェブサイトから表示が消え、廃業届が出されました。

※2009年2月、外見からのみですが足立区の施設を確認し、完全に改装されていることを確認しました。外に積み上げられていた古いケージなどのゴミ類も撤去され、きれいになっており、北米の乗馬関係団体の日本支部である旨の看板も撤去されていました。その後、いったんある有名企業に貸し出されていましたが、再度空室になっているようです。廃業届はその時点で出されました。

※その後、この専門学校は、埼玉県吉川市に乗馬施設を持ちましたが、専門学校の施設だからということで業の登録をしていませんでした。現地には真新しい看板があり、電話番号を公開して乗馬ができることをうたっていたにもかかわらずです。その時判明したのは、結局、足立区の施設で責任者をしていた人物が上記の埼玉県嵐山の施設の責任者もしており、吉川でも登録をすると動物取扱責任者が重複となってしまう問題があったことです。結局、嵐山の施設のほうの廃業届が出されました。(責任者は常勤である必要があるので、遠い場所で同じ人物が兼務することは不可能です)

※この人物は、千葉でペット博の取扱責任者を兼務することも行っており、そのほかにも同時に複数施設で取扱責任者となっていました。また、この人物の息子が茨城県で移動動物園をしており、足立区のこの劣悪施設の動物をそこに移動させたものと思われますが、自治体職員には、「埼玉だ」「長野だ」と言い、正確な移動先を伝えていませんでした。

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