農薬のイヌの慢性毒性試験削除 平成29年12月21日食安委 議事録

審議は2回行われており、前回の第153回の議事録はこちらになります。

詳細は、こちらの報告をご覧ください。


平成29年12月21日 第155回農薬専門調査会幹事会

議事録より該当部分を抜粋

※話し合っている資料は、こちら。
※委員のフルネーム及び所属はこちら

○西川座長
よろしくお願いいたします。
次の議事に移りたいと思います。まず、農薬の食品健康影響評価におけるイヌを用いた1年間反復投与毒性試験の取り扱いについて、事務局より説明をお願いいたします。

○濵砂課長補佐
資料5をお願いいたします。農薬の食品健康影響評価におけるイヌを用いた1年間反復経口投与毒性試験の取扱いについて(案)でございます。

参考資料に記載がございますとおり、食品安全影響評価技術研究におきまして27~28年度御実施いただきました「農薬の毒性評価における『毒性プロファイル』と『毒性発現量』の種差を考慮した毒性試験の新たな段階的手法の提言―イヌ慢性毒性試験とマウス発がん性試験の必要性について―」というものの研究結果に基づきまして、海外の状況も踏まえて御審議いただくものでございます。

また、10月の幹事会において一度御議論いただきまして、その後、メール等を通じて御議論いただいた上で出てきたものを取りまとめた資料が今の資料の形でございます。

順に追って説明させていただければと思います。まず1.背景としまして、6~7行目につきまして、どのような毒性の評価の試験があるかといったもの。8行目につきまして、農薬の登録等に当たっては1年間反復経口投与毒性試験結果。すみません、事前に先生方にお送りしているものから法令関係のチェックが多少ございまして、用語のほうは、農薬の評価資料は1年間慢性毒性試験としていますが、正確には1年間反復経口投与毒性試験結果ということで長くなってございます。こちらにつきましては、近年、海外における農薬の登録等で必須とされていないことが多いといった点。

次の段落でございますが、農薬専門調査会は先ほど御紹介いたしました食品健康影響評価技術研究課題の報告結果を踏まえ、国際的動向等も考慮し、科学的な知見に基づいて農薬の食品健康影響評価におけるイヌ慢性毒性試験の取り扱いについて整理した。本取り扱いは動物福祉にも資すると考えられるといったものでございます。

また、17行目からですが、本取り扱いについては、現時点における科学的知見に基づく基本的考え方を整理したものであること。さらに国際的な評価方法の動向、国内外での科学的な新知見等を勘案して、必要に応じて見直すこととするといったものでございます。

21行目からが2.食品健康影響評価におけるイヌ慢性毒性試験の取扱いです。まず、22行目(1)が基本的考え方でございます。23行目からですが、原則として、イヌ慢性毒性試験結果がなくても食品健康影響評価は可能とするといったものでございます。

24行目からですが、「ただし、イヌ慢性毒性試験結果が提出された評価データセットに含まれている場合には、評価対象情報として活用する」。次の「なお」以降ですけれども、イヌ慢性毒性試験結果の必要性に関しては(2)を参考にする。試験が実施されていない場合であって、農薬専門調査会の評価過程において当該情報が重要であると判断された場合、追加資料の提出を要求することもあるといったものでございます。こちらの記載ぶりにつきまして、メール等の中で、例えば追加試験の要求でございますとか、ほかにも追加の安全係数といったようなこともあるのではないかという御議論がございました。こちらの検討を行う前にリスク管理機関、場合によっては申請者の見解なども求めることが先ではないかということもございまして、追加資料の提出を要求といった形になってございます。

30行目から(2)イヌ慢性毒性試験が必要であると考えられる場合ということで、①~
④の4つございます。
①としまして、亜急性毒性試験で認められる毒性プロファイルがイヌとげっ歯類で大きく異なる場合。
②として、イヌ及びげっ歯類について、毒性標的臓器が同じでも、明確な発現用量の差が認められ、イヌの感受性が高いと考えられる場合。
③としまして、イヌにおける農薬の蓄積性が懸念される場合。
④としまして、イヌにおける薬物代謝(動態)について、①~③で示されるようなイヌ特有の毒性等に関与することが想定される場合といったものでございます。

裏側にお移りいただきまして、イヌ慢性毒性試験の要否については、ヒトへの外挿性も考慮した上で慎重に判断する必要があるということで、ヒトへの外挿性を考慮することを記載したほうがよいと御議論になっておりまして、記載をしてございます。

3行目からの「また」でございますが、イヌの亜急性毒性試験で無毒性量が得られておらず、かつ、用量を低くして同試験が再実施されることによって、先ほどの①~④に該当することが想定される場合は、亜急性毒性試験が再実施されるのではなく、慢性毒性試験が実施されるほうが望ましいといった案になってございます。

また、これまでの御議論の中で、実際に農薬専門調査会が試験の追加実施を要求する可能性について、2の(2)に該当することを確実に判断できるときに、実際行っていくことになるということで、可能性としては極めて低いのではないかといったような御議論もございました。

以上でございます。御審議いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○西川座長
ありがとうございます。
それでは、ただいまの事務局からの説明について、御意見、御質問ございましたらお願いいたします。
林先生、どうぞ。

○林専門委員
前回、議論に加われなかったこともあって、少し私の意見をコメントという形で述べさせていただきます。

今回の文書というのは、これまでの肝肥大だとかそういう評価のガイダンスではなく、イヌの慢性試験をやるかやらないかというような、そこが論点になっているものなので、これは本来、農林水産省の試験ガイドラインのほうで扱われるべきものだというのは原則だとは思います。かといって、税金を使った研究費できちんとしたデータが示されたので、それを有効に使うということには非常に賛成なのです。

前も言いましたように、いつ、誰が、どこで判断し、評価をするのかという、それは大分よくなったのですけれども、まだ少し足りないところがあるというように思います。

まず、最初の判断というのは、申請者が農薬の開発途上において判断する必要性があるわけです。だから、その段階において、実際に何を判断根拠にするかというと、農薬のガイドラインだと思います。要するに、そこにどう書かれるかということが非常に重要になってくるのではないかと思います。

研究結果を見せていただいて言いますと、安全係数を追加することにより、イヌの慢性毒性試験がないことによる過小評価の懸念は払拭することができるのではないかと思いました。個人的には2以下の安全係数を追加することもあるというような文言が入っていればいいと感じます。

当然のことですけれども、国際動向だとか、動物福祉への配慮もかなり盛り込まれていると思いますので、これ以上のことはないかと思います。

最後に1つ、質問です。1ページ目の28行目にあります追加資料の提出を要求することもあるとありますが、追加資料とは一体どういうものをイメージしているのかというのがちょっとわからなかったところです。追加資料の中に新しい慢性の試験をやったデータを出しなさいというような、それも追加資料に含まれるのかどうか。要するに、この段階において、新たな試験の追加が求められることがあるのかどうかという点について明確にしていただければ、全体としてはかなりいい文書になったのではないかと思います。
以上です。

○西川座長
ありがとうございます。
大きく3点の質問があったと思います。3つ目の追加資料提出についてですが、これは事務局から説明可能ですか。

○濵砂課長補佐
これまでの御議論で、今回事務局から追加資料という形で案を示させていただきましたが、資料に関しましては見解でありますとか、これまでも例えば各農薬の評価において、試験について不十分であったときに何でこのデータでいいと思ったのですかとか、そういった見解を求めたり、場合によってはそれに関連するような資料でありますとか、そういったものをまずは要求というか、考えを聞くことが大事なのではないか。そういった形ですので、資料がよいのではないかということでそういった案にしてございます。

○西川座長
特に追加試験を要求するというわけではなく、参考になるような資料の提出をお願いするということですね。
林先生、いかがですか。

○林専門委員
追加試験が要求されないということがある程度保障されれば。要するに、紙ベースでの対応で解決可能であればこれでもいいかと思います。

○西川座長
あと2つです。誰が判断するということですけれども、いずれ農水からガイドラインに明記されることであれば、結局、誰が判断してもいいということになるわけです。申請者も評価するほうもという考え方に私はなると思うのですが、いかがですか。

○林専門委員
農林水産省の試験ガイドラインの必要とされる試験項目の中から、イヌの慢性毒性試験という試験が削除されるのであれば、それは開発途上でどうしてもそれをしないといけないのかどうかというのは法律的には求められていないということなので、特に問題は起こらないと思います。

○西川座長
食品安全委員会での決定を受けて、恐らく農水が速やかにガイドラインの改定を進めると思うのですが、そのあたりについて事務局から何か説明いただけますか。

○濵砂課長補佐
今回、おまとめいただきますと、当然、まとめられた結果につきましてはリスク管理機関、農林水産省、厚生労働省も含めてお伝えします。その上でテストガイドラインは農林水産省のほうで決定いただいているものでございますので、農林水産省で御判断いただくことになるかと思います。

○西川座長
したがって、この文書に誰がということは含めないほうがいいと思うのです。
それから、3点目、追加係数の話ですが、それは恐らく試験の評価に深く関わることであると思うのです。したがって、これは試験の必要性についてのことを書いてある文書ですから、そこまでは書かないほうがいいと思います。実質的には安全係数を加味して評価するということにもなり得ると思うのですけれども、そこは必要性に関することですから、むしろ書かないほうがよいと思いますが、いかがですか。

○林専門委員
恐らくその考えでいいと思うのですけれども、本当は逆にここで食品安全委員会が作る文書とすれば、農水のほうでできたガイドラインによって、これまではイヌの慢性毒性が含まれた状況で評価していたのですけれども、それがなくなった状況でどう食安委のこの場所で評価するのかというような、そのガイダンスだともっとこの文書がすっきりと読めたのではないかと思います。確かに、今、座長がおっしゃるように、安全係数というのは先ほどの追加資料の要求等色々情報交換の中で出てくるもので消化できると思います。

○西川座長
ありがとうございます。
そのほか、よろしいでしょうか。
三枝先生。

○三枝専門委員
ガイダンスを見ますと、1年間の慢性経口投与毒性試験の供用動物の(1)で、げっ歯類1種及び非げっ歯類1種ということになっていて、通常、イヌという、これに対して食品安全委員会は意見を言えるのでしょうか。もし、わかれば。

だから、今、イヌを用いなかったらどういう動物を用いたらいいかというのは当然話題に上がると思うのです。そういうことを発言していいのか、それは全く任せるのか。その辺、事務局は何か情報がありましたら教えてください。

○吉田評価第一課長
繰り返しになりますけれども、今回おまとめいただいたものを受けて、私ども事務局のほうから農水省のほうに、これを受けて適切に対応してくださいという形での通知をさせていただく予定です。したがいまして、動物種をどうするのかということについても、我々としての意見は当然述べさせていただければと思います。ただ、最終決定は農水省のガイドラインですので、農水省の判断になると思いますが、そのあたり、よく意見交換をさせていただいて、最適なものになるように事務局としても努力させていただく形になると思います。

○西川座長
よろしくお願いいたします。そのほか、よろしいでしょうか。
特に大きな反対意見等はないようですので、今後の進め方について事務局から説明をお願いいたします。

○濵砂課長補佐
御審議ありがとうございました。
本資料につきましては、来週の食品安全委員会に報告して、速やかにリスク管理機関のほうにお伝えしたいと思います。ありがとうございました。

○西川座長
よろしくお願いいたします。

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