信州大学医学部の未承認動物実験〔2016年発覚〕
関係者がさかんに「自主規制のもと適正に行われている」と喧伝する我が国の動物実験。しかし、社会に大きく注目された研究報告で、再び指針違反の未承認実験が発覚しました。信州大学医学部の子宮頸がんワクチン研究班の実験です。
このケースでも、研究不正の疑いが報じられたことを受けて当会が動物実験計画書等の情報公開請求を行ったことで発覚し、文科省の動物実験基本指針違反及び学内の規定の違反について大学がお詫びの文書をウェブサイトに掲載しました。
しかしこの研究は、実際には厚生労働省の研究費を使った実験であったため、本当であれば厚生労働省の動物実験基本指針違反として研究費停止などの処分が行われるべきでした。少なくとも、2006年の動物愛護法改正後の指針の整備・普及の過程で、「指針違反に罰則はないが科研費停止の処分に直結しているから、それが実質罰則になる」と国が説明してきたとおりには何も実行されませんでした。
結局うやむやなままなままですが、発覚年度は、この研究班の研究ではマウス実験は中止されました。しかし、翌年度は東京医科大学が、全く別のマウスを使った実験を行っています。
実験そのものについては、研究責任者である医学部教授が研究不正の疑いを報じた雑誌の編集者とライターを相手どって起こした民事裁判で現在でも新事実が表に出てくるので(裁判資料が公開されています)、信州大学に改めて質問書を送るなどしていますが、裁判係争中を理由に回答は得られていません。