日本の食料自給率を下げているのは畜産物
日本は世界最大の食料輸入国であり、食料自給率の低さがしばしば問題視されます。
しかし、その内訳を見てると、食料自給率を下げているのは、肉・乳・乳製品・鶏卵といった畜産物など。
そして、なぜそれら畜産物の自給率が低いのか? というと、肉の半分を輸入に頼っているだけではなく、家畜の飼育を安い外国産飼料に頼っており、そのために畜産物の自給率が大きく下がっていることが挙げられます。
カロリーベースの食料自給率の推移は、下記の通りですが、これには飼料の自給率も反映されています。粗飼料(生草、干し草、わらなど)も含めた飼料自給率は26%ですが、集約的な工場畜産で高い生産率を支える濃厚飼料(穀物、大豆かすなどから作られる)では、自給率は12%と、とても低いのです1。
さらに、こちらは肉類の推移です。
農林水産省も食料自給率低下の背景を、
①食生活の大きな変化により、自給率の高い米の消費が減少し、自給率の低い畜産物等の消費が増加する一方、
②こうした消費の変化に国内の生産体制が対応できなかったこと
が大きな要因
と分析しています2。
国は、飼料の国産化などで自給率を上げようとしていますが、そもそも人は、現在ほどたくさんの畜産物を食べなければ生きていけないのでしょうか? 動物の虐待的な飼育をなくしていくためにも、肉・乳製品・鶏卵の摂取を見直していきませんか。
そうすれば、食料自給率に過剰に脅える必要もないのです。
参考資料:
1 農林水産省生産局畜産部畜産振興課消費・安全局畜水産安全管理課「飼料をめぐる情勢」2014年11月版
2 農林水産省食料・農業・農村政策審議会企画部会(平成26年3月26日)資料1「食料の安定供給の確保に関する施策についての検証(2)(基本法第18条~第20条)」