鶏の福祉 強制換羽を知っていますか?

雌鶏は、飢餓状態になると産卵を止め、羽がほとんど抜け落ちます。その後、羽毛が生え始めたときに、体のサイクルとして、また卵を産む能力が戻ります。その雌鶏の体のサイクルを利用して、卵を産む能力が衰えた雌鶏に10日~2週間、餌を与えず強制的に羽を抜けかわらせて、再び卵をたくさん産めるようにすること ―― これが「強制換羽」です。
もちろん、餓死する鶏も少なくありません。
畜産技術協会が行ったアンケート調査によると、日本では63.7%の採卵鶏農家が強制換羽、もしくは低栄養の餌に切り替える換羽誘導を行っており、その内訳は、水も与えない絶水絶食併用法を行っている農家が11.5%、絶食のみの絶食法が79.7%、低栄養飼料切替法が8.7%でした。
絶食の期間は、約10日が平均です。絶水させる場合、その期間の平均は2.5日でした。わずかですが、鶏の一生のうち、2回も行う農家もあります。
絶食による強制換羽はコスト削減や生産効率アップのために行われており、そのような養鶏場では、そもそも鶏を狭いケージにたくさん入れて飼育しています。卵は「価格の優等生」と言われますが、安い卵は、そのようにしてつくられています。
ケージ飼いの鶏たちは、強いストレスにさらされ、ギラギラとイラついた険しい目をし、羽毛はボソボソ、あちこちはげている鶏も多くいます。そんな状態で病気にならないわけがありません。そのために多くの薬剤が餌に入れられ、薬漬けになっています。
そして、一度も太陽の光を浴びることなく薄暗い鶏舎で1年半から2年閉じ込められ続け、やっとケージから出られるときは、廃鶏として、と殺されるときです。安価な卵を買うということは、間接的に鶏を虐待していることにつながっています。
そういった状況の中、数万羽という鶏たちが一斉に強制換羽を強いられます。苛酷な環境で何日も何日も飢えに苦しむおびただしい数の鶏たち……。それは、さながら地獄絵のようです。目の当たりにして胸を痛めない人はいないでしょう。
※生産者に電話をして、強制換羽をしていないか確認しましょう。
もし、していたら……
「強制換羽はやめてほしい」と、伝えましょう。
※放し飼いの卵を選びましょう。
どのような状態で飼っているのか、電話で詳しく聞きましょう。
納得できないのなら、卵を食べないことも選択肢の一つです。