太地漁港 イルカ 生簀

太地町漁業協同組合イルカの価格表にみる水族館の動向

追い込み猟でイルカを生け捕りにし水族館等に売っている太地町漁業協同組合からイルカを購入した、ある公立水族館に公文書開示請求を行ったところ、2012年のイルカの販売価格表が開示されました。イルカ追い込み猟の始まる9月1日の直前に、その年のイルカの価格が販売先に周知されていることがわかります。

10年以上前のものなので、現在も内容が同じかどうかはわかりませんが、「7日以内に死亡した場合及び30日以内の出荷取上時(トラックが出発するまで)にショック死した場合は、半額としますが選別後、体長や傷が大きい等、クレームがついても値引きしません」といった記述は、イルカがモノのように売られていることをまざまざと実感させます。また、捕獲から売却までの過程がイルカにとっていかに過酷かを端的に物語っています。

生体販売の過程でイルカがいかに死んでいるかは、太地町の元ドルフィントレーナーのインタビューをご覧ください。

太地町漁業協同組合 イルカ価格表1ページ目

太地町漁業協同組合 イルカ価格表2ページ目

価格などからわかる水族館のイルカ利用の実情

ハンドウイルカ

オスメス、体長別に価格が設定されており、繁殖やイルカショーを前提として最も需要の高い種であることが、ここからも伺い知れます。最も高額なハンドウイルカは210㎝~270㎝のメスの90万円で、繁殖やショーに利用価値が高いと考えられます。体長が190㎝未満のイルカはオスもメスも30万円と価格が3分の1になります。体が小さいと繁殖に向かない、ショーで「映えない」ということなのでしょう。

マダライルカ(アラリイルカ)

15万円と他のイルカと比べて最も安い価格となっていますが、この価格は2012年(平成24年)のものです。マダライルカは飼育継続自体が難しいとされてきましたが、2020年オープンの四国水族館がマダライルカのイルカショーを行っていることから、現在はもっと高額になっていることも考えられます。

カマイルカ

拡散して逃げるため、追い込んでの捕獲が難しいとされています。2007年度に水産庁が14年ぶりに改訂した捕獲枠で、新たにカマイルカが捕獲枠に追加されました。背景にあるのは水族館の需要とみられています。

ハナゴンドウ

主に食用とされる種で捕獲数も多く、ほとんどは食用にされています。

コビレゴンドウ、オキゴンドウ

コビレゴンドウの南方型はマゴンドウとも呼ばれ、ハナゴンドウと同様に捕獲されるとほとんどは食用にされています。生体は200万円と、最も高いハンドウイルカ90万円の2倍以上の価格がついています。

オキゴンドウは最も高額な300万円です。捕獲数が少なく、食用よりも水族館に生体販売されているようです。

いずれも10日以内の死亡や出荷取上時のショック死の場合の価格が設定されています。高額に加えて、輸送時のトラブルも考えられます。コビレゴンドウの体長は約7~5m、オキゴンドウは約6~5mと、イルカの中では比較的大型なのも輸送を困難にしているのかもしれません。

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日本にはイルカを飼育する水族館等の施設が50館以上あり、そのほとんどがハンドウイルカを飼育しています。これ以上「種の保存」の名目のためにイルカを捕まえたり、繁殖させたりして、ふやす必要があるでしょうか。

水族館がイルカを飼う目的は、「種の保存」や教育などではなく、イルカショーでの娯楽利用、かつイルカという人気動物による集客であるのは明らかです。

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