フランスのマリンランド・アンティーブが2025年1月5日に閉園し、親子のシャチ、ウィキーとケイジョの行く先が注目されています。
日本に送られることは否定されましたが、候補にあがっていたのは、カナダのノバスコシア州にある「ホエール・サンクチュアリ・プロジェクト」のサンクチュアリと、スペイン領カナリア諸島テネリフェ島にある娯楽施設「ロロパルケ(ロロパーク)」です。シャチたちにとって、ロロパルケの狭い水槽よりも、自然の海の広い環境で終生飼育されるサンクチュアリが望ましいのは当然でした。
しかし、フランスの環境連帯移行省はカナダのサンクチュアリへの移送の申請を拒否する回答をしたとのことで、シャチたちはロロパルケに送られる可能性が濃厚になりました。
ロロパルケはいまだに動物のショーを行う劣悪な娯楽施設で、シャチの福祉や十分な広さ、環境が備わっていません。問題は設備だけでなく、シャチ同士の対立による負傷、プールを噛んで塗装を飲み込み歯が摩耗する、不適切な繁殖、病死、そしてトレーナの負傷や死亡という深刻な事故も起きています。
ホエール・サンクチュアリ・プロジェクトは、資金面、現在の飼育員との協力関係とサンクチュアリへの同行、輸送の準備に至るまで、入念な準備と説明を行ってきました。
しかしフランスの同省は、サンクチュアリの申請に対する回答に9か月もかかり、その結果、サンクチュアリまでの移送はスケジュール的に厳しいとの判断を下したようです。
ホエール・サンクチュアリ・プロジェクトはフランス同省に対し再考を求め、ウィキーとケイジョにとって最良の決断=サンクチュアリへの受け入れはまだ可能であるとしています。
This nine-month delay in responding to our Expression of Int…
また、1月30日、フランスのアニエス・パニエ=リュナシェ大臣(環境連帯移行・生物多様性・森林・海洋・漁業大臣)は、マリンランドのイルカたちについても、シャチたちと同様、ヨーロッパの水準を満たしていないところには送らないと公表しました。フランスの保護団体によれば、これは中国にも送られないということを意味しているようです。
Dernier delphinarium français, Planète Sauvage continue l’ex…
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