日本の動物実験施設は国際水準にない 静岡県平成30年度実験動物取扱状況調査から

静岡県は、日本で唯一、把握しているすべての動物実験施設への検査を毎年行っている自治体です。これは動物愛護法に基づいて県が定めた「静岡県動物愛護管理推進計画」に従って行われているものです。

全国の都道府県の中でも特に製薬・医療機器関連企業等が多く集まっている自治体が、このような取り組みを行っていることは、非常に画期的で、評価できます。

PEACEでは、毎年度分について、施設側が提出する「実験動物取扱状況調査票」と訪問した自治体が記録する「実験動物取扱施設訪問調査票」の開示請求を行ってきました。そのうち、平成30年度(2018年度)分について、全てのデータをエクセルに入れ分析を行った結果、日本の動物実験施設は、国際的に求められている水準に達していないことが明らかとなりました。

日本では動物実験施設に獣医師がいない、ケージの広さなど飼育環境は旧態依然である等のイメージがありましたが、それらのことが数値で実証されました。

動物愛護法改正の時期になると、毎度動物実験関係者が主張する「法律がなくても日本の動物実験施設はちゃんとしている」という言葉は、本当に信じられるのでしょうか?

AAALAC International の国際認証制度でも採用されている米国ILARの基準「実験動物の管理と使用に関する指針 (The Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)第8版」との比較を採用。この指針で採用されているケージサイズに関する数値は、環境省の「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準の解説」にも参考として掲載されている。

下記の内容は、2020年10月17日に開催した増補改訂版 『犬が殺される』刊行記念のオンラインセミナーおよび 2020年12月14日にお話しした市民科学入門講座第6回 実験動物からみる「科学政策後進国」日本で発表した内容になります。

この調査で得られる各施設の情報は、たったA4用紙3枚程度のものですが、それでも動物の取り扱い状況に関する基本的な情報がわかります。日本には諸外国のように、動物実験施設の登録制や認可制がありませんから、業種等を横断して、このようなデータを把握している例は非常に限られます。(ほかには兵庫県が届出制を持っているのみだが、毎年の訪問はない)

静岡県のデータが全国でも標準的と言えるかどうかはわかりませんが、製薬・医療機器関連企業等が集まっている県であることは間違いなく、サンプルとして意味があると考えます。全国の自治体でも、やればできるはずです。

注意事項

  • 一部、数値等を回答していない施設もあるので、完全なデータとなっていない項目もあります。
  • 施設名は墨塗りとなっていて公表されていないため、施設ごとの経年変化を正確に追うことはできませんが、その後のデータについても、今後公表できればと考えています。

静岡県の取組み 実験動物取扱状況調査について

※実際の用紙のサンプル

以下、平成30年度(2018年度)の数値から統計をとりました。

※施設名は墨塗りのため、内訳に関してのみ、記載内容からの推定となります。

追記

  • 令和3年度調査では、施設数は全42施設に減りました。

 

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